おちらしさんWEBでは、舞台芸術鑑賞サポートの付いている作品を不定期でご紹介しています。今回は、バリアフリー字幕の付いた配信公演!
全国シニア演劇大会オンライン
「全国シニア演劇大会」はNPO法人シニア演劇ネットワークの主催で2011年より始まったシニア劇団の演劇祭。これまで東京や仙台や福岡など、全国各地で開催されました。
今回は、初めてとなるオンライン配信での開催。順位付けは無く、どの配信も、ゆったりじっくり楽しむことができます。また、劇団青年座や一般社団法人グランツ、60-60の会といった、プロの劇団による舞台作品も、プログラムのひとつとして配信されています。
そして、一番の注目ポイントは、配信作品に「バリアフリー字幕」がついていること(※)。俳優さんが何を話しているのか、また、どのような音楽が流れているのかが、文字情報として映像と共に表示されています。つまり、耳が聞こえない方、歳を重ねて聞こえにくくなってきている方も、一緒に楽しむことができるのです!!
(※プログラム②ダイジェスト版を除く)
*配信期間 : 2023年1月21日(土)まで配信中!!
(※プログラム③は20日(金)まで)
*配信演目
①全11団体のシニア劇団の作品(無料)
シニア劇団のお芝居を視聴していて、何よりも素敵だと感じるのが、シニア俳優の皆さんの笑顔!くすっと笑っちゃうようなシーンでも、悲しくなるようなシーンでも、心の笑顔が、観ている人のもとまで届き「あぁ楽しいお芝居を観られたなぁ!」と、とても元気になるのです。
心から演劇を楽しんで、舞台上でエネルギーのこもる会話を届けてくださるのが、シニア劇団の魅力ではないでしょうか。今回の「全国シニア演劇大会オンライン」に参加している、全11団体のシニア劇団の見どころについて、おちらしさんスタッフがご紹介します!視聴ページにつながるURLもあわせて掲載しているので、気になったらポンと、クリックしてみてください。
◆蟻のオリンピック、アリンピック開催!ーー「表現集団ホワイトモス」
東京の伊豆大島で活動をしているシニア劇団。「ホワイトモス」は「白い苔」という意味だそう…!?団体のnoteには、『シニア劇団の効能』というページが公開されています。8つの効能があるのだとか!どの効能も、うんうん……!と、頷いちゃいます。
◆廃校を利用したこども食堂から、60年前の障害児に思いを馳せるーー「かんじゅく座」
60歳以上の皆さんが集まるシニア劇団。ウェブサイトの稽古場日誌では、シニア俳優の皆さんの目線で、演じているときの気持ちや、演劇を好きになったきっかけが綴られています。それぞれの文体を感じ、演劇への愛があふれる稽古場日誌は、今にも声が聞こえてきそうです。
◆廃れゆく老舗劇団は、はたして再生できるのか!?ーー「ベニクラゲproject」
「ベニクラゲ」はクラゲの仲間。なんと「不老不死」といわれています!シニア劇団について考えるとき、どうしても「歳」という言葉が頭をいったりきたりします。そんなときに「不老不死」という団体名を見ると……「ん!?」と気になってしまいますよね。
今回の配信公演『あの日のトンネル』は、ひとつ前のかんじゅく座公演『あの日のトンネル』とのコラボ企画。おちらしさんスタッフによる感想記事を公開しています。
◆銀河鉄道の乗客はあの作家?ーー「シニア劇団よっしゃ!」
横須賀を中心に60歳以上のメンバーが集まるシニア劇団。「よっしゃ!」という劇団名、声に出した途端、身体中のエネルギーがみなぎりますね!!こちらの劇団も、ウェブサイトに稽古場便りが掲載されています。各記事に写真が多く投稿されていて、団体名の「!(ビックリマーク)」の熱をたっぷりと浴びました。
◆マスクがマスト、世界初演のミュージカルーー「綾瀬シニア劇団Hale」
神奈川県の綾瀬市を拠点とするシニア劇団。プロジェクトリーダーを務めるのは、劇団山の手事情社に所属されている、倉品淳子さんです。本編の他に、上演へ向けたドキュメンタリー映像も視聴することができます。上演に挑むシニアメンバーの皆さんの生の声をぜひ聞いてほしい!
