今日の社説は日本のエネルギー問題です。
我が国は、地球存続のため、世界共通で待ったなしの課題であるである地球温暖化、異常気象の多発など気候変動問題への対応は、2050年に温室効果ガス*「実質ゼロ」をめざしています。
政府は、日本の電源構成比で2022年に70.2%(2022年度)を占める石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料を41%(2030年度)に削減しようと国民、自治体、企業に働きかけています。
そのため「エネルギー基本計画」(2021年閣議決定)では、太陽の光、風力など再生可能エネルギー(再エネ)の拡大を最優先としていますが、それぞれの電源のメリット・デメリットがあり、脱炭素社会への道のりは厳しさが伴います。
整理してみましょう。
●原子力発電…CO2を出さず、再エネと比べて安定的に供給できるメリットがありますが、事故の危険性、60年超原発稼働の不安、核のゴミの最終処分場が決まらないなどデメリットがあります。
●火力発電…2030年までにCO2の排出量の多い「旧式」石炭火力発電所の休廃止を決めましたが、コスパと次世代原発、代替エネの普及が追い付かないことから石炭を使い続けます。
その代わり、燃焼時にCO2を出さないアンモニア、水素を石炭や天然ガスに混ぜて燃焼させることで、火力発電所からCO2をゼロにする研究開発を進めています。
●洋上風力…低周波音や騒音の問題があるため、設置には周辺環境への配慮が必要です。
そのため海上に設置する「洋上風力」の導入を進めているが、平地に設置する場合と比べて費用も時間もかかることから飛躍的に量産できないのが難点です。
●太陽光…比較的設置しやすいことから山林を切り開いて斜面に大規模な太陽光パネルを設置例が増えてきた。
しかし、土砂崩れや景観悪化の懸念から全国250以上の自治体では、太陽光発電所の建設を規制する条例が制定されています。
また、東京都は2022年に新築戸建て住宅に太陽光パネルの設置を義務付けて、一般家庭への協力を求めています。
以上のことから、一長一短がはらんでいますが、皆の知恵を結集して課題を一つひとつ乗り越えて、世界に誇れる脱炭素社会を実現してまいりましょう。
*温室効果ガスとは……二酸化炭素やメタンなど、大気中の熱を吸収する性質のあるガスのことです。英語ではGHG(Greenhouse Gas)といいます。
地球の表面は大気を通過した太陽の光によって温まり、地表の熱は赤外線として宇宙空間に放出されます。
温室効果ガスには赤外線を吸収・放出する性質があり、地表から出ていく熱を吸収して大気を温めます。
この働きが温室効果です。
大気中の温室効果ガスが増えると地表を温める働きが強くなって地表付近の温度が上昇します。
温室効果がなければ地球の平均温度はマイナス19度になるといわれており、温室効果ガスは、地球の温度を生き物が暮らしやすい状態に保つ役割を果たしています。(朝日新聞デジタルより引用)
[社説]脱炭素の大競争に挑むエネルギー戦略に