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お城のおそうじやさん #4

レジーナによると

半年ほど前、突然大臣がおそうじ係の部屋にやって来て、

(普通は大臣がおそうじ係の部屋にくることなんてありません)

7階の鍵の束を渡すよう言われたというのです。

そして、鍵を1つ外すと、自分のポケットにしまい

「今後7階は全ての部屋を使わないことにした。

なので、そうじをする必要はない。

もし7階に立ち入るようなことがあれば厳しい処罰を下す」

と告げ、部屋を出て行ったというのです。


「すごい剣幕だったわ。50年ここで働いていてこんなことは初めてよ。

それなのに私ったらすっかり忘れていて...

あなたには怖い思いをさせて申し訳なかったわね」

「もう私は大丈夫です。でも、大臣が直々に来て鍵を奪っていったなんて。

おかしいですよね。

もしかするとあの部屋には、誰にも知られてはいけない秘密が

隠されているのかもしれない。

そう、あの獣よ。

あの獣がその秘密に違いないわ」

テンションの上がったカラを見てレジーナは驚きました。

なんて好奇心の強い子でしょう。

さっきまであんなに怯えていたのが嘘みたい。


「ただいま。今日もとても疲れたわ」

扉が開き、アデルとアビーがそうじから帰ってきました。

もうすぐ夜です。

「アデルさん、アビーさん、聞いてほしいことがあるの!」

カラは二人が返事をするのを待たず、今日「7-13」の部屋で起こったこと

全てと、レジーナから聞いた話を二人にまくしたてるように話しました。

アデルは話を聞き終えると

「大臣が来てたなんて私も知らなかったわ。

レジーナ、教えてくれたらよかったのに」

「すまないね。でも無駄な心配させちゃいけないと思ってね」

「それにしても、初日に曰く付きの7階が当たるなんて、

あなたツキがあるんじゃない」

アデルは笑いながら、カラに言いました

「ツキがあるのか、ないのか。でもこれは重大なことよ。そうでしょ?」

「そうね。でも、あまり首を突っ込まない方がいいわ。ここはお城よ。

私たち庶民が知ってはいけないことなんて山ほどあるの。

下手に首を突っ込むと命を落とすかもしれない」

アデルは、脅かすように低い声で言うとカラの顔を覗き込みました。

するとその時です。

横で話を聞いていたアビーが話に割って入ってきました


「フィンも同じようなこと言ってたわ」


「フィンって誰ですか?」

カラが聞きます。

「アビーのボーイフレンドよ!」

アデルがからかうように言います。

「違うわ!窓拭き!お城の窓拭きよ!

部屋の中からは私たちが拭くけど、部屋の外は拭けないでしょ。

だから、塔の上からロープで降りて窓を外から拭く係がいるの。

それがフィン」

アビーは顔を赤らめながら説明すると

「ちょっと前、フィンが7階の窓を拭いていた時、一箇所だけ窓に板が張り

付けられていて、中が見れないようになっていたらしいの。

それで、その窓を拭いてると、部屋の中から獣のような唸り声がしたって

言ってたわ」

「一緒だ!」

カラは目を丸くしてアビーの方を見ました。

「呼びましょ。フィンを。話を聞きたいわ!」


つづく


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