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レジデンシーインタビューについてよく相談してもらう内容

少し前の話になってしまうけど、神経内科レジデンシーインタビューを受けた時のことは割と覚えている。またどこかで書きたいけど、色々あった。

その時の経験と面接官をした時の経験をもとに、今回はインタビューについて、よく相談してもらう内容をまとめておこうと思う。

①どんな質問が多いか

質問は基本的には定型のパターンに則っていて、例えばなぜ神経内科を選んだのかは必ず聞かれる。面接官をやって驚いたのは、これにうまく答えられない人が時折いたこと。緊張のせいもあると思うんだけど、とにかく練習そして練習、これ大事。

そして最初の質問は大抵
“Tell me about yourself.“
この質問は、グタグタと自分の生い立ちから話す必要はなくて、自分がどうしてアメリカで神経内科のレジデンシーを目指すことになったのかを簡単に要約して説明することを期待されている。インタビューとは別件だけど、自分が何者かを端的に伝えるというのはとても大事で、僕はレジデンシー中にメンターからエレベータートークというのを授業で教わった。エレベーターに乗ってから降りるまでの間に一緒に乗った相手に自分のことをさっと説明する会話のこと。コロナ禍では使われないけど笑

“なぜ日本からアメリカにトレーニングに来るか”
これは日本からのアプライの場合必ず聞かれると思う。しっかり自分の熱意を伝えること。上のTell me about yourselfと内容が被るかもしれない。

“レジデンシーの後はどのようなキャリアを描いていますか。そして、10年後はどのようなことをしたいですか”
この質問に具体性を持たせることはとても大事。しっかり調べて計画してあるんだなと分かる。うまく答えるためには、大きな目標を見せて、そこへのロードマップを自分で考えておくこと。

あくまで例だけど、このあたりの質問への答えは、例えばこんな感じ。


「僕は日本の医学部を卒業して、日本で臨床研修をしてきました。学生中に、神経系の基礎研究に携わったことで、神経内科への興味がわき、それ以来神経内科を専門にしたいと思っています。日本で臨床現場に出て研修をしている中で、治療法がまだ確立していない神経疾患が数多くあることがわかるとともに、この数年で多くの新しい治療法が生まれてきて、患者さんに希望を与えていることもわかりました。特に興味を持ったのは、遺伝子治療です。最近ハーバードから出たALSの治療に関する論文には非常にエキサイトしましたし、自分もこのような患者さんに希望を与えられるような医療への貢献ができるようになりたいと思うようになりました。現在の日本の研修では数多くの症例を経験することができていますが、自分には〇〇〇が不足していると痛感することがありました。その時に、米国で研修している〇〇〇と話をする機会があり、自分の成長に求めているものがここにあると感じました。具体的には、レジデント後には〇〇〇のフェローシップを行い、NIHのDevelopment グラントをとり、新薬開発やEarly phaseのトライアルに関わることのできる、アカデミックなキャリアを追求したいと思っています。そのために、レジデント中には〇〇〇が大事だと考えています。それをしっかり学ぶことができる機会がこのプログラムにはあると思い、応募しました。」
このパターンの自己紹介で結構大事なのは、研修中に行いたいことの中で、リサーチを推しすぎないこと。むしろ、臨床の勉強をめっちゃがんばります!臨床の能力がなければ、そもそもいいPhysician Scientistにはなれないと思っています!みたいに伝えたほうがいい。

臨床のハードワークに挑む準備はできているとしっかり伝えること。

あなたの強みと弱みは?そしてWhat will make you a good resident?
これも典型質問だけど典型すぎて逆にあまり聞かれなかった笑 

一番記憶に残る症例は何ですか?
これはできるだけ具体的に、時間軸に沿った症例の説明ができるのが良い。そして、ちゃんと何が印象に残ったのかをしっかり伝える。僕はちょうど学会に症例発表したケースがあったので、それを短くまとめて伝えた。結構マニアックな疾患で、鑑別も多くて面白かったので色んなインタビュー先で盛り上がった覚えがある。

一番苦労した症例は何ですか?
これも具体性を持たせたほうがいい。大抵は、患者さんのコンプライアンスが悪くてラポール形成に苦労したけど、こんなアプローチをしたらよかったとかそんな感じの内容が多い印象。

ちょっとひねったタイプになると、コミュニケーション能力を調べるという意味での以下の質問もある。


1) もし自分のアテンディングに指示された治療方針が間違っていると感じた場合、どのように対応しますか?
2) 自分の同期とうまくいかなかったら、あなたはどうしますか?
3) もしあなたの患者さんが、期待していた治療に全く反応せずに、むしろ悪化しているサインがある。あなたなら、次に何をしますか?

準備さえしておけばそんなに苦労しない質問だけど、いきなり来るとちょっとびっくりするかも。面接に来ていた人たちも何人かこれには苦戦していたし。

でもこのあたりにはみんな無難に答えられるので、何よりも一番大事なのは、“Do you have any questions?”についてどれくらいいい質問ができるか。むしろここに個性がでると思う。とにかくたくさん質の良い質問を準備して、異なる試験官に同じ質問しても大丈夫なので、ストックが切れないように。ただ、会話の流れも大事なので、質問があっちこっちに飛んでしまわないように気を付けることは大事。(例;脳梗塞の臨床研究への質問に答えてもらった後に、いきなりレジデントって仲いいですかとか笑)


②何個くらい願書をだして、何個くらい受けたか
以前の記事にも書いたけどMagic numberってのがあって科によって異なるけど、神経内科は10くらいじゃなかったかと(In personでのインタビューの時の話です)。それを少なくとも目指して、あとは金銭的な面とと時間的な余裕との兼ね合いだと思います。願書はカリフォルニア以外全部プログラムだしました。最初の方に(言い方悪いですが)練習用のプログラムを並べておくのがいいと思います。僕は面接を受けながら、自分の話し方を相手の反応を見ながら修正していきました。

日本人がいる、あるいは在籍してたプログラムがいいのかという質問はよくもらうけど、その日本人がいいレジデントだったら多分そう。というのは、その人からの情報も得られるし、その人を話を面接中にできて盛り上がるだろうし。ただ、同じ日本人だから呼んでみようみたいなのは、ハワイとかでなければあまりないと思う。少なくとも僕のプログラムは日本人は今までいなかったし。

③インタビューの前の食事会って言ったほうがいいですか?
賛否両論というところ。食事会では少なくともうちのプログラムは(今はどうか知らないけど)、結構候補者の言動をチェックしました。全然自分から話して来ないなあとか、質問に見当違いな回答ばっかりだったりすると、あれってなったりもした。逆に感じいいと高評価。まあ、僕の場合は感じの良すぎる候補者は逆にストレス耐性は大丈夫かとか考えてしまうようなひねくれものなので、あれでしたが。。食事会の後にプログラムディレクターにメールで報告が義務。


まあ、僕がもっかいインタビューやるんだったら、よほど美味しそうなレストランでなければ、行かないかもです。正直、疲れるし、高印象を得ようと思いながら食事はきつい。出なかったから減点されるパターンは見たことないし。

④インタビューの後メール送ったほうがいいですか?
送って損はないので送ったほうがいいでしょうね。というか、プログラム側も色々自分のために準備してくれているので、感謝を伝えるのは礼儀というか。。これでプラスの評価になるか以前の問題として。

また何か思いついたら書き足します。

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