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MSP稽古取材日誌 ~明大生とシェイクスピア劇~No.8

こんにちは!おちらしさんスタッフの望月です。
若い世代に向けて舞台芸術情報を発信する「ユニコ・プロジェクト(通称:ユニコ)」。

ユニコでは現在、明治大学が主催する学生演劇団体明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)」 に密着取材をさせていただいております。

そして、その舞台製作の風景を、取材日誌として随時公開しています!

▼前回の記事はこちら▼

11月6日、MSP本公演が無事に終演しました。
感想記事の前に・・・【MSP取材日誌 No.8】をお届け!
本公演を終えほっと一息、カンパニーメンバーみんなで懇親会を行った様子です…!今回も愛に溢れています。ぜひご覧ください!


11月7日
【本公演・ラボ公演】懇親会

本公演全6ステージを終えた翌日。ホールのバラシまで終え夕方17時、明治大学アカデミーコモン2Fの大教室には、MSPに関わったほぼ全ての学生メンバーが集まっていました。
この日はMSPの懇親会。約1年の長きに渡った活動の”おつかれさま”会でした。

MSPカンパニーメンバー、ほぼ勢ぞろいです。

教室の真ん中に、昨日までは建物の外に掛かっていた垂れ幕が置かれていました。そこに皆が集まって、カラフルなペンで寄せ書きをします。キャスト・スタッフも、各々が自分のセクションに誇りを持ち、心の底から楽しんで参加していたことが伝わる熱いメッセージが垂れ幕中にあふれていました。

みんなで垂れ幕に書き書き・・・。
本公演の演出・養父さんによる、
MSP愛の溢れるメッセージが。

本公演の演出を務めた養父明音さんにお話を伺うと、「実感がわかない。明日も来ちゃいそうです。」とのこと。明るく答えてくれている中にも寂し
さがにじみ出ている表情でした。

お話の中で目立ったワードはとにかく「感謝」。生まれて初めての演出が「キャパ1000人のホールで行われた、キャスト30人のMSP」という大所帯で、何もわからないところから、プロスタッフはもちろん、先輩や周囲のメンバーなどからたくさんのアドバイス、意見、励ましを受け、どうにか本番にこぎつけたと言います。「私ひとりじゃ何もできなかったです」と、繰り返し話す養父さんの脳裏には、次々とお世話になったあの人この人とのシーンが映し出されているのでしょう。現在3年生の養父さんに「来年は参加するんですか?」と聞いてみました。「どうするんでしょう・・・」と、まだ考えあぐねている様子。

1年生のときから携わっていたMSPのことを、養父さんはいろいろなインタビューで、「恋人」に例えています。大阪から上京し、友達もいないところから、MSPが居場所になってくれたのだと。だからもちろん4年生になっても続けたい気持ちはある、しかし、演出という大きなポジションを経験してしまった今、「そんなヤツがいたらやりにくくないですか?」との言葉も。こういった気遣いができるところも、今回の大所帯をまとめ上げることができた要因なのだろうと想像できました。
まだ答えは出ていないようでしたが、ぜひ来年もMSPのために活躍してほしいと願っています。

さて、会場では垂れ幕の寄せ書き以外にも、人だかりのできている場所が。

机にはたくさんの舞台衣裳が・・・!

衣裳部が長テーブルやハンガーラックを使ってコーナーを作っており、そこにたくさんの衣裳を並べられていました。
これも毎年恒例で、出演者は自分の役の衣裳を記念にもらっていいルールなのだそうです。キャストたちが群がって自分の衣裳を探し、昨日まで着ていた衣裳を抱きしめ、愛おしそうに眺めているのです。その姿はとてもピュアに、役を、芝居を大事にしていたことが伝わってくる、まぶしい光景でした。

全員が集まると、いよいよ懇親会のスタート。

みんなで乾杯!

