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大学生の貯蓄は時期尚早か?

貯金?経験?

大学生の貯蓄に否定的な意見をよく見ます。「時間があり多感な時期だから経験にお金を使うべき」と言われるのです。今回はこの意見に反論しながら大学生の貯金の重要性を主張していきます。

そもそも、「お金を使わないと経験ではない」なんてことはありませんよね?つまり、貯金と経験は二律背反ではありません。経験の重要性とお金を使うべきかどうかの議論は分けて考えるべきです。
お金を使わないように工夫することが有意義な経験になることもあります。大切に熟慮して選択したお金の使い道だからこそ、そのプロセスやふりかえりから大切な学びを得られるのです。


お金には複利の効果がある!

ここからは一旦、「大学生の貯蓄は重要だ!」という話をします。ここでいう「重要だ!」は「積極的にするべきだ!」くらいの強いニュアンスを持たせています。
貯蓄否定派が見落としている点として、20歳の100万円と40歳の100万は資産価値が全く違うということがあります。仮に、年7%で運用する技術を身につけた場合、20歳の100万円は50歳の頃には761万円になっています。
人生100年時代といわれる中で、本当に時間があるのはリタイア後ではないでしょうか。さらにいえば、早期退職などして老後(老後という言い方は適切ではないかもしれない)を長くする努力をするべきではないでしょうか。
55歳で退職して95歳まで生きるとしたら、40年間の時間を作れます。45歳で退職できるなら50年間の時間を自由に過ごせます。それと比べると、果たして、大学生の4年間は「時間があるから経験にお金をかけよう」と言えるほどの期間なのでしょうか。
大学生がするべきは、早期退職して自由な時間を手に入れるための資産形成の計画と、自由な時間を作った後にやりたいこと(趣味や社会貢献)を育てることだと思います。
経験による費用対効果を過大評価しすぎていないでしょうか。複利の効果を知って、貯蓄と資産運用を始めるとともに、経験と安易に呼んでいるお金の使い道を吟味したいものです。


そもそも経験ってなんだ?

ここで、「経験」という言葉が堕落してしまっている点を指摘しておきましょう。先人が「経験に投資を」と言ったのは友人と旅行に行ったり、サークル活動を楽しんだり、ヒッチハイクをしたりすることではないでしょう。そもそも、「全力で楽しむ」なんて形容は、快楽主義を隠すための言い訳以外の何物でもありません。例えば、サークル活動はどれだけやっても快楽的な目的の上に成り立つ快楽的な行為であり、そういうものは投資対象の経験ではありません。「好きにすれば」と言われる部類です。

「快楽的な目的でやったことも非予定調和的に将来プラスに働く事がある」という主張をする人もいるかもしれません。目的を考えて行動する事が全てではないと言う主張です。確かに一理あるように思えます。
しかし、突き詰めれば予定調和的に行動することは可能であると考えるべきであり、ある意味で反知性的と言えるような態度は取るべきではありません。反知性的態度は、利己主義に傾きニヒリズムに陥り幸福度を下げ、社会全体のカオス化に繋がります。

先人たちの指す経験とは、社会貢献事業を立ち上げたり、未解決の数学の難問に挑んだり、プロ野球のトライアウトを受けたりと、簡単にはできないようなことばかりなはずです。このような経験こそ「学生中に経験に投資しました」と言えるものです。


「経験に投資」じゃなければ、「何に投資」?

お金の使い道として、経験という自己投資の他に、勉強という自己投資があります。こちらは大いに賛成です。私自身、読書や新聞には身銭を切っていますが、それを除いても貯蓄は十分できます。


お金の使い道を考えることは生き方を考えること

ここからは価値観の形成にも関わる議論になりますが、私は「人々は幸福に生きることを第一の命題に持つ」という前提に立っています。混同されがちですが、幸福と快楽は異なります。幸福とは理性を豊かにし、自身の信条に適った生き方をすることです。自分の信条は価値観と言い換えても良いでしょう。
大学生が「経験」と形容する浪費を行い、快楽的・堕落的な生活を覚えることで、「信条が確立されないまま社会人になり結果的に不幸な人生を送ること」は避けたいものです。


私のお金の使い方

人類史以降、人間は自然の中にコミュニティーを作ってきました。しかし、次第に技術の発展が進み、現代では都市という形態で合理化しました。娯楽は都市の中に生み出せたかもしれないが、幸福は自然とともにあります。幸福にはそれほどお金はかからないものです。
大学生がお金を使ってどれほどのことが出来るというのでしょうか。人生プランを大きく動かす時、不幸を抜け出したい時、大切な人が困っている時。その時のために貯蓄形成をすることは大切なことだと私は思います。

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