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今、そこにある危機を乗り越える。—企業が問われるサバイブ力

「コロナショック」の言葉の通り、新型コロナウィルスの世界的流行は、多くの企業に大打撃をもたらしました。それ以前のあり方から大きく転換が求められています。一方で、こうした危機的状況下にも関わらず、着実に生き残る企業があります。その底力とは一体なんなのでしょう。

25年にわたる経営コンサルタントとしての経験から、解き明かしていきたいと思います。


人気店でも避けられないコロナショック

緊急事態宣言が解除され、先日、久しぶりにレストランに行きました。偶然に入ったそのお店はとても美味しく、やっぱり外食も楽しい!解除されて良かった!と思いました。新型コロナウィルスが広がる以前は、行列のできるお店だったそうです。ところが、残念ながら今月でお店を閉めるということ。月の家賃150万円、1月頃からどんどん客足が減ってしまい、私たちが訪れたときは、二組しかお客さんが入っていませんでした。この状況をどんなに頑張っても、6月までが精一杯…。苦渋の判断で、閉店するそうです。近隣の店舗もこれから順にお店をたたむところがあるのだとか。

東京商工リサーチによると5月21日時点での「新型コロナ関連」の経営破綻件数は170件にのぼっています。ウイルスが広がる以前は行列ができていたお店も、売り上げ拡大してきた大手企業でも、赤字転落、もしくは倒産するというように、一瞬で世界が変わってしまいました。

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こうした未曽有の危機は、過去にも幾度となく訪れていますが、今回の新型コロナは戦後最大級の危機とも言われています。この規模の破綻は、大半の人にとって初めての経験でしょう。

果たして、どんな企業がこの危機をサバイブできるのでしょうか。


サバイブする企業が持っているもの

この先、生き残る企業は、「オンライン化・デジタル化」に成功したところだと言われています。それに付随して「変化に対応する力」「他に替えがきかない独自性の発揮」「これからの時代に必要とされる社会性」が必要とされるとも言われています。

たとえば、外出自粛宣言が出てからもコロナ対応で必要とされるマスクや抗菌剤を買うために、連日薬局は賑わっていました。また、通販を利用する人や頻度は大幅に増えました。レストランなども経営を維持するのが困難になるところがある一方、通販でのビジネスを展開していたところや、宅配での対応を一早く取り入れたところの売上減少額は、それほどでもなかったようです。

長年コンサルタントとして、私自身、大手自動車会社を始めとする数多くの企業の栄枯盛衰を見てきました。内部事情などに触れる機会も多々ありましたが、そうした経験から、上記にあげた項目以外にも、危機を乗り越える企業には欠かせない大事な共通点がある、と感じています。

それが、組織の「レジリエンス力」です。


経済競争力と「レジリエンス」

「レジリエンス」(resilience)という言葉は、2013年のダボス会議で示され注目を浴びました。

レジリエンスは、もともとは物理学の用語です。外的な力による歪み、すなわちストレスに対し、その歪みを跳ね返す力として使われています。そこから派生して、「困難な状況でも、しなやかに対応して生き延びる力」というように用いられるようになりました。現在では心理学の分野でも使われている言葉です。


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先のダボス会議では「経済的競争力」と「レジリエンス」の二つの指標から、世界の主要国を分類したグラフが報告されています。当時の日本は、経済的競争力は高いものの、レジリエンスは著しく劣ると評価されました。今のこの状況で考えた場合、各企業は経済的競争力はもちろんのこと、困難にしなやかに対応することはできているでしょうか。



存在意義を忘れない

危機に陥った時に跳ね返す力=レジリエンス力のある企業というのは、結局、どれだけ目先のことだけにこだわらずに将来のビジョンを示せるか、そして、防衛的にならずにいられるか。この2つが大きな肝だと感じています。

「目先のことにこだわらず、将来のビジョンを示せる」という部分において考えてみましょう。

レジリエンス力のある企業は、自分たちの存在意義(ミッション)を常に意識している点が共通します。そのため、先見の明で、これからの時代に人々が必要とする開発投資を行ったり、次なる手を示したりされていました。また、多少、業績が落ちても、そこにこだわらない、つまり目標管理で人を厳しく縛ったりしないという点も見られました。それよりも「どうすればお客様に喜んでいただけるか」「自分たちはなんのために存在しているのか」というミッションに強く立ち返り、その先のビジョンを示されていました。こうしたビジョンによって、今、大変でも乗り越えていこう!というムードを組織内に作り上げているという点が共通しています。


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多くの経営者が犯しがちな間違いは、言葉では同じようにミッションを掲げていても、実際は言葉と違うことをやってしまっているという点です。

たとえば、創造性がこれからのわが社に大切だ、と言いつつも、新しいアイディアを社員が提案してくると、余計なことをしなくていい!と却下してしまう。もしくは、そのアイディアを提案した本人を本流ではない部門に左遷する。人を大切にすると言いつつも、実際には深夜残業が当たり前で、お互いに挨拶も交わさない。

