見出し画像

ルーシーと魔女 #2

「何してるの?」

ルーシーは大きな声でその女の子に話しかけました。

見ず知らずの女の子にいきなり大きな声で話しかけるなんて無礼な子だと

思うかもしれませんが仕方がなかったのです。

なぜならその女の子は、ルーシーに見られた時、大きなホウキをまたいでい

て、なにやら独り言を呟いていたのですから。

「あわわわわ」

女の子は慌ててホウキから降りました。

「お名前なんて言うの?」

ルーシーは聞きました。

「あ、え、マ、マヤ」

女の子はこたえます。

「今何してたの?」

「え、あ、何でもないわ、庭の掃除をしてたの。」

マヤはそう言うとばつが悪そうに下を見てうつむいてしまいました。

「マヤは学校には行ってないの?」

「うん。遠くの学校に行ってるの。だからこの町の学校には行ってないわ」

「お友達は?この町にいる?」

「いいえいないわ...」マヤは少し寂しそうな顔しました。

「じゃあこれから学校が終わったら一緒に遊びましょうよ。

この町の面白い場所をいっぱい教えてあげるわ」

ルーシーはそう言うと持っていたクッキーを取り出しマヤに差し出しま

した。

「はい。私のお母さんと私で作ったのよ。とっても料理が上手なのよ。

今度お家にも遊びに来て」

マヤは、はにかみながら「ありがとう」と言い笑顔を見せました。

この日から二人は毎日学校が終わってから遊ぶようになりました。

お花を集めて冠を作ったり、大人は誰も知らない森の奥の洞穴で

おままごとをしたり。そしてルーシーの家でも遊びました。

ルーシーは自分の母親にマヤのことを話していました。

近所に新しくできたレンガの家のこと、そこには同い年の女の子が住んでい

て町の学校ではなく遠くの学校に通っていること、そしてホウキに乗って

遊ぶのが好きなこと。

ルーシーのお母さんは娘の新しい友達の話をいつもニコニコ嬉しそうに

聞いていました。そしていつもお母さんはマヤに言いました。

「ずっと仲良くしてあげてね」

つづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?