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【エッセイ】神様、もう勘弁してください

 神様に一言言いたいことがある。それは、

「『試練』や『災厄』と称してこれ以上私をいじめるのを辞めてほしい」

 ということだ。

 いつも修行や試練を求めるほど、私はストイックではない。急激な成長とか、豪勢な暮らしとか、そういったものは一切求めていない。どこかで自分らしく平穏に暮らし、たまにささやかな楽しみを満喫して生きたいだけなのだ。隠者である私にとっては、それだけでも十分幸せだ。

 それに私は無能だ。

 特に知恵者というわけでもなく、武勇に優れているわけでもない。むしろ、誰よりも愚鈍でひ弱だ。だから、機知に富んだ言い返しもできないし、パワーで押し返すということもできない。困難に遭遇したら、ただ狼狽するくらいしか、私にはできない。

 ゆっくり自分のペースで生きていたいタイプの無能である私。なのに神様は、これでもかと言わんばかりに災いを与えてくる。おかげで毎日が憂鬱だ。特に厄年に入ってからは、週に一回何かしらの災いが私の身に降りかかっているので、心も体もボロボロだ。

 私は試練とかそうしたものに耐えうる器量ではない。私の日々の行いや不甲斐なさを仮に見ているのならば、よくわかるであろう。だから、これ以上試練と称していじめたり、重荷を背負わせたり、災厄ばかりを与えようものなら、本当に死んでしまう。もし仮に私が愚図なのをわかったうえで何年もいじめているのなら、相当人が悪い。


   ※


 神様、どうかお願いします。今まで散々な目に遭ってきた私に、これ以上修羅の道を歩ませないでください。そして厄年だからといって、いつもの何倍も私の心身を痛めつけないでください。長い間そんな状況が続いているので、もう耐えられません。これ以上痛めつけたら、本当に壊れてしまいます。というより、既に壊れています。

 私の申し上げていることが甘えだというのは重々承知しております。それでも、もう限界なのです。いい加減弱いものいじめは、辞めてください。


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