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現実と虚構の狭間にいるからこそ見えるものがある~シン・ウルトラマン感想~

シン・ウルトラマン、面白かったですねぇ。この一言で片付けられない、思ったことをつらつらと書き散らしていこうと思います。
個人の与太感想であり、考察や解説では全くありません。また、ネタバレ的なものは有りで書きますのでご注意ください。私自身はウルトラマンに特に明るくなく、バルタン星人、ゼットン、毒蝮三太夫!くらいの知識しかなく、予告編に出てきたネロンガ、ガボラなど知らなかった程度の人間なので適当な文章であることをご承知ください。

シン・ウルトラマン、クレジットが流れた後は面白かったという感情が強かった。しかしながら序盤は違和感があるシーンが多かった。序盤のガボラ戦まで説明セリフが多いように感じた。それもワザとらしいくらいに不自然に説明ゼリフがあるのである。最初の銀色の状態で現れたウルトラマンが赤くなって再登場、そこでのセリフで「赤くなってる…」いや、見ればわかるでしょう。長澤まさみ演ずる浅見が初めてウルトラマンを見たセリフ「…あれがウルトラマン…」←ここまでは予告編に出てきた。その後に続く「きれい…」…いやこういう心情はセリフで言わせるのではなく表情とか映像で見せるのが映画なんじゃないの?と突っ込んでくださいと言わんばかりの蛇足なセリフに感じた。明確に記憶しているのはこの2つだが、そのほかの禍特対メンバーのセリフがわざわざ説明臭いのである。一般的に言えば下手な脚本と切り捨てるのだろうが、強い違和感を憶えるほど説明セリフが多いのである。
物語が進み禍威獣ではなく会話が出来る外星人、ザラブ星人の登場。この時のなんともいえない独特なサウンドエフェクト!私自身はこの時にようやく気づいた。
シン・ウルトラマンはワザとらしいことをワザとやっているのである。ザラブ星人の登場前にも令和の時代になってパソコンの壊れる表現でパチパチ火花が出ていたような記憶が…(うる覚えですが…あったよね?その後物理的に壊れているだろうものが直せちゃうし)
この独特なサウンドエフェクトやワザとらしい演出などは元のウルトラマンのオマージュなのだろう。さらに印象に強く残ったのが、どの戦いか記憶が不鮮明だがウルトラマンが禍威獣に対し、いわゆる飛行ポーズのままサマーソルトキックのように蹴りとばすシーンがあった。オマージュではあると分かるがあまりにも不自然である。ウルトラマンの戦闘シーンのみならず、禍特対や政府の人間達の会話にも不自然に感じられるようなところがいくつかあった。(例として浅見が禍特対に派遣されてからの神永との会話。神永は既にウルトラマンになっているので人間的でない会話の仕方になっているが、あれだけ不自然であれば他のメンバーが何か気にかけるだろう。)ここで言いたいのはオマージュだから不自然なものを許容しているのではなく、不自然なものを不自然なまま意図して入れているのではないかということである。

映画、ドラマ、アニメなどの映像作品のみならず、物語を楽しむ際にはある種、受け手側に必要なことがある。その物語は虚構であるということを理解した上で楽しむことである。とても当たり前のことだが、逆説的なことも語られたりする。面白い物語にはリアリティ(現実性)が必要であると。現実性のない物語はその物語を信じることが出来ずに楽しめなくなってしまう。ウルトラマンが出す光線は何か?という問いに対し、スペシウム133を使用した光線と答える。このスペシウム133というものは当然存在せず虚構である。ただ、もしかしたらそのような物質があるのではないか?と少し信じられる。しかしながらその後、どうやって空を飛ぶのか?などの疑問に対しほとんどの答えをスペシウム133で回答してしまう。あまりにも便利なスペシウム133に対し、やや失笑が起きていた。スペシウム133に対し虚構性が強くなり、そんな便利すぎるものは無いと思ったのである。総理大臣との対話でのシーンで周りの取り巻きの多さや官邸室など現実に沿ってセットを作成しているのかもしれないが、その中で意図的に虚構性を高めているのである。シン・ウルトラマン全般に通じる不自然さ、わざとらしさは現実性と虚構性のバランスをとるために、バランスを取るというより虚構性に重みを傾けるために演出されているように感じる。シン・ゴジラの時からCGに関しては少しだけCGらしさを出しているという。ネットの情報であるが、リアル過ぎると観客が引いてしまって楽しめない、といった書き込みを何かでみたことがある。シン・ウルトラマンでも禍威獣はCGらしさがあり、ウルトラマンに関しては微動だにしないポーズで空を飛んでいる。元のウルトラマンに対するオマージュであるが、ただ真似をしたのではなく特撮の持つ虚構性を再現しようとしたのではないか。
面白い物語は現実性を含む虚構である。いかに現実性を高めていくかが作品に求められる節がある。その中でシン・ウルトラマンは虚構は虚構のままでも面白いよ!と言わんとしていたのではなかろうか。

