見出し画像

夢を先延ばしにし続けた末に辿り着いた理想の生き方

「俺はいつまで同じ目標を立て続けるんだ!!」

2012年1月1日。僕は自宅でそう叫んだ。その日は、元日。家族との新年の挨拶、食事を終え、自分の部屋に戻る。作業デスクに座り、コピー用紙一枚とペンを用意。『2017年に叶えたい目標』と大きくタイトルを書き、その年に叶えたい目標をひとつづつ書き連ねていった。

今年の目標は年収1000万円かな~
新しいバイク欲しいなぁ
素敵な彼女も欲しい
色んな所に旅行に行きたいな
北海道とか沖縄とか
出雲大社に行ってみたいし
屋久島に行って縄文杉を見たい

そんなことを考えながら、ひとつずつ叶えたいことを書いていった。書いていくにつれ、気持ちが高まり、あれもこれもと。叶えたいことが湯水のごとく湧いてくる。ほぼ自動書記。叶えられるかどうかは分からないけど、ただひたすら欲しいもの、やりたいことを書いていった。一通り書き終えた時、どっと疲れた。出し切った! そんな気持ちだった。疲れたけど、スカッとした気持ちよさを感じた。それと同時に嬉しさもあった。この時の6年前には、やりたいことを見失い、生き甲斐もなく、ただ生きるために働く、まるで生きる屍のような暮らしをしていた。だから、夢を抱けるようになったこと、夢を目指せるようになったこと、それがとても嬉しかった。夢を書き連ねた目の前の紙が、天国へのパスポートのように感じたんだ。

僕は天井を仰ぎ、疲れと爽快感と嬉しさを味わった。そして、思いっきり書き連ねた2017年の目標を見直してみる。


僕は愕然とした……


夢いっぱい広がる一枚の紙の中に、ひとつの事実を見つけてしまった。この事実に気が付かなければ、きっと気持ちのいいままだったろう。しかし、その事実によって、一気に天国から地獄に突き落とされた気分になった。今日は、元日。せめて元日だけは、天国気分でいたいものだ。しかし、事実は時として無情。僕の都合は関係なく、地獄に叩き落してくる。さっきまでは、目の前の紙が天国へのパスポートのような気分にだったのに…… 僕は思わず叫んだ。

「何年、同じ目標を書き続けてるんだよ!」

その紙が僕につきつけた事実とは、僕が同じ目標を毎年書き続けているということだ。彼女が欲しいのも、沖縄に行きたいのも、バイクが欲しいのも、昨年と同じ目標だ。昨年どころじゃない。もう何年も同じことを書いている。屋久島に行くなんてのは、学生時代からの目標だから、10年以上も同じ夢を叶えたいと言い続けている。もう何年も何年も同じ目標を元日に書き出し、叶えることもなく一年を終える。僕は、そんな生き方をしてきた。その事実を突きつけられたんだ。

「俺はいつまで同じ目標を立て続けるんだ!!」

僕は、自分が嫌になった。口ばっかりで行動しない自分に怒りが湧いてきた。情けなかった。元日だっていうのに最悪な気分だ! いい加減、嫌になった。夢を先延ばし続けるのも、そんな自分も終わらせたい! そう思った。だから、その天国のパスポートに書いた『国内で行きたいところ』を一年で全て行くことにしたんだ。こうして僕は、自転車日本一周の旅に出た。


僕はずっと自分の夢を先延ばしにしてきた。叶えたい叶えたいと思いながら、10年以上も先延ばしにしてきたんだ。その理由は……

お金がない 

だった。お金がないからできない。お金を稼ぐために時間を使ってるから、夢を叶える時間もない。そんな理由で、夢を先延ばしにしてきた。先延ばしにし続けた。でも、いい加減、限界が来た。どんなに言い訳をして、自分を誤魔化して、自分の夢を妨げようとしても、自分の心の声には逆らえなくなった。だから僕は、自転車日本一周をすることにした。2017年4月の段階で、貯金残高は3万円。起業はしてたけど収入は不安定。自転車すらない状態。これまでだったら、お金がないことを理由に先延ばしにしていただろう。でももう、それはしたくなかった。

もう自分の心に嘘をつきたくない!

お金と心を天秤にかけるのはやめ、とにかく夢に突き進むことにしたんだ。

その結果、1か月で資金を調達し、4カ月で約7000kmを自転車で走破。元日に書きだした『国内の生きたい所』を全て巡り、先延ばしにし続けた夢をようやく叶えることができた。自転車で日本中を旅しているとき、本当に楽しかった。お金の不安も、仕事の心配もしなくて良い。寝たい時に寝て、食べたい時に食べる。現地の人と交流し、美味しいものを食べる。本当に理想の生き方に近い経験ができたんだ。

それから10年が経った。ありがたいことに、今では理想の生き方にかなり近づいていったように感じる。そのキッカケというのも、夢を先延ばしにし続けた末の心の限界だ。もう心に嘘をつけなくなったのが始まりのような気がする。どんなに誤魔化しても、取り繕っても、自分の心に嘘をつき続けることはできない。だから早いところ、無駄な抵抗をやめた方が良い。自分の心に素直に従うというのは、勇気が要ることだ。でも、その勇気を振り絞って一歩を踏み出すからこそ、理想の生き方ができるのではないかと思うんだ。僕はこれからも自分の心に従って生きていくことにする。

いただきましたサポートは、火星でセミナーをするための研究開発に大切に使用します! あたたかい応援、よろしくお願いします!