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「共感」は正義か悪か?

SNSやクラウドファンディング、いいねや共感経済、これからは共感の時代だと言われる昨今。しかしながら「共感って本当にいいものなんだっけ?」「共感の副作用はあるの?」という疑問も生まれます。

今回は、新しい贈与論世話人(コミュニティマネージャー)の市村彩さんと会員の高野冬馬さんが「共感」は正義か悪か?というテーマで対話しました。

新しい贈与論には3年ほど関わっている。大学の4年間を自治寮で過ごした原体験から、コミュニティに興味がある。2019年3月からコミュニティハウスアオイエの住人。現在はコミュニティマネージャーとして運営に携わっている。2022年4月から、日本初のシェアオフィスであるちよだプラットフォームスクウェアのコミュニティマネージャー。

学生時代に活動していたNPO法人ETIC.での実践と、大学で学んだNPOに関する理論とのあいだに距離を感じ、そこから「NPOとは何か」について探求している。2022年からは東京大学大学院で文化人類学を学びながら、名古屋を拠点にシングルマザーの居住支援を行うNPO法人LivEQuality HUBにてインターンシップとフィールドワークを行なっている。

イントロダクション

いっちー:「共感は正義か悪か?」というテーマでお話できればと思います。どうぞよろしくお願いします〜〜!新しい贈与論世話人の市村です。

トーマス:よろしくお願いします〜〜!東京大学で文化人類学について学んでいます。よろしくお願いします。

いっちー:最近、メッシュワークゼミ(https://meshwork.jp/seminar)というゼミに入って人類学をやってるんですが、誰にでもできそうに見えて、実は大変なんだなと実感しました。問いをアップデートするというテーマなんですが、自分の気になってたことは、思い込みが間違ってたなと分かってきて、仮説を変えていかないといけないし、自分の嫌なことにも向き合わなきゃいけないので大変。

トーマス:とても分かります......。文化人類学の基本は、自分を鉤括弧(「」)に入れないといけないと言われますね。自分の思い込みを正しいと思ってしまう節があるので......。

「共感」ってなんだろう?

いっちー:では、早速、テーマについてお話できればと思います。「共感」と聞いて、わたしは、コミュニティとかシェアハウスなどの実体験ベースで考えることが多いです。

共感について考えるうえで、まず「友達との関係性」と「仕事での関係性」で違いがあると思います。

仕事なら、あくまでも支援をするっていう役割があるから、共感ではなくても、寄り添うということが必要なので、そこまで落ち込まないようにするというスキルが求められてきますね。ここで、共感しすぎると、自分が辛くなっちゃうだろうな。

逆に、シェアハウスや友達の場合は、距離が近い分、めちゃくちゃ見える部分があって、お金が大変そうなどの状況も分かるから、いろいろアドバイスしたり、教えてあげたりすると、頼られすぎることもありました。友達の場合は、共感してもしなくてもいいが、支援する/されるの関係性だと役割の中に「共感」が組み込まれていますね

「共感すること」と「寄り添うこと」

トーマス:「共感すること」と「寄り添うこと」って別なんじゃないかなって思います。支援をする側として、シングルマザーの方に関わっている以上、自分が共感できるかどうかは別の次元にある。友達なら、ノリが合わないからいいやで終われるけれど、支援をする立場だと、プロフェッショナルとして仕事に取り組むという場合は、そうはいかない。

いっちー:なるほど、さっきまで「寄り添う」と「共感」を一緒にして考えてた。認知的共感=寄り添う、情動的共感=共感に近いかも。

トーマス:インターンに採用される時に、なんでOKになったのかを聞いたら「共感するのは大事だけど、受け止めすぎないで気分転換できる人がいい」という話になりました。ソーシャルワークする人って、情動的共感をしやすい人だと思うんですが、それだけではないところがスキルとして必要なんだろうなと感じました。

「共感」は正義?悪?

いっちー:それでいうと、共感の悪な部分って、そこのコントロールができなくて、どんどん負の感情に対しての共感が日常に侵食してくることなのかな。仕事に対しては、切り替えられる人の方がいいし、ある程度割り切れる方がいいのかなって思った。

トーマス:でも、それって難しいですよね。寄り添い度合いって......。


▼対話の様子はこちら(入会するとフルバージョンがご覧いただけます)

新しい贈与論
「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。

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