ミッションとして掲げていることと実際が随分違うという組織状況を目のあたりにして、矛盾を感じたことは数多くありました。こういう状態では、組織内部に混沌を招いてしまいますので、危機的状況下で一致団結してしなやかに対応するということは困難になります。


危機さえも楽しむゆとり

「防衛的にならない」という点も、レジリエンスには重要な要素です。

お客様が喜んで利用されることを行っていけば、一時的なダメージがあっても復活していくわけですが、経営者や管理者にある程度の心の余裕がないと、感情面で「防衛的」になり、その結果、間違った行動をしてしまうことがあります。

たとえば、社員の行動に対して厳しいルールを作り出したり、監視したり、問題探しをしたり、あら捜しをするなどです。売り上げがこれだけ下がった、目標に対してこれだけの乖離があるなどと声高々にプレッシャーを与えるなどは、一見もっともそうでいて、多くは経営側の「防衛」心理からきています。そこに新たな戦略があれば別ですが、根底は不安や恐れから発していることのため、マイナスにしかなりません。

こうした未曽有の危機を乗り越えるためには、どこかで、この危機的状況を楽しむくらいのゆとり、そして本当に必要なことをやっているという内なる思い、つまりミッションが大切になります。

レジリエンスには、「ビジョン」と「防衛的にならない」こと、そしてその根底にはミッションがあるということです。


ブレないミッションを持つ

ミッションをブレずに意識し続けるためには、ミッションがどこからきたかということも大切になります。真に自分の「内側の叡智」としてやってきたものであれば、簡単にブレることはありませんが、「概念」として取り組んでしまうとすぐにブレてしまいます。この両者の違いを正しく認識していくためには、形而上学が大いに役立ちます。


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形而上学とは、メタフィジカル・サイエンスと呼ばれ、物質を超えた学問です。学問の祖と呼ばれるアリストテレスは、かつて「この世界には形而上学と形而下の学びがある。形而上学は難しいので、まずはわかりやすい形而下のことから教えることにしよう。ただし、形而上学こそが土台である」と言いました。まさに、この物質世界の土台となっている学問が、形而上学です。そこには、日常的な事柄を遥かに超越した叡智が数々あり、普遍的で絶対的なものです。

本質的な要素を理解すれば、ブレることもなくなります。結局、レジリエンスとは危機に陥ったときに跳ね返すしなやかさであり、それは何が起きても「ブレないでいられること」です。

柔軟性がない木は、大雪や台風ですぐに折れてしまいます。柔軟性のある木はしなやかで簡単には折れません。本質があるということは、柔軟性を生み出します。


どうやってレジリエンスを育てるか

レジリエンス力をつくるために必要な知識が「形而上学」であるとするならば、実践するために必要な方法が「瞑想」です。


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瞑想は、本質を見極めることに大いに役立ちます。お釈迦様は、「瞑想の不足は無知を招く」とおっしゃいました。一方、「瞑想は智恵をもたらす」ともおっしゃいました。瞑想することで、今、起きていることの奥にある問題が理解できたり、本当に必要なことは何かを掴んだりすることが容易になっていきます。瞑想によって心のありようを整える、ということも大切です。

ちょうど今、将棋界では、藤井聡太七段の史上最年少のタイトル戦、「棋聖戦」が話題になっていますが、かつての棋聖でもある大山康晴十五世名人の言葉に、こんなものが残されています。

不運が続くと思ったら、虚心になって変化を目指せ。不運を幸運に変える要諦は、これしかない。

まさに、この「虚心」に戻れるのが瞑想でしょう。

瞑想には、さまざまなスタイルがありますが、最もシンプルなものが最も高い効果を生みます。「NEW LIFE」の記事でまたご紹介していきますので、続報をお待ちください。


企業も人も、困難に出会ったときにその真価が問われます。レジリエンス力を高めるとは、すなわち生き抜く力を高めることです。

アフターコロナと言われる時代においても、この先何があってもいいように、どんな困難にもしなやかに生きられるように、「形而上学」と「瞑想」を身につけること。

それが私たちのレジリエンス力なのではないでしょうか。

 

シンシア・ロヒ 
NEW LIFEエディター。ニューシャンバラクリエイター。経営コンサルタントとして25年間大手企業から中堅企業まで幅広く携わる。特に自己価値を上げていくことで、チームや個人が成長していくというプログラムに定評が。形而上学とモダンミステリースクールとの出会いから、ヒーラーとして独立。現在は年間1000セッションを超える人気ヒーラーに。「思いついたら即やる!」という直感的なひらめきと、怒涛の行動力を発揮するNEW LIFEのアイデアウーマン。銀河的でヘルシーなライフスタイルを追求しており、オーガニック情報や健康情報にも詳しい。熱い熱いおひつじ座。

チベット子ども支援‘これ+活動’主宰。
時代を変えるリーダー・エグゼクティブに愛されるサロン「幸せの扉」主宰。
https://happy-ganeza.com/

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