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週刊ニュースdeディベート(β) 第7号 五輪フィギュアスケートの最低年齢を引き上げるべきか?でディベート! // 投稿コーナー (ウクライナ侵攻による日本への影響、今年は花見できるのか)

// 週刊ニュースdeディベート(ベータ版)
// 2021年3月6日 β版第7号
// ニュースつまみ食い
// 今週のお題 五輪フィギュアスケートの最低年齢を引き上げるべきか?でディベート!
// ニュースdeディベートって何?
// 今週のお題 五輪フィギュアスケートの最低年齢を引き上げるべきか?でディベート!
// 投稿コーナー (ウクライナ侵攻による日本への影響、今年は花見できるのか)

こんにちは。ディベート賛否さんです。今週も様々なニュースがありましたね。

●ロシア包囲網広がる:SWIFT除外・IT企業のサービス停止
官民の合わせ技での経済制裁が日に日に追加されています。ついにVISA / MasterCardが使用を停止しました。

Appleなど世界的なブランドの商品販売も続々と停止しています。

今後は大手コンサルティング企業もサービス提供を止めるとの見方もあります。ロシア国内の阿鼻叫喚が想像されます。このような経済制裁が長引くことでグローバル経済への影響もますます大きなものとなるでしょう。

●ロシア軍によるサポリージャ原発攻撃
チェルノブイリに続き欧州最大規模のザポリージャ原発が攻撃および制圧されました。

「原発は攻撃対象となり危険である」とは常々言われていたところですが、そのリスクが顕在化した形となります。以前の記事でも扱ったように、原発推進に向けた議論が欧州を中心に起こっていた最中でした。ロシアを始めとする資源国への依存は減らしたい一方、メディアを通じて目の当たりにしてしまった原発の恐ろしさ。今後も「原発ディベート」は積極的に取り上げて参ります。

●北京パラリンピック開幕 / ロシア・ベラルーシ選手は一転出場停止
五輪・パラリンと政治の結びつきを感じさせる出来事でしたね。

多くの選手が「ロシアとは対戦しない」との連絡があったとのことですが、このような「ロシア人」排除、ロシア的なもののボイコットは立て続けに起こっています。各自の立場で反戦を訴えているのでしょうが、ロシア(あるいはベラルーシ)へのヘイトが行き過ぎたものにならないか懸念されます。

それでは、今週もよろしくお願いいたします。

1.今週のディベーダブルなお題:五輪フィギュアスケートの最低年齢を引き上げるべきか?

冬季北京五輪が終幕しました。東京五輪から約半年での開催となりましたが、日本選手の奮闘もあり見応えがありましたね。みなさんはどの競技をご覧になりましたか?五輪が純粋なスポーツの祭典としては終わらず、何らかの政治的・スキャンダル的な論点が出てくるのがもはや恒例となってきました。その中でも我々が特に注目したのが「ワリエワ問題」です。今回はロシアを中心とするドーピング問題に端を発した、フィギュアスケートの参加年齢制限について考えていきましょう。

~ワリエワ選手の悲劇~
個人競技でミスが続出し4位に終わったROC・ワリエワ選手。北京五輪では15歳という若さとドーピング問題が様々な議論を呼びました。この問題の経緯を説明しますと、ロシアは組織的ドーピング問題が指摘され国としての五輪参加が制限され、ROC(ロシアオリンピック委員会)よりドーピングに問題がない選手が個人で参加する形となっていました。選手は参加前にドーピング検査を受けるわけですが、北京五輪を控えた2021年12月の検査で禁止薬物トリメタジジンの陽性反応があったことが、大会開始後に発覚します。ロシア反ドーピング機関が出場一時停止の措置を取りますが、ワリエワ選手側の申し立てを受け処分を解除。これを不服としたIOCとWADA(世界反ドーピング機関)・国際スケート連盟が「スポーツ仲裁裁判所」に提訴していました。結果的には、スポーツ仲裁裁判所がワリエワ選手の出場を認める異例の裁定を下し、議論になりました。

~なぜスポーツ仲裁裁判所の裁定は議論を呼んだのか?~
通常の選手であれば出場停止は免れなかったと思われるところを、ワリエワ選手の15歳という低年齢が一つの理由となり出場許可が下りたからです。スポーツ仲裁裁判所によれば

①16歳未満の選手はWADA(世界反ドーピング機関)による「要保護者」である
②2021年12月のドーピング検査の結果は確定していない
③出場停止にすることはワリエワ選手にとって取り返しのつかない事態となる
④ドーピング検査の結果通知が遅れたのはワリエワ選手の責任ではない