シン・ウルトラマンを見て気づいたのは、シン・ゴジラから始まる「シン」シリーズ全体を通じて”現実と虚構”というのがテーマにあるのではと思う。シン・ゴジラはキャッチコピーでベタに「現実対虚構」とある。私自身はこのコピーに対してあまり理解していなかったが、ゴジラという虚構に対して現実にどのように対応するか?もしくは前半のゴジラに有効な手だてを打てずにいるのが現実で、後半のゴジラを倒すためのリーダーシップのある政治家がいるというのが虚構であるなどその後のネットなどでなるほどと感心していた。シン・エヴァに関しては虚構を作っていたキャラクター達が役を終えて現実に帰る物語である。その中でシン・ウルトラマンは現実の中で構築する虚構というものを作ろうとしたのではないだろうか。
実写作品などで役者さんは実在する。斎藤工という実在の人物が神永シンジという虚構の人物を構築していく。要は演じているということである。ウルトラマンは現実にはいないし、外星人がやってくることはないし、人間が巨大化することはない。しかしながら起こりえない虚構が現実にあるように演じることで観客は魅了されるのである。
人物による演技のみならず、爆発やビルの崩壊などの現実の現象を模型や撮影技術を駆使して演技しようとしたのが特撮であると言える。特撮のもつ演技性、演技だからこその感動がシン・ウルトラマンにあったのではないか。

それっぽく書き連ねてきたがなかなかまとめきれないので強制的に終わらせる。なんとなく「嘘を嘘のまま楽しむ」ということが全体的にシン・ウルトラマンから感じられた。ほら、現実の動物図鑑より怪獣大百科をのめりこむように読んだことあるじゃないですか?
実在しないものに詳しくなるなんて無駄なことと思われるが、やはり楽しいのである。なぜこんなに嘘を楽しめるかというと、その嘘を懸命につき続けた人たちがいたんですよね。1兆度の火球なんて存在したら太陽系ごと蒸発してしまう。地球を滅ぼすには明らかにオーバースペックであり現実的ではない。しかしながらこの1兆という数字設定にやべー!すげー!となるんですよ。この一兆度というデタラメに対し、存在しない怪獣の絵を描き、さらに解剖図まで描いたことによって嘘だと理解しているけど楽しめるようになったんじゃないかなと思うのです。
嘘をつき続けて現実性を高める。この現実と虚構の狭間にある境界線をいったりきたりすることで面白い作品になったのではないでしょうか。シン・ゴジラではいかに現実性のある虚構を追い求めたのに対し、シン・ウルトラマンは現実性が失われないギリギリの虚構を追い求めたのではと感じている。
うーん、やはりまとめきれない部分もある。なんとなくの感覚としてはやはり動物図鑑よりも怪獣大百科にはまってしまう感覚が一番適切な気がする。なぜ?といわれるとやはり説明しきれないのだが、虚構の面白さというものをシン・ウルトラマンでは追及していたのではと感じられるのです。

それと、なにかと話題のセクハラシーンですが私自身はいわゆる、性の目覚め的なものを再現しようとしてるんだなーくらいにしか思ってなかったです。女性ファンも来ることを考えれば配慮すべきでは?と言われれば確かに、とも思います。(最も一番怒っていたのは原作ウルトラマンファンだった印象であります。あんなに卑猥じゃないと。)

・おまけ…シン・仮面ライダーの勝手な妄想

ゴジラとウルトラマンに関しては正直そんなにファンということでは無かったので「シン」化されることは純粋に「面白そー!見に行きたい!」と衒いもなく楽しみにしていたんですが、仮面ライダーに関して思い入れがそこそこあったので(主に原作漫画版に対して)発表されたときは「いじるなんてなにも聞いていないぞ!」というのが強かったです。(ゴジラ、ウルトラマンファンも似たような感情抱いていたんでしょうね)
不安半分楽しみ半分ではあるのですが、「シン」シリーズが現実と虚構をテーマにするのであれば、シン・仮面ライダーは現実に侵食する虚構あたりがテーマになるのかな~と勝手に妄想しています。もう少しカジュアルな言い方をすれば現実での「ごっこ遊び」を目指していくのではないかなと勝手に思うのです。ショッカーアプリの配信も、現実と虚構を混ぜるためのきっかけなのかなと思っています。社会的なテーマにするのであればフェイクニュースやプロパガンダに利用される虚構の物語になるのかなとも思っています。
それとシン・仮面ライダーは勝手に3部作になると思ってました。だってまとまるわけないじゃん!と考えていたけどシン・ウルトラマンできれいにまとまっているのを見て分からなくなりました…

以上、とりとめのない長文駄文失礼しました。自分の文章は文末が「思って」と「感じて」ばかりだった…もうちょっと文章うまくなりたいですね。そう思いました。


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