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近年の社会は、国際化や情報通信技術の急速な進歩・浸透により、ヒト・モノ・カネ・情報の広域・輻輳・スピード化が進み、社会システムの複合巨大化(System of Systems)もまた進展している。複雑化した社会を理解するには、経済学、社会学、心理学、医学、理工学、農学、デザイン学等々、個々の学問分野、あるいは農林水産業、建設業、製造業、サービス業等々の個々の産業分野からのアプローチだけではその本質や背景/基底にある仕組みの持つ構造的課題等を説明しきれない。課題を認識できなければソリューションもありえない。

50年ほど前に我が国に勃興したシンクタンクはそうした動きに対する魁として「学際的」アプローチを謳い、「社会システム」という概念・組織を興した。筆者が創設5年目のシンクタンクに入社したとき、すでに「社会システム」が冠された部署があり、そこに配属された。大学で土木計画学(システムズアプローチ)を学んでいた学生時代も含めて「社会システム」の世界に爾来約50年ほど関わっている。

現在は、アカデミズム側から文理融合的な「統合知」「総合知」が謳われている。しかし、アカデミズムは研究知/学問知を生み出すが、その知を社会の中に活かすべく実践知・経験知へと昇華させるのは非アカデミズム(実務社会)である。研究知・実践知・経験知・学問知を包含するものとしてここでは「専門知」と総称する。

専門知の関係

こうした意味において、現実社会の理解、そして課題の把握・対応は、学際的(含む統合知・総合知)アプローチよりも、社会を多様な要素が相互に関係しあったシステムとして捉える「社会システムズアプローチ」の方がより適切といえる。筆者は、社会システムを構成する「主体」「技術」「仕組み」の構成要素が自律的かつ齟齬に影響しあい変化する社会の実態が、旧来の仕組み/枠組みとのギャップが拡大すると次のステージに向けてし、より関係性を良くする仕組み/ルールの改廃がなされ、ギャップが解消されるというダイナミックな社会動態として社会の動き/時代の流れを捉えている。そこには、そうした変化への適応力(レジリエンス)により、持続的にソーシャルイノベーションがなされ、常なる社会のリデザインが続いていくという考えが基底にある。

システムズアプローチ的にみた社会システムの動態

東日本大震災の大地震​ ⇒ ​津波 ​⇒ ​原発事故という広域に渡る甚大な複合連鎖災害の発生による安全の前提、防災の問い直し、世界のヒト・モノの動きを止めた新型コロナ禍(Covide-19)による生活・産業の様式の問い直し、そしてロシアによるウクライナ侵攻等により励起・加速した世界の分断、地政学リスクやグローバリズムの問い直し等、いま、日本のみならず世界的規模でそうした現実が旧来の仕組み/枠組みとのギャップを拡大し、新たな社会のリデザインが求められている。
 
特に、わが国は、世界に先駆けて少子高齢化・独居後期高齢者の太宗化が進行(今後も進行)し、1990年代以降は経済の縮退も招来している。世界における国としての存在感を維持しつつ、国力・国富を維持しつつ、個々人のWell-beingを高め、真の意味での地方創生ひいては日本創生を成し遂げるには、社会のデザイン/リデザインが不可欠である。
 
こうした想いで、社会デザイン/リデザインに関係している方々、あるいは関心を持っている方々と共感しつつ、関連情報(事実データ、政策、技術、専門知等)を収集・キュレーションし、かつそれを社会にアーカイブすることを目的に「note」(メインテーマ:社会システムをデザインする)を始めることにした。以下のようなサブテーマ(キーワード)を現時点では考えています。

#1:COVID-19
#2:能登半島地震 
#3:時代環境
#4:地方創生・日本創生 
#5:知・イノベーション 
#6:トラブル・事故・不正
#7:リスクとレジリエンス
#8:社会的孤立・孤独
#9:国土・土地・空き家
#10:ITS・CASE・MaaS
#11:社会システムデザイン論
#12:論点提起

何がどのようにできるか、手探りながらも社会への恩返しとして少しでも形にして残したいとの思いです。ご支援を賜れば幸甚です。



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