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[レポート]ニュートラの学校実践編in愛知 フィールドワーク&レクチャー①

朝夕の寒さを実感するようになってきた、11月の18日。名古屋市の南部に位置し、日本遺産に認定される絞り染めの産地・有松に、15名の「ニュートラの学校 実践編」の参加者が集まりました。おもに近畿、東海を拠点に、福祉やデザイン、工芸、教育等の分野で活動している方々です。
参加者のみなさんは、この日から数回に分けて続く講座や相談会をへて、ものづくりを通して地域にある拠点をひらき多様な人たちをつなげながら、新しい視点でものづくりや地域の価値をたかめることができる力をつけることをめざします。最後には、多様な人が体験することのできるプログラムを立案していただきます。

11月18日(土)・19日(日)の「フィールドワーク&レクチャー」では、地域の課題解決の実践例や魅力発信の事例、開かれた場づくり・プログラムづくりなどについて学びました。

11月18日(土)

デザインリサーチャーの浅野翔さんを招き、有松地区を具体例に、地域の課題や魅力発信の事例を学びました。デザインリサーチの手法に触れるワークも体験し、地域の新たな価値の見出し方を身につけ、仲間のつくり方や分野を横断したコミュニティのつくり方を学びました。

講師の浅野翔さん

まずは、デザインリサーチとは何かの基礎講座。望ましい未来を少しだけひきつけるための各種手法として、マクロ分析、ストーリーボード、シナリオ制作などを、たくさんあるうちのいくつかとして教えていだきました。

つづいて、伝統工芸がおかれた現状をデータで確認したり、産地における近年の動きの例、その中での有松の状況を教えていただきます。かつて、資源がないまちで生きる知恵をしぼったのが有松でした。東海道に面した地理的条件や、知多木綿の産地からの人的資源で、絞り染めを一大産業に育てあげます。明治時代に日常着(浴衣)としての利用をピークに、昭和の振袖ののちは生産量はぐっと減少しました。有松の地域課題や、それをふまえた浅野さんご自身の活動「ありまつ中心家守会社」についても知ります。
2021年に浅野さんにコーディネートしていただいたツアーのレポートを、こちらからご覧いただけます。

◯ 有松・鳴海絞会館の見学
会館では9名の職人さんがかわるがわる布を絞る工程を実演をしています。この日担当していた方が偶然にも、本講座アドバイザーの井上愛さんが以前に技術指導で協力していただいていた方でした。「実際に利用者さんと会館に来て、体験してみたらいいよ。」「やってみないとわからない。」と、参加者たちのさまざまな質問にも、気さくにアドバイスをくださいました。

「綿と絹、手触りが好きなほうで選ぶのもいいかも」と触り比べさせてくださいました。

絞りは非常にバライティに富んでおり、「一人一技法」と言われるそうです。会館の職人さんも、障害のある人それぞれに合う方法があるかもしれないということを、よく理解されているようでした。

◯ 有松工芸の見学
旧東海道ぞいに建ち、有松に現存する染場で最古の昭和20年代の工場「有松工芸」にやってきました。生産者だからこその視点からのお話をたっぷり聞かせてくださいました。

7代目の濱島正継さん
愛知県出身の参加者でも知らないことが多く、たくさんの質問が出ました。

その後室内に戻り、有松地区を題材にエクササイズとグループワークをおこないました。「2050年の未来の有松に突入するために2034年の有松を想像する」といった課題に、今日初めて出会った15名が膝を突き合わせて頭を悩ませました。

博報堂生活総合研究所の未来年表を使用しました

翌日11月19日(日)のレポートはこちらからご覧ください。

写真:岡松愛子
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ニュートラの学校:福祉と伝統工芸をつなぐ人材育成と仕組みづくり(文化庁「令和5年度障害者等による文化芸術活動推進事業」)
主催:文化庁、一般財団法人たんぽぽの家



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