◆踊りたくなっちゃう劇団歌!ーー「波瀾ばんばん座」
千葉県市川市を拠点とするシニア劇団。劇団歌があるようです!今回配信されている作品の終わりでも聞くことができます。歌のなかにある『還暦過ぎたら ちょいとお出でよ』という声に惹かれます。この声を聞くと、なぜだか本当に”ちょいと”入りたくなってしまうのです。人生の先輩方の発する声に包まれているパワー、心より尊敬します。
◆60年前の芸者物語を、今に伝えたい。ーー「浪漫座」
静岡県の浜松市を拠点とするシニア劇団。今回の作品は、浜松の歴史を踏まえたオリジナル脚本とのこと。演劇を通して地域の歴史を知ることができるのは、楽しさがあって嬉しいですし、長く生きてこられたシニア俳優の皆さんの声で歴史を語ってくださる説得力と優しさは、何にも勝るように思います。
◆「やってみないと分からない!」ーー劇団ひとりっこ
戦争での残留孤児が題材となる宮本研さんの戯曲「花いちもんめ」を上演するために、武内典子さんが立ち上げた劇団です。2021年の全国シニア演劇大会では、なんと20回公演を達成されました。
今回の配信では、武内さんが2019年から練習を始められたアコーディオンを、初めてお客様の前で演奏されています。
「やってみないと分からない!」
映像の冒頭で武内さんがお話しされた言葉です。いくつになっても、挑戦できる力、かっこいいです。
◆始まったのは〇〇の晩餐ーー「劇団サンシャイン」
埼玉県西川口を拠点とするシニア劇団。twitterには、今回配信されている作品に出演する俳優さんのメッセージ動画も、投稿されています。既に物語に入り込んでいるような動画で、わくわくするのですが……!この作品、実は、映像の優雅さからは想像のつかない衝撃があるんです……。伝えたくて、うずうずします。
◆笑いよ、生き続け!ショートドラマ集ーー「シニアミュージカル発起塾」
関西を拠点に50歳以上のシニアメンバーが集まる、ミュージカル劇団。”塾”と名前が付いている通り、プロの講師の方による講座を受けることができるのだそう。ウェブサイトには、稽古場日記や講座スケジュールが詳しく記載されており、さらに、動画やSNSも大充実。初めての人に、とてもひらかれています。
◆犯人は、雑兵なのか。ーー「劇団かっこん党」
福岡で活動するシニア劇団。「かっこん堂」と声に出してみてください……。頭に思い浮かぶのは”あの”漢方薬ではありませんか??やはり、名前の由来も、そこからきているそうです。福岡のももち文化センターでの講座が団体の始まりだそうで、ウェブサイトには、過去に全国シニア演劇大会に参加された際のダイジェスト映像が公開されています。
「シニア劇団おもしろい!!」と思った、あなたへ。今回のオンライン配信では、これまでのシニア演劇大会のダイジェスト映像も公開中!
ドキュメンタリー形式の映像です。ナレーターさんのガイドと一緒に、シニア劇団のエネルギーをどっぷりと体感することができます。
▽▽▽▽▽▽▽▽
②過去の大会ダイジェスト版を配信 (有料)
そして、冒頭でご紹介した通り、プロの劇団の舞台作品も配信中。こちらにもバリアフリー字幕が付いています!
▽▽▽▽▽▽▽▽
③プロのベテラン俳優の演劇公演3作品を配信(有料)
いくつになっても、心と心を結ぶ演劇がある。
シニア劇団が、これからも、「演劇」という言葉を輝かせてくれます。
・・・・・・・
文:臼田菜南