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「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」を見学しました

こんにちは!

先日、8月31日に運営メンバー数名で神戸市の「阪神・淡路大震災 人と防災未来センター」を見学してきました。今回はそのときの模様についてお伝えします。


見学の経緯

 2025年1月に阪神淡路大震災をテーマに演奏会を開催することを決めてから、私たち運営メンバーはそれぞれ、震災に関する資料に触れて、その記録や記憶をたどってきました。そんな中、大学で地震などの地球科学を専攻としている代表補佐から、今回の「人と防災未来センター」見学の提案がありました。


 私たちは、これまでにさまざまな資料を通して、文字や数字では震災について触れてきましたが、映像や展示物などを見る機会はそこまで多くなかったと思います。今回の提案を受けて、演奏会の初回練習が始まる前に震災についてより深く知るため、私たちはこの施設を見学することにしました。

 人と防災未来センターの観覧フロアは、大きく4つのエリアに分けられます。映像・ジオラマによる「震災追体験フロア」、展示品やインタビュー映像による「震災の記憶フロア」、模型やワークショップによる「防災・減災体験フロア」、そして防災・減災についてより幅広く学ぶ「防災サイエンスフィールド」。それぞれのフロアの様子を振り返りながらお伝えします。 


震災追体験フロア

 まず案内される「震災追体験フロア」は、地震発生の瞬間をあらわした大型映像を上映する「1.17シアター」、地震発生直後の街の様子を再現した原寸大ジオラマ「震災直後のまち」、復興へのドキュメンタリー映像を上映する「大震災ホール」で構成されています。

1.17シアター(公式サイトより)
震災直後のまち(公式サイトより)
大震災ホール(公式サイトより)

 街並み、瓦礫に閉じ込められた人、迫る火災、そして被災後の過酷な日々。それらをあらゆる感覚で感じるのがこのフロアです。映像やジオラマは何年も前につくられたものかもしれませんが、その衝撃は新鮮で、改めて深く心に刻まれました。


 自分の住む街が一瞬にして崩れ、奪われていくことの辛さ、虚しさ、悲しさを、映像やジオラマとともに思わず想像させられる、そんな場所です。


震災の記憶フロア

 続いて訪れる「震災の記憶フロア」は、このセンターのメインともいえるフロアで、震災関係資料を提供者の体験談とともに展示している「記憶の壁」、震災後に発生したさまざまな事象を解説している「震災学習テーブル」、映像や語り部による講話で被災体験を知る「語り部コーナー」で構成されています。

記憶の壁(公式サイトより)
記憶の壁(公式サイトより)
震災学習テーブル(公式サイトより)

 人と防災未来センターは、資料館としての役割だけでなく、各種資料の収集・保存事業や、自然災害研究や被災地の支援を行っています。その成果としての展示がなされているのがこのフロアです。


 他人事としてではなく、自分たちのいるこの街で、何十万という人びとが直面した未曾有の大震災を、展示物を通して一人称の視点でたどっていきます。そこには、数字や報道だけでは知ることのなかった、苦悩と忍耐の日々がありました。しかしそれと同時に、震災の困難から立ち上がろうとする人びとの強さや絆が、被災した人の数だけあったことも知ることができました。


 市民の声の一つに「震災が起きて何一ついいことはなかったけれど、数え切れないほどの人びとの暖かさを知った。」というものがありました。この街を再びたくさんの人が住む豊かな街にしてくれた、市民の方々の思いが溢れている、そう感じました。


防災・減災体験フロア

 未曾有の都市災害を経て、未来にその教訓を伝えることを目的とするこのフロアは、世界中で起きている災害を写したパネル展示「災害情報ステーション」、防災・減災グッズとともに私たちにできる備えを考えるコーナー、そして「防災・減災ワークショップコーナー」で構成されています。

災害情報ステーション
防災未来ギャラリー(公式サイトより)

 先日、初となる南海トラフ巨大地震の注意報が発令されたことで、ますます関心の高まっている防災への備えについて、阪神淡路大震災をはじめとする自然災害の教訓をもとに、災害後の社会を生き抜くための術を知ることができます。


 最近は報道やインターネット上でさまざまな防災の情報が共有されていますが、センターの展示を一通り見たあとに触れる備えの必要性は、普段の何倍も説得力を持っています。「自助」のために必ず災害への備えが必要であると強く感じました。


防災サイエンスフィールド

 阪神淡路大震災の教訓に加えて、その後の激甚化する世界中の災害を知り、未来に向けた新しい防災社会をつくるための学習スペースです。

ディザスターウォール(公式サイトより)
クエスチョンキューブ(公式サイトより)

 2021年にリニューアルオープンしたこのフロアは、最新の技術を用いて地球の構造から日常生活の防災についてまで、幅広く実践的に学ぶことができる場になっています。


 私たちがこの場を訪れたとき、小学生以下の子どもたちが何人もこの場所で、CGや体験型ゲームを使って防災について学んでいました。その姿は楽しみながらも、真剣そのもの。この場所が将来の防災社会をつくっていく、その可能性を子どもたちの姿から見ることができました。


人と防災の未来

 私たちがセンターを訪れた8月31日の翌日には、9月1日の「防災の日」を控えていました。

 この防災の日は、もともと1925年9月1日に発生した関東大震災を受けて制定された記念日です。東京をはじめとする関東地方で多数の犠牲者を出した、近代日本最大の都市災害は、当時多くの人の心にその記憶が刻まれたことでしょう。


 しかしその70年後、今度は阪神の地で、現代日本最大の都市災害が発生してしまいました。6000人以上の犠牲者を出したこの震災では、関東大震災の教訓は生かされなかったのでしょうか。


 私はそうは思いません。きっと多くの人が、何世代も前からの防災の教えを忠実に守ったのだと思います。それでも、それを遥かに上回る自然の力は、人の命や日常を奪っていきました。


 では、私たちにできる防災とは一体何なのか。
 それは、蓄積される災害の記録と教訓を新しい社会に伝え、生きるための備えをひたすら考え続けることだと思います。


 関東大震災から100年、阪神淡路大震災から30年の間に、私たちは多くの災害に直面し、記録と教訓を手に入れました。それらの蓄積を、あらゆる形でつなげ続けることが、防災の未来を描くことではないでしょうか。そしてそれは、日本という災害大国に生き続ける私たち"人"の未来を描くことでもあります。


 「人と防災未来センター」は、その恒久的な防災の取組の最先端を見ることができる場所でした。私たちに何ができるのか、何をするべきなのかを教えてくれる場所でした。


 私たちNEW-S Wind Ensembleも、人と防災の未来を描くために、演奏会を通じて新しい社会に阪神淡路大震災の記憶をつなげていきたいと思います。


 以上、「人と防災未来センター」見学の模様をお届けしました!

【演奏会情報】

【お問い合わせ】

E-Mail : newswindensemble@gmail.com
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Instagram : @newswind2025


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