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日本酒 古酒・熟成酒 飲み比べ(愛媛県西予市 元見屋酒店 開明 三年・五年・十年)

前回、平成元年仕込 ソメイユ・プロフォン(栄光酒造 愛媛県松山市)と拾年熟成酒 開明(元見屋酒店 愛媛県西予市)を比べました。

その後、元見屋酒店さんに、拾年熟成酒 開明は、三年もの、五年ものと同じ造りだと教えていただきました。

どれも、純米吟醸原酒です。

そこで、今日の飲み比べは、開明の三年もの、五年もの、十年ものです。

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右から、三年、五年、十年です。

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十年ものを三年ものや五年ものと比べると、ソメイユ・プロフォンとの飲み比べの時とは違った気付きがありました。

参年熟成酒 開明


うっすらレモンイエロー、少しだけグリーンがかっているように見える。

香り
みたらし団子のような香り、干し椎茸のような香りもある。
少しヨーグルトのような酸っぱい感じが加わり、鼻がつんとしてくる、力強い香り。


厚みがある甘旨があったのち、苦味、渋みが続き、少し舌がピリピリしてくる。

余韻
旨みが残りつつ、心地よい苦味が続く、余韻はそんなに長くない。

マリアージュ
焼き鳥なんかがよさそう。

(開明 三年)
原料 米・米麹
原料米:自社栽培山田錦100%
精米歩合:60%
アルコール度数:18.2度
日本酒度:+5
酸度:1.8
アミノ酸度:➖➖
酵母:➖➖
貯蔵:定温(18度以下)・タンク
価格:1,705円(税込)(300ml)
製造年月:2020年12月

開明 五年酒


レモンイエロー色。

香り
みたらし団子にバターっぽさが少し加わったようななか、しっかりとした酸も感じられる。
干し椎茸の甘旨煮のような感じもある。
三年ものと似ているが、より厚みがあり、しっとりしてます。


ふっくらとした甘旨みの直後、酸と苦味が効いてくる。

余韻
苦味と酸が残り、すーっと消える。

マリアージュ
煮物や中華と合いそう、醤油味のお煎餅なんかも良いと思う。

(開明 五年)
原料 米・米麹
原料米:自社栽培山田錦100%
精米歩合:60%
アルコール度数:18.2度
日本酒度:+5
酸度:1.7
アミノ酸度:➖➖
酵母:➖➖
貯蔵: 定温(18度以下)・タンク
価格:2,530円(税込)(720ml)
製造年月:2020年12月

拾年熟成酒 開明

これは、前回、ソメイユ・プロフォンと飲み比べをした古酒・熟成酒です。

「拾年」となっているものの元見屋酒店さんによると、実は、20年くらい熟成させたものだそうです。


レモンイエローに数滴の琥珀色を垂らしたような色。

香り
干ししいたけ、ナッツ、また、少しチーズっぽく、スパイシーな感じもある。 


やさしくまろやかな甘みに旨みに、心地よい酸と苦味が加わってくる。
三年ものや五年ものと比べるとすっきりしてます。 

余韻
余韻は、長く、甘旨のなかに、苦味がしばらく続く。
三年ものや五年ものと違う、口の中が薄い膜に覆われたようにふわっとして、口の中いっぱいに広がって行く感じが印象的。

マリアージュ
はっきりとした味の煮物や中華料理。
コンテのようなチーズとも合うと思う。
ビターチョコレートも食べたくなる。

(開明 十年)
原料 米・米麹
原料米:自社栽培山田錦100%
精米歩合:60%
アルコール度数:17.1度
日本酒度:+5
酸度:➖➖
アミノ酸度:➖➖
酵母:➖➖
貯蔵: 定温(18度以下)・タンク
価格:2,233円(税込)(300ml)
製造年月:2020年12月

まとめ

色は、十年もの(二十年もの)が一番濃く、三年ものが一番淡い。
香りは、五年ものが一番パワフル。
味は、初っ端は、五年ものが一番パワフルだけど、十年もの(二十年もの)の余韻が一番長く、ふわっとしてます。
十年もの(二十年もの)は、三年ものや五年ものと比べて、すっきりとした香りと味です。

少なくとも開明の味や香りは、熟成させると、ある時点までは、パワフルになり、その後は、ふわっとやさしく、すっきりした感じになるようです。

どれが一番おいしいかって尋ねられたら、答えるのは難しく、それぞれ違うおいしさがあり、日本酒のピークはたくさんある、と再認識。

ただ、十年もの(二十年もの)のふわっとやさしくすっきりした香りや味は、きっと、超長期熟成がなすわざ、ですね。 

そういえば、以前、時醸酒の2012年、2013年、2014年の飲み比べをしたとき、2012年ものが、一番まろやかでふわっとしてたのを思い出しました!

貯蔵・熟成は、日本酒の香りや味などを決める大事な仕上げの工程だな、と。 




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