第2回『一切なりゆき』樹木希林
全身にがんが転移したのをものともせず
亡くなる迄の15年余、役者人生を生き抜く
女優の樹木希林さんが亡くなって間もなく4年になる。彼女の言葉を集めた『一切なりゆき』(文春新書)は、死の翌年、令和元年の出版総合で150万部を売り上げ、年間のトップとなった。最近遅ればせながら読み、随所で共感を覚えた。読んだ方も多いと思うが、センテンスが短く、内容が平明で分かりやすい。その上、「生き方」を考えるのにすこぶる参考になる。読むほどに、私の感性と共通する意見も散見できて、しばしば留飲を下げた。恐らく読者の多くも同じような思いで読んだのではなかろうか。