制作部の仕切りでペットボトルでの乾杯があってから、スクリーンに映像が流れ始めました。映像スチール部が作った、この1年の軌跡を振り返るビデオ。顔合わせから始まり、WS、ラボ公演、本公演の稽古風景から小屋入り後のメンバーの様子、各セクションのプロフェッショナルな仕事ぶりなど、みんな食い入るように見ていました。ときに爆笑があったり、歓声が上がったり、それぞれの時間にタイムスリップして、当時のことを思い出し、噛みしめているのを感じます。

それぞれMSPの思い出を噛みしめている様子に、
じーんときます…。

映像が終わると、お世話になったプロスタッフさんへの花束贈呈へ。
舞台監督として長年携わっておられる村信保さんは「ちょっとしょっぱいこと言うよ!」と前置きをした上で、この何年かでMSPはかなり大規模になり、それ自体はすごいことだが、大きくなったことで”精神”のようなものが薄まっている部分もあると指摘します。「ゴミを置きっぱなしにしない」、「スタッフに会ったら挨拶する」など、小さなことからできていないとMSP全体の信頼にも関わるのだと。もう一度気を引き締め直して、誰から見ても魅力的な団体であってほしいとまとめました。

また、すっかりプロスタッフのやり方が浸透してきているが、才能ある君たちなのだから、自分たちのやり方を編み出す時期が来ているとも。プロはあくまでそれをサポートする、そんな関係性であれたら一番素敵だとおっしゃっていました。「しょっぱい」どころか、MSPの可能性を信じ、MSPとの仕事に誇りを持っているからこその、愛に満ちたスピーチでした!

舞台監督のプロスタッフ・村信さん

次に、MSPコーディネーターの井上優教授がお話しされました。
村信さんのお話を踏まえつつ、次回は記念すべき第20回公演、しかも演目はシェイクスピアの代表作中の代表作『ハムレット』であることから、コロナ以前の集客記録を抜きたい。ひいては史上最多動員を目指したい!と、目標を掲げてくださいました。そのためにももう一度、メンバーの結束を強めて、風通しのいい、気持ちのいい関係性の団体であり続けて欲しいと、力強くお話しされます。

それでも最後に今回の公演については、「いい公演でした!いい拍手がいただけました!」と大満足の表情がこぼれていたのでした。

MSPコーディネーター・井上教授

続いて、監修として参加されている演出家の西沢栄治さんも登壇し、「びっくりした。すごかった。成功体験と言っていい。周りに自慢していい公演だった。」と嬉しそうに語っておられました。そして、「演劇をやること」について、「演劇なんてなくてもいいもの、やらなくたっていいもの。それでもやったことのあるなしは、人生において大きいと思う」とおっしゃっていました。演劇をやることは「人間について」「愛について」考える機会になるからだと。人生をかけるに値するものだと思っているので、またどこかで会いましょうと、楽しげに学生たちに語りかけ、最後に「携われてよかった。感謝してます!」とお礼まで伝えられていました。

プロスタッフ・演出家の西沢さん

改めて、MSPのメンバーが、一流のプロフェッショナルたちに支えられ、最良の環境で芝居ができていることには、私も創作活動に携わる身として、うらやましさを感じます。
しかし一方で、この環境を活かせているのは、学生たちの能力の高さや一生懸命さ故なのだろうと感じるのでした。

最後は全員が大きな円陣を組み、その中心にプロデューサーの金子真紘さんが登場。メンバー一人一人に感謝の言葉を添えながら、大入り袋を渡していきます。

MSPプロデューサー・金子さん

総勢200人超の大所帯をまとめあげ、我々のような外部取材の応対もしていた金子さんはこの日も大忙し。ゆっくりお話はできませんでしたが、「来年もやりたい!」という強い意志はあるようです。現在2年生なので、まだまだMSPの発展に貢献していってほしいと勝手ながら思っています。

第19回MSPは、この後、父母交流会でのラボ公演が残っているのですが、一つの区切りとして、本公演は終了です。
例年、年末ごろに、次のプロデューサー、演出などが決まり、年始から新体制がスタートするのだそう。
我々取材チームは、ぜひ第20回もMSPを追いかけるべく、動きがあったらまた御茶ノ水に、和泉に、駆け付けたいと思います!

取材チーム、すっかりMSPの虜です・・・。

もうすでに、パックのいたずらが恋しいです。

【担当記者:福永】

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先日閉幕した本公演・ラボ公演は、YouTubeにてアーカイブ配信が行われています。
この機会に、ぜひ、ご覧ください…!!

◆ラボ公演『短夜、夢ふたつ』はこちら!

◆本公演『夏の夜の夢』はこちら!

◆本公演『二人の貴公子』はこちら!

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▼公演の詳細はこちら▼

第19回明治大学シェイクスピアプロジェクト
『夏の夜の夢』『二人の貴公子』

公演日程 2022年11月4日(金)〜6日(日)

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