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気になる本たち「感性に従え!」

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自分の書評、気になった書評をまとめています。
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#コンテンツ会議

『パワースポットはここですね』ってどこですか?っていう話

『パワースポットはここですね』ってどこですか?っていう話

パワースポットとはなにか?パワースポットはどこか?パワースポットに行くと何がどう変わるのかを考えながら、日本各地のパワースポットを巡った話。

著者はパワースポットを巡りながら、「パワースポットなんてないんじゃないの?」という思いに駆られていったようだ。

パワースポットに友達と行って「パワー来たね!」と共感する。パワースポットだからパワーがあるというよりは、共感した場所だからこそパワースポットに

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(12/100)『捨てないパン屋』が捨てたもの

(12/100)『捨てないパン屋』が捨てたもの

内容紹介毎日12時間以上働き、食パンのみならず惣菜パンを何種類も作る。売れ残ったらそれは廃棄しちゃう。全国に10,000件あるパン屋さんのほとんどが、そんな毎日じゃないだろうか。広島のパン屋さんブーランジェリー・ドリアンも以前はそんな店舗の一つだった。

著者の田村さんは、ブーランジェリー・ドリアンの三代目。お店を継ぐまでに欧米のパン屋さん行脚をし、モンゴルでエコロジーツアーの企画もしていたことの

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(8/100)激動の幕末をどう生きたか?「悲劇の志士・赤松小三郎」

(8/100)激動の幕末をどう生きたか?「悲劇の志士・赤松小三郎」

著者の江宮隆之はこの本で、赤松小三郎という幕末の下級武士を、坂本龍馬と似た思想を龍馬より早く進言していたが評価されていない不遇の武士として描いている。

あとがきに

小三郎は、龍馬の「船中八策」に先駆けて、上下議員制度、議院内閣制などの「公議政体論」さらには海軍の充実や初等中等から大学までの教育環境の整備などを、越前春嶽に意見書として提出しているのである。

とあるほどだ。

しかし私の読後感は

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(6/100)台湾新幹線をめぐる人々の物語『路(ルウ)』(吉田修一)

(6/100)台湾新幹線をめぐる人々の物語『路(ルウ)』(吉田修一)

「路」という文字は本来、石に蹴つまずき、それを転がしながら歩む細い横道を指すのだという。

2007年、台湾新幹線が開通する。『路(ルウ)』は、2001年受注に成功した時から開通までの6年間の物語。しかしこの物語には「台湾新幹線建設秘話」のようなエピソードは出てこない。

新幹線を輸出するために台湾に住み始めた商社勤務の春香。春香が学生時代の台湾旅行で一日だけ知り合ったはずの台湾人青年、人豪。日本

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(5/100)虫嫌いな僕が感動した一冊『風の中のマリア』(百田尚樹)

(5/100)虫嫌いな僕が感動した一冊『風の中のマリア』(百田尚樹)

百田尚樹の作品は、デビュー作が太平洋戦争を描いた『永遠のゼロ』だからだろうか、右翼思想の文学のイメージがあるかもしれない。

しかし、彼の作品はどれも「運命にまっすぐ生きた人たち」の物語なのだ。

第一部「帝国の娘」この本について、なんら事前情報もなく読み始めたこともあり、はじめのページにあるこのタイトルを見たとき、「今回も戦争ものか」と思いながら活字を追った。

読み進めると昆虫の話じゃないか。

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