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即位まで1年 高御座“秘話”

天皇陛下が自らの即位を宣言した「即位礼 正殿の儀」。
儀式のために貴重な調度品、「高御座」を移送するなど様々な困難がありました。皇太子さまの即位まで1年。当時の経験が生かされようとしています。

平成2年に行われた「即位礼正殿の儀」。自らの即位を宣言した天皇陛下が昇られたのが「高御座」です。

歴史上、初めて東京で行われた「即位の礼」。実現にむけ、困難を極めたのが
京都御所にある高御座の移送でした。

宮内庁の元職員、岡本和彦さん。実現に向けた奮闘を知る人です。

大正天皇の即位から使われている現在の高御座は、高さ6メートル半、
重さ8トン。東京へ運ぶには、解体する必要がありましたが…。

昭和の大礼からは60年以上が経ち、資料もほとんど残されていません。

いったいどうすれば解体できるのか…?本格的な調査が始まりました。

こちらは「浜床(はまゆか)」と呼ばれる土台の内部。柱には位置関係がわかるよう数字などが割り振られています。

1年にわたる詳細な調査。高御座と皇后さまが使われる御帳台には、
あわせて3000個もの部品があることがわかりました。

解体方法に加え、別の難題も・・・・。

当時、即位の礼を阻止しようと過激派によるテロ事件が頻発。「高御座を爆破する」という犯行予告まで出されたのです。

移送当日。京都御所を出発したトラックの写真が残っています。襲撃を逃れるため “ダミー”のトラックまで用意されました。

高御座と御帳台は自衛隊の駐屯地へ。過激派を警戒し、東京までは自衛隊のヘリで運ばれたのです。しかし、歴史的行事への準備はこれで終わりではありません。

当時の高御座の写真です。

漆塗りや金の装飾には劣化が・・。
その修復には多くの職人の活躍がありました。

岡村康子さん。朱色の漆塗り部分の修復を担当した漆職人です。

全国から集められた一流の職人によって、漆塗りや頂上を飾る鳳凰、麒麟の絵、金具などあらゆる部分に修復が施されました。

4か月以上をかけ高御座に本来の輝きが戻ったのです。

皇太子さまの即位まであと1年。
来年10月に行われる「即位礼正殿の儀」のため、30年近く眠っていた「高御座」がこの夏、再び東京に運ばれ、平成で得た経験を生かしながら修復が行われます。