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日本酒 古酒・熟成酒 飲み比べ(新潟県東蒲原郡 下越酒造株式会社 時醸酒 2012年・2013年・2014年)

先日は、瓶に1/5ほど残った醸造年度の違う琥刻(冨田酒造)を、常温で10ヶ月自宅に置いておいたのち、飲み比べました。

古酒・熟成酒の中には、自家熟成を前提に造られているものがあるんですよ

新酒でもおいしい自家熟成用の日本酒、「時醸酒(じじょうしゅ)」 

コロナの話が出始めた2020年2月、丁度私が、古酒・熟成酒に興味を持ち始めたころ、日本酒古酒・熟成酒のイベントを発見!
行ってみたら、多分40種類くらいの、主に古酒・熟成酒が並んでいて…、試飲できるものは全て一口ずつ試しました。

その中で、最も印象深く、興味を持ったのが、時醸酒 Vintage2019。
Vintage2019ということは、2019年7月から2020年6月の間に造られた日本酒です。

(日本酒のVintageや醸造年については、次のサイトをご覧ください。)

このイベントの開催は2020年2月だったので、時醸酒 Vintage2019は、2019年/2020年冬に造られた、出来たばかりの日本酒のはずでした。
でも、試した時、「おいしい!しばらく熟成されたような色や香味だな、なんでだろう?」と思ったのをよく覚えています。

酒蔵の下越酒造さんの社長と直接話す機会に恵まれ、「新しいのに熟成したみたいに感じられるのはどうしてですか?」と尋ねてみました。
「そうなるように造ってるんです!常温で熟成できますよ」と笑顔でお返事が。

時醸酒 Vintage2019は、随分前に全部いただいてしまったので、今日は、

時醸酒 Vintage2014
時醸酒 Vintage2013
時醸酒 Vintage2012

の飲み比べです。

20200429時醸酒 瓶

熟成古酒処で購入しました。

山廃純米原酒「時醸酒」

「時醸酒」は、新酒でいただいてもおいしいですが、常温で自家熟成しやすい日本酒として、2000年から毎年造られています。
(2006年は欠品)

山廃造りで、精米歩合70%の純米原酒。

山廃造りでは、蔵の空気中にある乳酸菌を時間をかけて取り込み、米を摺り潰さず麹の力で溶かし、酒母(酵母を培養させた日本酒の土台)を造ります。
旨味や酸味が乗った、コクのある仕上がりになると言われています。
通常は、乳酸を添加し、米を摺り潰します。

精米歩合70%だと、お米はそれほど磨かれてないので、お米の旨味や甘味が出ます。

原酒は、割水をしないので、アルコール度数が高めで、ふくよかな味わいになります。

そして、ほぼ麹米(蒸したお米に麹をつけたもの)のみで造られており、旨味成分が凝縮された仕上がりになるようです。
通常、麹米は2、3割ほどで、あとは掛米(蒸米)を使います。

このように、酸味、旨味、甘味をしっかり引き出すための工夫が施されていて、とても濃醇な仕上がりになります。

では、いただいてみます!

時醸酒 Vintage2014

色:
山吹色に、ブラウンが数滴加わったような色。
香り:
ヨーグルトのような酸味が、椎茸の甘辛煮に包まれている感じ。
味:
ふんわりした旨甘味とほどよい酸味のあと、キリッとした苦味と少しの渋みが現れ、鼻につんと来て、ぴりぴりしてくる。
苦味が、だんだんパワーを緩めていくとともに、旨甘味が戻ってくる。
ペアリング:
筑前煮のような、比較的しっかりとした味で、野菜だけでなく鶏肉のような肉が入った、和のお惣菜。
チョコレートとかチーズともいいな。
和と洋の要素がある、だしとたまり醤油につけたクリームチーズのようなものを、シンプルなクラッカーとかにのせたのとも合う!

(時醸酒 2014年)
原料:米(国産)・米麹(国産米)
原料米:新潟県産「越淡麗」100%
精米歩合:70%
アルコール度数:17度
日本酒度:➖➖
酸度:➖➖
アミノ酸度:➖➖
酵母:➖➖
貯蔵:常温
価格: 1,460円(税別)(200ml)
製造年月:2019年9月

時醸酒 Vintage2013

色:
落ち着いた琥珀色。
香り:
みたらし団子のたれのような香りに、酸っぱい香りと少しチーズのような香りが織り込まれている。
しっかりとした昆布出汁のような感じもある。
味:
旨味の中に甘酸っぱさがあったあと、旨味に囲まれたキリッとした苦みが来て、やがて穏やかになるが、完全にはなくならない。
余韻は、すこしぴりぴりした感じがありながら、旨味とほどよい甘味が前に出てきて、ふわっとした感じになる
ペアリング:
おつまみ系のもの、さきいか、とか、カシューナッツ!

(時醸酒 2013)
原料:米(国産)・米麹(国産米)
原料米:新潟県産「越淡麗」100%
精米歩合:70%
アルコール度数:17度
日本酒度:➖➖
酸度:➖➖
アミノ酸度:➖➖
酵母:➖➖
貯蔵:常温
価格: 1,545円(税別)(200ml)
製造年月:2018年10月

時醸酒 Vintage2012

色:
輝きある華やかなアンバー色、アンバー色のガラスようにきらきらしてる。
香り:
ビターチョコレートのような香りの中に、旨酸っぱい香りがあり、その後、つんと鼻に来る。
味:
上品に広がる旨みの中に、甘味と酸味があり、その後、きりっとした苦味に少し酸味が来て、少しぴりぴりする。
余韻は、ぴりぴりした感じと心地よい苦みが続きつつも、旨甘がもどって来て、しばらく続く。
ペアリング:
羊羹などの比較的濃厚でしっかりとした和菓子。

(時醸酒 2012)
原料:米(国産)・米麹(国産米)
原料米:新潟県産「越淡麗」100%
精米歩合:70%
アルコール度数:17度
日本酒度:➖➖
酸度:➖➖
アミノ酸度:➖➖
酵母:➖➖
貯蔵:常温
価格: 3,600円(税別)(720ml)
製造年月:2020年12月

まとめ

自家熟成を前提に造られた、こだわりの日本酒です。
光にさえ気をつければ、常温で、自宅で、古酒・熟成酒が作れます。

新酒でもおいしいし、熟成させてもおいしいなんて、時醸酒は、いろんな楽しみ方ができますね。
もっと熟成させたらどうなるんだろう、と少しワクワクします。
3つのなかでは、2012年ものが最もまろやかで、ふぁっとしてました。

ちなみに、時醸酒 2014年・2013年・2012年と同じ造りの「時醸酒 2001年」は、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC:ロンドン)日本酒古酒の部で、たくさんの受賞歴があります。
(「山廃造り純米原酒「時醸酒」〜時が醸す 濃醇熟成酒〜」下越酒造株式会社 より)
2008年 ブロンズ賞
2009年 シルバー賞
2010年 ゴールド賞・トロフィー賞(古酒の門最高賞)
2014年 ゴールド賞

これじゃあ、飲み頃のピークがいつか分からない、もっと先かもしれない!?

日本酒にはやっぱりすごい可能性がある‼︎

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