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心にぐっとくるタイトルのところ

こんにちは、スタッフの伊藤です。最近ではおちらしさんツイッターでチラシを使って短歌を作って遊んでいます。

チラシを見ていた時、タイトルが偶然短歌になっていることに気付いたので、遊ぶように並べて作っています。
短歌にできないかチラシを探していると、ふとタイトルの奥深さや単語ひとつで自分の想像力をぐるりと変えてくれるチラシがたくさんありました。

今回はおちらしさんで配布されたチラシから、想像力を掻き立てさせてくれるタイトルや、こんな言葉みたことがないと思った、心にぐっとくるタイトルを紹介します。

【想像力が掻き立てられるタイトル】

タイトルの言葉を読み感じて、どんな物語だろう、どんな舞台なのだろうかと想像が膨らんでいくタイトルは、個人的に心にくるタイトルだと思います。

ニットキャップシアター『チェーホフも鳥の名前』

チラシのデザインも素敵ですが、タイトルの『チェーホフ「も」鳥の名前』の「も」がとても良いのです!
「も」という副助詞のおかげで想像力がぐっと膨らみませんか。
例えば、もしこれが「チェーホフは鳥の名前」というタイトルだったら、それもまたシンプルでわかりやすいのですが、チェーホフのことについての公演なのかなという想像だけでとどまってしまう気がします。

「も」という副助詞には、同類や強調などの意味があります。同類ならば、「チェーホフ」以外にも鳥の名前のものがある意味が持てますし、強調のようにも思えます。
「も」のおかげで、想像力を掻き立てられるためとても素敵で心にぐっとくるタイトルだと思います。


KAAT『さいごの1つ前』

個人的にはすごく、すごく好きなタイトルです。
まず「さいご」というひらがな。ひらがなを使うと丸みを帯びた字のイメージから柔らかな感触がしますが、今回の「さいご」は最後ではなく、最期でもなく、さいご。ひらがなになっているからか、どっちなのだろうと想像が膨らみます。
そしてさらに、その「さいごの」「1つ前」。
「さいごの1つ前」とはなんだろう。どこだろうなど考えることができます。
KAATキッズ・プログラムでの上演だからか、普段使っているような単語でわかりやすいタイトルなのだとは思いますが、「さいご」と「1つ前」が合わさることで、いろいろな想像を膨らませることができて、公演を観るのがととても楽しみになるタイトルだと思います。


ロロ『ここは居心地がいいけど、もう行く』

こちらもとても好きなタイトルです。文章になっているタイトルの舞台はいくつもあるかと思いますが、これは文章なのに、自分の経験などを想起させて、あらゆる想像ができる気がします。
「居心地がいいけど」もう行かなければいけない状況ってなんだろう。
居心地のよい「ここ」ってどこだろう。
「もう行く」ってどこへ行くのだろう。
「居心地がいい」ところだけど、行かなければいけない気持ちはわかるかもしれない、と自分の経験や感覚とタイトルが繋がって想像がぐっと広がり、心に残る良いタイトルだと思います。

【今までに見たことのない言葉のタイトル】

 井上陽水さんの『少年時代』の歌詞の中にある『風あざみ』という言葉は造語なのですが、そんなありそうで存在しない言葉を作るのって本当に難しいと思うのです。ただ優れた造語がタイトルになると、すごく良いタイトルになると思いませんか。


ジュニアファイブ『ねじ廻る』

「ねじ」が「廻る」のか、「ねじる」と「廻る」のか。どっちなのかはわかりませんが、僕には新しい動詞のように思えました。新しい動詞だけど、どんなふうに回転するか頭にぱっと浮かぶ優れた造語のように思えます。
タイトルを見てイメージが浮かぶ素敵なタイトルだと思います。

KERA・MAP『しびれ雲』

タイトルを見たとき、そんな雲があるのかと思っていました。雨を表現する言葉は400種類あるらしいので、雲も同じくらいあると思い、「しびれ雲」ってどんな雲なのだろうと思い検索してみたのですが、ないのです。
おそらく造語なのです。広辞苑などで調べていないので、もしかしたらあるのかもしれませんが…
しかし「しびれ雲」と読んで、なんとなく頭に雲の形というか天気が浮かびませんか。個人的なイメージはチラシのような、淡い雲です。


タイトルを読んでいると様々な風景が思い浮かびます。
思い浮かべながら、劇場へ行くのも面白いと思います。
チラシを見てぐっとくるタイトルを探してみてはいかがでしょうか。

ちなみにこのnoteのタイトルはほんの少しだけ韻を踏んで良いタイトル風に見せています。


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