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CDと行楽

 CDとダウンロード。音楽を買うとき、読者の皆さんは、どちらで買っているだろうか?

 私は後者だ。

 CDはたくさんあっても、部屋のスペースを圧迫してしまう。それに聴きたい曲があるとき、次の曲に変わるボタンや一時停止ボタン、停止ボタンを押す作業が億劫に感じる。おまけに、曲がまとまってディスクに入っているため、値段が高い。

 スマホやPCの内部ストレージやHDD、SDカードやUSBメモリー一つに集約できるダウンロードの方が何かと都合がいい。狭い部屋に住んでいて、好きな曲のみを買いたい私にとってはなおさらだ。

 だが、先ほどボロクソに叩いたCDにもいいところがある。音質がいいこと。そして、友達と車でどこかへ行くとき、流れている曲の話題について語れる、素敵で楽しいひと時を与えてくれることだ。

 そのため、私は友達と車でどこかへ行くとき、必ずCDを数枚持っていく。

 友達も友達で、私が歌を聞くことが好きなのを知っているので、何かしらCDを持ってくる。持ってくるCDの相場は、大体平成ライダーのコンプリートアルバムやシングルと決まっているが。

 わからない曲がほとんどなので、私の友達は、

「佐竹くんわからないかもしれないけどいいかな?」

 といつも確認してくる。

 こういうとき、私はいつも、うん、とうなずいて、車内に流れる曲を聴いているものだ。

 曲が流れはじめると、私は流れてきた曲を知っているか知らないかの話をして盛り上がる。そして、その曲と関係のある仮面ライダーの話題や、番組に出演していた芸能人の話題に変わる。

 流れると特に盛り上がる曲は、『仮面ライダーディケイド』の主題歌で、GACKTが歌っている『Jorney though the decade』。

 この曲は、同人活動の打ち合わせを兼ねたカラオケで、誰かしらが必ず歌う曲。多いときは、その場にいた全員が歌ったこともあった。そのため、私や友達にとっては、何度か歌っているなじみ深い曲となっている。

 

 目的地までの途中。私と友達は、ブックオフで途中下車して、必ず買い物をする。

 友達は決まって小説やマンガを買うのだが、私はそこでCDを買う。

 CDを買うアーティストは、スピッツかDo as infinityのどちらかと決めている。といっても、ほとんどは友達の意向や私の嗜好で、スピッツのベストアルバムを買うことになるのだが。

 ちなみに初めてCDを買ったのも、このショッピングタイム。買ったのは、スピッツのベストアルバム『CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection』。『夢追い虫』の別バージョンのディスクがついていたことから、限定版であることは間違いない。


 少し長めの買い物の後、車の中に戻って、私が買ってきたCDをかける。

 そのときは、友達の持っている平成ライダーのコンプリートアルバムやシングルを流しているときとは違い、静かになる。優しいギターの音色と、ボーカル草野マサムネの低くて爽やかな声が、自然に満ち溢れた外の風景とマッチしているからだろう。

『ホタル』と『流れ星』、『水色の街』が流れていたときは、特に静かだった。どれも、ギターの音色が優しくも哀しいスピッツの名曲だ。

 友達といるとき、いつも多弁になる私も、このときは静かになる。そして、車窓から見えるコバルトブルーや水色の空、その向こう側に見える田んぼを眺める。車の中に流れるスピッツの曲を聴きながら。

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