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週刊ニュースdeディベート(β) 第3号 原発はクリーンエネルギーか?でディベート!どの辺がニュースでディベートなの?フォロワーが増えない

// 週刊ニュースdeディベート(β)
// 2022年2月6日 第3号
// ニュースつまみ食い
// ニュースdeディベートについて
// 今週のお題「原発はクリーンエネルギーか?でディベート!」
// 投稿コーナー(どの辺がニュースでディベートなの?フォロワーが増えない)

感想やお題に対するご意見などは
#newsdedebate
(ディベートは相手の意見を受け止める物なので、私たちのアカウントから論破!とかそういうことにはならないのでご安心ください。反応させて頂きます。)

こんにちは。ディベート賛否さんです。
先週も様々なニュースがありましたね。

●ついに北京五輪が始まりましたね!欧米系のメディアでは前回取り上げた「外交的ボイコット」の成否を巡る記事も出ていますが、本邦ではほとんど注目を集めておりません(涙) やはり始まってみると試合に没頭するのがスポーツ大会というものでしょうか。日本選手団の熱い戦いを期待しています!!

●「まんぼう」の延長が検討されていますね。またワクチンの3回目摂取が必死に呼びかけられています。これまでにも増して「ファイザー vs モデルナ」の議論が熱を帯びています。「3回目を打つか打たないか」から「(3回目を打つ前提として)どちらの製薬会社にするか」という、心理学でいう「ダブル・バインド」的な状況と言えます。このように、暗黙の前提に気づいて、「そもそも」「打つべきなのか」というところまで掘り下げるのもディベート的な考え方と言えるでしょう。

それでは、今週もよろしくお願いいたします。

0.ニュースdeディベートについて

「ニュースdeディベート」も三回目を迎えました。繰り返しになりますが私たちがどういった思いでこの空間を作ったのか説明させてください。

 SNSを中心に情報が氾濫する現代社会、誰が正しいことを言っているのかわからない。多くのニュースメディアが、閲覧数を稼ぐために過激な見出しや極端な論調で人々を煽るのが日常風景となりました。こんなにも「自分の意見」を持つのが難しく「何をしていいか」分からない状況は歴史上類を見ません。

 私、ディベート賛否さんは大学時代、英語ディベート部に所属し、議論の力を磨いてきました。そこで身につけた「ディベート力」は社会に出た今でも、あらゆる場面で役に立っています。

 ディベートは教育現場や企業研修などで徐々に導入されていますが、まだまだ一般的には認知されておらず、もったいないなと感じています。日々の生活で納得できる決定をし、日々のニュースを読み解くには「ディベート」の力が欠かせません。

 「ニュースdeディべート」は皆さんがディベーターです。皆でディベートをしようという壮大な試みなのです。

 ディベート経験者しか知らない様々なノウハウを、日本社会に浸透させる試みなのです。あなたが「ディベート力」という「武器」を手に入れる場なのです。ディベートなんぞできるようになって何の役に立つのか?そんな指針すらもいつの間にか手にしているでしょう。

 毎号、その週に起こった主要ニュースを取り上げます。その中から特に賛否が分かれそうな物を題材とし、次の1週間で皆で議論していきましょう。

1.今週のディベーダブルなお題

原発はクリーンエネルギーか?でディベート!

2011年の東日本大震災から10年以上が経過しました。日本では脱原発は大きな政治的イシューとなってきて、2010年には全体の3割を占めていた原子力発電も、現在では全体の5%に満たない規模となっています。

ここでEUから、日本的な感覚からすると衝撃のニュースが入ってきます。「原発はクリーンなエネルギー」とEUが決定したというのです。

東日本大震災を経験した日本の世論からすると信じられない決定かもしれません。しかしこの話題を掘り下げてみると、世界的主導権を握りたい欧州、CO2削減の取り組みの行く末、日本が受ける影響など様々な点が見えてきます。今週も一緒に考えていきましょう。

