【エッセイ】段ボール甲冑の裏話(『佐竹健のYoutube奮闘記(1)』)

 段ボールで作った甲冑を着てみた。動画の企画で。

 段ボール甲冑を作って着てみた感想としては、

「面倒くさい」

 という一言だろうか。作ったり着たりする過程が、とにかく面倒なのだ。

 作るという意味では、素材の調達や色塗りと甲冑の部位の名前を覚えなければいけなかったことだろうか。

 素材の調達はかなり面倒だった。

 段ボール甲冑を作る際に必要になるものは、段ボール、カラーペイント、金の折り紙、紐、結束バンド、クリップの6つ。カラーペイント、金の折り紙、紐、結束バンド、クリップは百均で買えるうえにサイズもコンパクトだから調達しやすい。だが、段ボールはそこそこの大きさがあるので、調達に困った。

 段ボールがカバンに入らなかったので、上や下の端の部分や側面を折り曲げて小さくして入れた。そうすると今度はカバンのチャックが締まらないという問題が発生した。

「もう面倒くさいから閉まらなくてもいいかな」

 諦めた私は、カバンのチャックを閉められるところまで閉め、それをかついで家へと帰った。

 甲冑の部位の名前を覚えなければいけないのも、難儀と思わせる要素の一つだった。

 袖、籠手、胴、草摺(胴の下についている部分)、吹き返し(兜の前の両脇についてる部分)。とにかく名称が細かい。

 もちろんこうした細かな名称を調べなくても甲冑は作ることができる。だが、心配性で不器用な私のことだから、何も調べずに作るとなると、とてつもなくクオリティーの低そうなものができそうな気がした。おまけに私は、歴史小説を書いている人なので、鎧の部位とか名称くらいは知っておかないといけない。このようなこともあり、私は鎧の部位について入念に調べることにした。

 部位について調べる過程で、検索でヒットした鎧の部位について詳しく説明されている画像を見たり、実際に甲冑を着る動画を見たりした。後者については、着るという過程においても大きな意味をなしてくるので、いい勉強になった。

 結果できたのは、素人目から見れば、

「模擬合戦や舞台で着ていても違和感が無いようなもの」

 だった。詳しい人から見れば、

「違う、そうじゃない」

 と突っ込みが入ってくるのは間違いないが。


 着るという意味で難しかったのは、籠手をつける作業だろうか。

 脛当や佩楯、袖をつけるという作業もめんどくさい。だが、それ以上に段ボール甲冑の籠手をつけるという作業は特別難しかった。

 本物の甲冑の籠手は、手の甲を覆うアームカバーのように着脱がしやすいものとなっている。そして鉄の部分が鎖でつなぎ合わせられているため、甲の部分を取り付けるということはしなくてもいい。だが、段ボールで作った甲冑の籠手はアームカバーのようになっていないので、紐で縛っておいたり、手袋をはめる必要がある。そのため、着脱が非常に面倒なものになってしまった。

 片手で紐を縛るのは容易ではないし、手袋をつけてしまうと兜の緒を結ぶとき不自由な感じになってしまう。また、紐を縛っても後でほどけてしまわないかと考えると、不安で不安で仕方なくなる。

 次に作る機会があったら、今度はほどけないように紐で結ばずクリップや安全ピンで留められるタイプにしようと思う。


 こんな感じで、段ボール甲冑の製作は進められていた。

 今思えば、めんどくさいとか、ここをこうしたらもっと良くなるんじゃないかと思う部分がいくつもある。けれども、それ以上に勉強になったことの方が大きかったので、有意義な時間だった。

 次に作るときは、違うタイプの甲冑にチャレンジしてみようと考えている。


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