といった点が審議のポイントとなっており、ドーピング検査に関する真偽判定が難しいことに加え16歳未満の選手である点が大きな理由となっています。

~低年齢スポーツ選手保護の意義~
ドーピングは原則として許されるものではありません。ではなぜ、WADAは16歳未満の選手を「要保護者」として扱っているのでしょうか?まず「若い年齢の選手の自己決定能力が十分に達しておらず、周囲の指導者や保護者の影響を強く受けること」が理由としてあげられます。若くして一流の実績を出した選手は、本人の努力や意思の元に練習を重ねるだけでなく、国際大会など大きな舞台で成果を出すため多数の組織や人が関わり、チームとなって結果を出す体制となります。もちろん食事やその他の生活についても指導者によって細かく戦略が定められ、方針に従うこととなります。この中で仮にドーピング等違反があったとしても、本人には気づくことが難しく、仮に気づけても周囲の大人に対しNOと言うことが難しいという構造にあります。また「成人した選手と同様に若い選手個人を処罰すれば、精神的な負担は必要以上に大きくなり、その後の人生に取り返しのつかない影響が出る」と考えられています。以上のような理由から、WADAは16歳という年齢基準を設け、要保護の選手に対し一定の配慮を行っています。

~五輪・国際大会出場を17歳以上へ引き上げる議論~
以上のような状況を受け、現状15歳以上が出場可能となっている年齢制限を17歳以上に引き上げる案が、国際スケート連盟で議論されています。これによって変化を受けるのは、北京五輪時点でのワリエワ選手を含む「15歳」の選手でしょう。現状では五輪に参加する選手の中で15歳の選手だけが要保護者となります。フィギュアスケートでは若い選手も高い実績を出すことが多い競技の性質上、他の競技ではまだまだ若手の15歳でも一国のエースとして高い実績を出す主力選手として期待されます。この高い期待(あるいは圧力)がドーピングにつながる危険を孕みます。このような構造があることから、15歳の選手については出場を先送りし、17歳まで待ってもらった方がよいのではないか、という考えに繋がります。今回のドーピング問題を抜きにしても、選手の低年齢化が進み、過度な身体的負担があるとして、参加年齢引き上げの議論は長きにわたって行われてきました。ドーピング問題がきっかけとなり、議論が加速しそうな状況です。

〜「年齢制限引き上げ」派への反論〜
現状既に規制が存在するのだから、15歳という現状の年齢制限は妥当だとする意見もあります。オリンピックに関して言えば、国際スケート連盟やIOCが選手の状態を管理していますし、コーチや保護者による監督は一応存在しています。ドーピング項目や頻度など「年齢制限引き上げ」以外にもまだまだ改善する余地はあると言えるでしょう。また15歳前後の選手が台頭しているのは、競技特性的なパフォーマンスのピークがその辺りの年齢であるという妥当性もあります。仮に17歳に参加年齢が引き上げられたとしたら、冬季五輪時に15歳であった選手は4年後の19歳になるのを待たねばならず、全盛期に参加できず著しい機会損失を被ることになるでしょう。果たして「年齢」を基準としてよいものでしょうか。

~あらゆるスポーツにおける年齢制限~
これまで議論されてきた「過度な身体的負担」の問題に加え「ドーピング問題が発生した時の原因究明・処罰と選手への配慮を両立することの難しさ」が露呈した中で、どの競技でも年齢制限について議論がされる可能性はありそうです。現状ではスポーツごとに国際的な協会が年齢制限を設けていますが、WADAが設定している16歳未満は要保護者であるという規定も参照される機会が多くなるのではないでしょうか。本来、スポーツを行うこと自体には年齢制限はありません。しかし、国際大会で代表を務めるような選手にかかる重圧や責任を考えれば、個人で楽しむレベルのスポーツとは一線を引いて考える必要があるでしょう。

~おわりに~
フィギュアスケートを中心に、ドーピングと五輪・国際大会の参加年齢についてみてきましたが、皆さんはどう考えますか?Twitte、Noteのコメントで一緒にディベートしましょう!

2.ディベート的投稿コーナー
ロシアのウクライナ侵攻で今後日本はどのような影響を受けるのでしょうか。
-ディベート賛否さんの解答
「アフターロシア」の世界で外交的にどのように立ち回るかによるでしょう。安全保障の枠組みなど多くが変化するでしょうから。此度の戦争は欧州を中心としているものの「蚊帳の外」にいないことが重要です。ロシアの体制が変わりでもすればウルトラCで北方領土問題が進展することもあるかもしれませんが、見通しは暗いものにならざるをえません。核が落ちてこなければとりあえずOK、としましょうか。

そろそろお花見シーズンが近づいてきました。今年はお花見はできるのでしょうか?外だから大丈夫?
-ディベート賛否さんの解答
そろそろ花見も許されるコロナ。

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作者 : ディベート賛否さん / 週刊ニュースdeディベート
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ディベート力を皆のものとするため、今後も頑張ります。