引用元:環境エネルギー研究所 https://www.isep.or.jp/archives/library/13188

◆CO2削減の取り組みについて
1997年の京都議定書は皆様もよくご存じかと思います。当時は先進国に焦点を当てたCO2排出量削減が盛り込まれていました。2015年のパリ協定では、発展途上国も参加し、工業化前と比較した気温上昇を平均2℃以内に抑えることを目標に、1.5℃以内を努力目標に定めています。また、2050年以降には実質排出量ゼロも目標に掲げています。現状は中国やインドなど大きな途上国が占めるCO2排出量の割合が高くなっており、各国で足並みがそろっていない状況もあります。相対的には排出量の少ない米国やEUが、この問題についても世界の主導権を握ろうと様々な取り組みを進めているようです。

引用元:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA157030V11C21A1000000/

◆再生可能エネルギーの現状と展望
日本でも「脱原発」の議論の中で話題になった再生可能エネルギーだが、実態としては普及は思わしくありません。日本でも約20%、EUでも40%を占めるにすぎず、安定性などの課題からすべてを再生可能エネルギーで賄うのは難しそうな状況です。ある一定程度は人工的な発電方法に頼らざるを得ない中で、原発や従来の火力発電をどう考えるか議論されています。

◆EUタクソノミー
様々な産業や商品の中で何が持続可能かを位置づけるEUの基準が「EUタクソノミー」です。この度、原子力発電をEUタクソノミーに位置づけるかどうかが議論されており、2022年2月2日時点で公開された法案の原案では「原子力発電はクリーン」とされています。「持続可能・クリーンである」と位置づけられれば、脱炭素に貢献する産業・商品として民間資金を集める効果があり、EU全体での脱炭素を後押しすることになります。具体的には、各企業にEUタクソノミーに準拠する売上比率の公表を求めるなどの施策を行っており、企業経営がEUタクソノミーを前提とするよう仕組み作りを行っています。投資家もEUタクソノミーに準拠する企業やプロジェクトに資金を集中させることが予想されます。原発がどう位置づけられるかどうかで、各国の電力供給比率には大きな影響を与えそうです。

◆賛成派・反対派の立場

~賛成派~
フランス・フィンランドや中東ヨーロッパ諸国は原発をクリーンとすることに賛成の立場です。CO2排出量の観点から、原発は火力発電とは比較にならないほど「地球にやさしい」と言えます。また、環境負荷の観点からも大きなリスクはないとの立場をとっており、EU各国を主導して原発をEUタクソノミーに位置づけるべく取り組んでいます。フランスでは既に原発の施設を決めており、この点からもEUタクソノミーに位置づけることは国益となる現実もあります。

~反対派~
ドイツ・スペインなど少数の国は原発をクリーンと位置付けることに反対しています。CO2排出量が少なかったとしても、事故のリスクや核燃料処理の際発生する放射能が環境への負荷が高いとしており、クリーンではないとの認識です。ドイツ等は発電の多くをロシアからのパイプラインによるガス供給に依存しており、原発依存度は高くありません。このため原発をEUタクソノミーに位置づけることは国益に反するとの考えです。一方で、発電効率を高めたガスによる火力発電を「クリーン」と位置付けることを提案しており、議論は混乱を呈しています。

◆完全なクリーンは存在しない世界で
上記のように、各国がCO2削減という地球規模で重要な論点を掲げつつも、結局は各論では各国の国益になるかどうかが主張の分かれ目となっています。再生可能エネルギーに100%頼ることが現実的に難しい中、従来から存在する原子力・火力発電をなんとかして「クリーン」に位置付けることで、自国の発電を「クリーン」と位置付け、少しでも利益を自らのものにしようという思惑が透けて見えます。「原発はクリーン」という考え方、日本では「え??」と反応されることも多そうですが、EUはじめ各国で大真面目に議論が進んでいるのです。

 論理的に考えれば①発電効率②環境負荷リスクの評価で決着がついていきそうです。①人工的に発電を行う以上、CO2排出ゼロはあり得ません。1kwhを発電するのに排出するCO2は必ず数値化できるため、この値が一つのカギとなるでしょぅ。もちろん、この点では原子力発電はかなり有利です。一方のガスによる火力発電も、効率性が従来より進化しており、一定の基準に適合するものを増やせばCO2排出削減にはつながります。

