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塾講師として成長したいあなたへ④

「信頼される講師であること」、これは塾講師として成功するための必須条件と言っていいでしょう。信頼する先生から言われたことは生徒の心に響きますし、保護者との相談もスムーズに進んでいきます。私はこの記事の最初に「成績の上がる授業が良い授業」と定義し、授業以外の時間も大切だという話をしましたが、生徒は先生の指示通りに勉強してくれるとは限りません。ただ、信頼されていれば、指示通りに勉強してくれる確率も高くなることは確かでしょう。
 こういう話をすると、「信頼される先生≒経験値のある先生」というイメージがあるため、経験の浅い先生は悩ましく思われるかもしれません。しかし、経験が浅い人でも信頼されるようになる方法は実はいくつもあるのです。

1.生徒・家庭と向き合う

前回、生徒と向き合うことが自分の授業をよくすることにもつながる、と話をしました。そして、このことは信頼される先生になるための第一歩でもあります。生徒は「自分のことを見てくれている」と思える先生についてきます。私もまだ大学生のアルバイトのころかな、「先生は若いけど、やる気もあるし、子どものことをちゃんと見てくれるから信頼しているんですよ」と、ある保護者の方に直接言われたことがあります。生徒だけでなく保護者とのコミュニケーションを密にして信頼を得る。こういったことも、結局は生徒の成績向上につながるし、きょうだい生など塾の新しいお客様の獲得にもつながっていくのです。若い人ほど、保護者の方とも密にコミュニケーションをとってください。

2.授業に手を抜かない

これは昔、別の現役生向けの予備校で働いていた時にその予備校のマニュアルに書いてあったことなんですけども、「生徒の、教師の授業を見抜く力は一流」なのです。「今日は忙しいからいつもより予習が足りないけどまあいいか」と自分で思ってしまう授業は、生徒にはすぐバレると思ってください。信頼される先生になるためには授業の手を抜かないこと。そして、授業は予習がすべてです。特に経験の浅いうちは予習は徹底してください。もし、あなたが塾の正社員で、授業以外の業務が忙しくて予習に十分な時間が取れないような職場であるなら勤務先を変えるべきです。塾はあなたが勤務している会社以外にもたくさんあります。あなたに合う「文化」をもつ塾がほかにあるはずです。

3.自分の学力を上げる

質問しに行っても問題の解けない先生は当然のことながら信頼されません。自分が担当する教科の学力は、少なくとも入試問題が解けるレベルまでは勉強しなければいけません。とはいえ、経験が浅いうちは、自分の専門外の教科を担当するケースも多く、問題が解けないことも少なくないでしょう。でも安心してください。ベテランの先生だって、最初は入試問題が解けない人ばかりだったのです。例えば、中学受験の理科という領域は、実は文系出身の先生が少なくない。というのも、たとえ理系出身の方でも第1分野と第2分野の双方に精通した人などいませんので、塾は理科を教えられる先生を意図的に育成する必要があるからです。つまり、最初はまったくわからない内容ばかりだったけど、教えながら勉強して今の立場にある、というのが当たり前のことなのです。最初のうちは質問に答えられないものがあったら無理にせず、ときには持ち帰って調べてから返すことも必要です。間違ったことを教えるより、「わからない」といった方がはるかにマシです。

4.間違えたら必ず訂正する

講師といえども人間です。時には間違えることもあるでしょう。そういうときは、次の授業の時でもいいのですぐに訂正することは大切です。メンツを優先して間違いをそのまま放置することは、あとで訂正した場合よりもはるかにダメージが大きいと思ってください。これは保護者とのやり取りの中でも同じことが言えます。進路指導など最初のうちはなかなかできません。聞かれてすぐにわからないこともあるかもしれません。そういった嫌な経験があなたを強くしていきます。

5.清潔感を保つ

そして、誰でもすぐにできることが、清潔感を保つことです。突然、「え、何それ?」と思うかもしれませんけども、でもね、これは本当に大事なんですよ。これは私自身の反省に基づくんですが、今振り返ると、大学生のころは身なりに無頓着でした。ちゃんと身なりに(それなりの)手間暇をかけるようになったのは20代後半になってからですかね。そうすると、反応は間違いなく違うんですよ。皆さんも、これまでに習ってきた学校の先生などを考えてみればわかりますが、よほど面白い先生は別として、そうでなければ、身なりがちゃんとしている人とそうでない人に抱く印象は全然違うはずです。顔や体形は関係ありません。大事なのは清潔感です。そして、とても残念なことですが、塾講師の世界は一般的なサラリーマンの方より清潔感が劣る率は高いように思います。他社の方と触れ合うことの少なくやや閉鎖的なところや、就職活動を経ずに学生アルバイトがそのまま就職してしまうケースが少なくないことも要因かもしれません。特に中学生以上を教えているのならこの点は案外大事な要素なのです。経験が浅い人ならなおさら、まずはすぐできることから始めてみてください。

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