ソウルに「北朝鮮風居酒屋」が近日オープン予定?現場に行ってみた
若者でにぎわうソウルの繁華街「弘大」(ホンデ)に、北朝鮮風の居酒屋がオープン予定で、金日成・金正日父子の肖像画と北朝鮮国旗を掲げて物議を醸しているとのニュースが流れたのは、9月に入ってからのことだった。
警察が国家保安法違反容疑も視野に取り調べを始め、店主が自主的にこれらを撤去したとの報道があった後、たまたまソウルへ出かけたので、現場を見に行くことにした。
朝鮮日報などの保守系メディアが「脱北者は怒る」などの記事を配信していたので、いったいどんな恐ろしいものができるのかと、内心こわごわしながら見に行ったのだった。
現場に行ってみると…
店は、弘益大学の正門がある通りから1本小道に入った場所にある。回りはカフェや居酒屋が並ぶ、学生向けの繁華街だ。
肖像画や国旗は既に見当たらなかったが、建物は工事中とのことで、壁に貼られた宣伝風の絵は残っていた。
結論から言うと、北朝鮮「風」のパロディーだということは一目で分かる。
「肝臓にいい医学を発展させよう」「つまみ加工に一大革新を起こそう」など、一見それっぽく見えるが、北朝鮮では資本主義的な消費をあおるようなスローガンはありえない。
こちらは5年前に北朝鮮の某地方都市で撮影した街中のスローガン。
店は工事中だったが中は無人で、店主には会えなかったが、一目でパロディーと分かるギリギリの線を狙っているとみえる。国家保安法に触れるかどうかは、事前に綿密に検討したのだろう。
元は日本風居酒屋
店は以前は「京都」という日本風居酒屋だったらしい。日本製品不買運動のあおりで日本産ビールの消費が激減する中で、北朝鮮風居酒屋がオープンするとは、なんとも文在寅政権下の韓国を象徴する話だと思った。
毛沢東風の中国共産党プロパガンダをインテリア、エクステリアに使っている店は中国や日本にも多数ある。南北統一に命を賭けた世代ももう一線を退き、いよいよ北朝鮮も「血を分けた兄弟」ではなく、レトロでポップな外国という感覚でとらえられる時代になったということだろうか。
韓国語学習の教材としてご好評頂いておりますPodcast「ニュースde韓国語」、すべてボランティアで運営しております。ご支援頂けますと幸いですm(_ _)m