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【劇場めし 第34回】明大前駅構内の鳥中華

「劇場周辺の、おすすめのご飯屋さんをご紹介!」する、このコーナー。今回は明大前駅のお店をピックアップします。ええ、明大前「駅」です(笑)。

京王線明大前駅は、新宿、渋谷、八王子、吉祥寺、下北沢、駒場東大前など、東京の大都市、そして劇場のある街へ繋がる駅。特に下北沢は程近く、観劇文化との縁を感じます。明大前で思い出すのはキッド・アイラック・アート・ホールですが、残念ながら2016年に閉館しています。

筆者はこの日、劇場めしの取材目的で劇場周辺を散策していました。「この日」とは、ぶっちゃけ昨日(23年6月25日)のこと。昨日の東京は30℃超えの暑さで、かつ日差しも強く、夏の到来を感じさせる一日でした。何軒かの飲食店の前で立ち止まり、考え、胃袋と相談しましたが、どうにもテンションが上がらず…。劇場めしは季節や天候に大きく左右されるものです。

「こんな暑い日に観劇前後で食べたいものは何だろう?」とイメージを膨らませていると、以前ソフトクリームを紹介したことを思い出しました。

あの日も暑さのあまり急遽ソフトクリームを食べたっけ。じゃあ今日は……!? と考え、辿り着いたお店がこちら。

高幡そば 明大前店。明大前の駅構内にある立ち食い蕎麦屋さんです。こちらで冷たい鳥中華をいただきました。

鳥中華とは、蕎麦つゆに使われる和風出汁のスープに中華麺を合わせ、鶏肉、天かすなどをトッピングした山形県発祥の一品。東京ではあまりお目にかからないメニューです。温かいスープもありますが、もちろん今日は冷たい鳥中華をセレクト。

麺を一口啜ります。冷水で締めた中華麺はしっかりコシがあり、ツルツル、シコシコの食感は大好物のやつ! 濃いめの甘辛い蕎麦出汁も中華麺との相性バッチリ。暑い日に食べるにはうってつけかもしれません。鶏肉、天かす、刻み海苔、三つ葉、ネギ、ナルト…。トッピングも蕎麦とラーメンを掛け合わせたようなラインナップ。これは、ありそうでなかった発想。何より美味い!

夏の麺類の定番に冷やし中華がありますが、冷たい鳥中華には酸味が感じられず、具材も異なるため、冷やし中華とは別個の味わい。冷製蕎麦とも異なり、冷製ラーメンとも異なり、正にオリジナルの一杯と言えるでしょう。人気メニューであることも納得です。ごちそうさまでした!

駅構内の立ち食い蕎麦屋で食べる山形県発祥の味。以前食べた温かい鳥中華も美味しかったけれど、本日食べた冷たい鳥中華は「夏の一杯」として独自のスタンスを確立していると感じました。劇場への往復で明大前駅を通る方は、ぜひ一度お試しください。

文:園田喬し(演劇ライター・編集者・『BITE』編集長)

高幡そば 明大前店
東京都世田谷区松原2-45-1
京王線明大前駅構内
TEL:03-5301-2451


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