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飾るチラシをつくりたい!! 【「チラシ」から「紙」の世界へ潜ってみたら最高だった!⑤】

これなんだと思います……??

見てください!!
チラシが、生きています!!

こんにちは!おちらしさんスタッフの臼田です。おちらしさんラジオのパーソナリティ、ななみんでもあります。

「紙」の世界へ潜ってみたらシリーズ。毎日多くのチラシを眺めるなかで、「紙の手ざわりは種類が沢山あり何だか面白いなぁ〜」という、紙への小さな興味から始まり、デザイナーさんの個展鑑賞や紙加工会社の工場見学を経て、”小さな興味”が”小さな知識”へと芽を伸ばしていきました。

第5弾は、先日大盛況に終わりました、こちらのミニレポート!!

「紙博 in 東京 vol.5」

私が紙博に参加するのは2回目!初めて参加したのは、今年の3月でした。

雑貨店や、イベントの企画の運営、本の発行・編集を行っている株式会社手紙社による、紙好きのためのスペシャルイベント。今年3月の「紙博」は、布好きが集まる「布博」との同時開催でしたが、「紙博」単独開催となる今回は、史上最大の100組を超える出展者が浅草に集まりました!

会場入口の案内ボード。
手書き文字が可愛い!

会場に入った瞬間、老若男女、無類の紙好きの熱気に圧倒されます……!!しかし私も、紙好き初心者から若葉マークは取れてきた頃です。溢れる熱気のなかへ、踏み出してゆきました!

このnoteでは、全ての出展者をご紹介したいところなのですが……おちらしさんWEBをご覧いただいている無類のチラシ好きな皆さんへ向けて、「飾りたいチラシづくり」をテーマに、気になった出展者のお話をします。

◆「抜き」で美しい湾曲!


「ペーパーフラワーベース」
北海道の印刷・紙加工会社、北海紙工社による、紙でできた花瓶。シンプルなデザインに、なめらかな湾曲が美しく映えています。

JAGDA新人賞(2021)を受賞された、川尻竜一さんがデザインを手がけられました。JAGDAとは、日本グラフィックデザイン協会のこと。年鑑、賞、セミナー等を通じて、グラフィックデザインに関わる人達へ向けた様々なサポートをされています。

折り目の加工がつけられているので、帰宅後に自分で組み立て作業をしました!紙の中央に寝ていた丸い赤と緑の模様が立ち上がり、可愛らしいお花の形になりましたね!紙でできているので、水に濡れると破損してしまいますが、裏面のビニール加工により、多少の水気なら耐えられるそうです。

今は自宅の窓辺に飾っています。
こちらは厚さのある紙でつくられていますが、演劇でもこのように、立体的に組み立てられるチラシをつくれたら、面白いなぁと思うのです。

「チラシを組み立てる」なんて、未経験の方が多いのではないでしょうか……?組み立てながら、平面では気づかなかった公演情報の魅力を発見する新体験ができるかもしれません。

例えば、シェイクスピア「ロミオとジュリエット」で、彼らが互いの愛を確認し合うバルコニーシーン。チラシを組み立てることでバルコニーシーンが再現できたら、その上演へのイメージが豊かに膨らんでいき、観劇がさらに楽しみになりませんか。

◆チラシに顔を発見!


続いて、冒頭でも登場しました、こちらのチラシ。
名前は……「紙さん」です!!

ペーパーフラワーベースと同じ、北海紙工社のブースで出逢いました。9月4日(日)まで開催中の紙イベント「さっぽろ紙まつり」のチラシです。

腕も足もブラブラしているので、手を繋げますね!どこに飾るのも自由自在。踊ったり(!)も、できちゃいます↓↓

この「紙さん」のチラシをつくるとき、人型にするために型を使って紙を抜く、「打ち抜き」パートが存在します。それを担当されているのが北海紙工社です。抜くために使用される型も、紙さんの形をしていて、とてもキュート!

紙さんのように、思いっきり変形の演劇チラシも増えてきたら、魅力的ですよね。

例えば、シェイクスピア「リチャード3世」だとしたら……「馬」のチラシでしょうか。

A horse, a horse, my kingdom for a horse!
「王国をくれてやるから、馬をくれ!」

シェイクスピア「リチャード3世」5幕4場

悪党と名高いリチャードが、死の間際に放つ名台詞です。不自由な身体で生まれてきたリチャードは、王位を狙い、多くの人を騙し殺してきました。念願叶い王位に就くものの、その後の戦いで死の床につきます。

王位に執着したリチャードが放つこの台詞は、どの「リチャード3世」の舞台を観劇していても、1番痺れます。抜き加工などを活用して、台詞中に出てくる「馬」の形をしたチラシがつくれたら……。

観劇後も自宅に飾り、リチャードの生き様を目撃した記憶を、ずっとチラシのなかに留めておけるなぁと感じるのです。

◆竹のチラシを見てみたい!


こちらは「竹」を原料につくられた「紙」です。
その名も「竹紙」。

「竹紙」の折紙を購入しました。

放置竹林が及ぼす環境への悪影響を防ぐため、中越パルプ工業株式会社が、「竹紙」の製造販売を通して、国産竹の有効活用に取り組んでいます。

【「竹紙」詳細 】
https://www.chuetsu-pulp.co.jp/sustainability/activity/takegami

柔らかい風合い。旅行で竹林を訪れたときに感じた涼やかな記憶が、「竹紙」に触れた瞬間、頭の中に一気に溢れてゆきました。

漂白して、他の紙と同様に白い色の紙をつくることもできるそうですが、同じ「白」でも、あの真っ直ぐ伸びる竹のような凛々しさが、竹紙からは強く感じられます。

再びシェイクスピアのお話……。
ジュリー・テイモア演出のシェイクスピア「夏の夜の夢」の上演中、「森」を表現するために「竹」が小道具として登場します。

この上演を宣伝するために、もし竹紙を使ったチラシをつくったとしたら……
チラシを見た瞬間、見た目から「竹紙だ!」と気づく方は少ないかもしれません。しかし、竹紙であることを知ればもうぅぅぅ!チラシに秘められた上演への想いに心から感動し、涙が溢れそうですね……!!

「竹紙」は値段が高く、大量印刷は不向きな点も……。しかし、会場限定の特別チラシとして製作してみるのも面白そうです!

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非常に多くの「紙」に溢れ、身体の前のめりがとまらない、幸せな時間でした!!次回の「紙博」開催も楽しみですね!

素敵なチラシを見かけたら、
どんな「紙」を使っているんだろう?
どんな「加工」をしているんだろう?

といった点に注目してみると、新たな視点を発見し、チラシを見る目がきっと進化しますよ!

以上、「紙博 in 東京 vol.5」ミニレポートでした!


◆ これまでの「『チラシ』から『紙』の世界へ潜ってみたら最高だった!」シリーズはこちら!◆

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