②環境負荷リスクの評価では、原子力発電による事故と放射性物質がもたらすリスクの評価が重要となります。ただし、この議論は日本など原発事故を経験した国とそうでない国でリスクに対する考え方が分かれるでしょう。というのも、原発事故は数十年に1度レベルでしか発生しておらず、1度の影響は多大ですが、極めて低リスクであることも事実だからです。また、放射性物質の無害化には数十年~数万年単位でかかるものもあり、こちらもリスク評価が極めて難しく、短期的には「クリーン」とされる可能性もあるでしょう。

 以上の論理的な観点に加え、各国の国益が絡む交渉が今まさに進んでいます。議論の行く末がどうなるか、注目です。

◆日本への影響
上記はEUを主体とした議論でしたが、日本への影響も少なからずありそうです。EUタクソノミーに位置づけられれば、欧州で商品を販売する企業はどこの国の企業であってもEUタクソノミーに適合する売上の割合などを開示しなければなりません。日本が仮に現状の火力発電に頼った電力供給を続けると、スコアはきわめて悪くなり、実質的に欧州で日本で生産した商品を販売することが難しいという状況になりかねません。少しでも欧州での売り上げがある企業にとっては大打撃となる可能性があるのです。環境問題とは観点が異なりますが「GDPR」という個人情報保護規定はすでに日本企業にも影響を与えています。EUが設定した極めて厳しい情報保護規定GDPRに適合するには、難易度の高い条件をクリアする必要があり、企業にとって非常にコストがかかるものとなっています。EUでは各企業が当たり前のように対応しているため高額の投資を行っても競争上不利になりませんが、日本企業ではGDPRに適合するレベルでの個人情報保護に対する投資は一般的ではないため、そのコストの高さから「欧州販売の撤退」という形を選択する企業が少なくないのです。同様に、EUタクソノミーに日本が追随しなければ、日本企業がEUで事業を撤退せざるを得ない事例が増えかねません。日本政府は現状、本件について静観の構えですが、積極的関与をしていくことが極めて重要だと本誌としては考えています。

以上が原子力発電をめぐるEUでの議論でした!みなさんはどうお考えですか?一緒にディベートしましょう!!

3.ディベート的投稿コーナー

ニュースでディベートを唄っていますが、どこがディベートっぽいのか正直分かりません。
時事問題を追いかける中でこちらのアカウントを発見しました。リストに加えて密かにウォッチさせていただいております。noteの記事も楽しく読ませていただいております。ただ、どのあたりの特色をもって「ニュース」で「ディベート」なのかいまいちピンときません。ディベートに興味がありますので、時事問題をディベート的に料理するというコンセプトは大変おもしろいと思います。

-ディベート賛否さんの解答
「論点を明確にして整理する」ことがディベートの要素であるため、既存メディアとは一線を画した議論を進めてきましたが、確かにディベートなのに賛成・反対がわかりにくかったり、課題があると思います。今週の記事から少し賛否の立場の違いを明確にしてみましたのでお楽しみください!

Twitterのフォロワーが増えません。どうすればいいでしょうか。
よろしくおねがいします。匿名希望にて失礼します。学生時代にディベートを授業等で行ってきたため、懐かしく読ませていただいています。気軽な質問コーナーということで、Twitterについて投稿いたします。私は就職情報について自分の体験を発信するアカウントを運営しています。一日に20ツイート以上と決めてツイートを継続し、こちらから積極的にフォローするように心がけていますが、全くフォロワーが増えません。賛否さまもアカウント自体はできて間もないようですが、経験が豊富とお見受けします。アドバイスを頂戴できますでしょうか。

-ディベート賛否さんの解答
賛否さんもこれまで様々なアカウントを運用してきましたが、フォロワーを増やすのは年々難しくなっていますよね。魅力的な発信をしているアカウントが増えてフォロー基準が高くなっていたり、ビジネス的なアカウントへの警戒心もあるのでしょう。一方で、数字だけを追い求めなくてもいいと思うのです。有象無象のアカウントが乱立するなか、フォローしてくださった方や縁あってやりとりが始まった方とのコミュニケーションを充実させることに注力してみてはいかがでしょうか。同じTwitterでも時代と共に変化します。ディベートにおいても、時代、地域などの背景や文脈(コンテクスト)や流行や世界の潮流(トレンド)を踏まえることを意識してみてください。きっと分析が深まるはずです。

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作者 : ディベート賛否さん / 週刊ニュースdeディベート
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ディベート力を皆のものとするため、今後も頑張ります。