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Waltz Op. 6 〜連弾のススメ〜

「音楽の基本はアンサンブルにある」
「一番手っ取り早くアンサンブルの経験を積むには連弾が良い」

などといった言葉をよく聞きます。
実際ショパンも同じようなことを言っているし、ステップアドバイザーの総評でもそう言ったコメントをされる方がよくいます。
私たちも連弾曲をたまに取り入れており、社会人のアマチュアピアニストとして、ソロだけでも大変な中で、どのようにして連弾曲に取り組んでいるのか、どんな好影響があるのかなど、今日はそんなお話をゆるりとしたいと思います。

選曲について

メインでやるソロ曲があるので、比較的難易度易しめの曲を選んでいます。(まぁ、連弾なので必然的にそう言ったものが多くなるというのもあるでしょう。) テクニックや音楽表現的にあまりにも難易度が高いものを選んでしまうと、その先にある”アンサンブル”、つまり”合わせる“ことへのハードルが爆上がりしてしまい、連弾曲を仕上げるだけでも非常に多くの時間を取られてしまうので、全体の計画と割ける時間のバランスを見て選ぶのが良いです。(もちろんプロはそんなこと気にされないと思うのですが…)
また曲も弾いていて楽しいもの、楽しさが伝わるものが取り組みやすくていいかなと思います。Neuer Klassikerとして取り組むのはせいぜい1年で2-3曲ですね。

【マメ情報】今年取り組んだ曲をご紹介↓↓

  • チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」 トレパーク Op.71a ト長調(リサイタル用に新しく取り入れました。本番2週間前くらいから取り組み始めましたが、正直もう少し時間が欲しかったです笑)

  • サン=サーンス:死の舞踏(こちらは去年からやっていてリサイタルやアマチュア音楽祭などで再演しました。有名な曲でもあるのでもしこれから連弾やろうかなという方には比較的取り組みやすい、でも映える曲だと思います。)

  • シャブリエ:スペイン狂詩曲(こちらも去年から取り組んでおり、リサイタル、そしてコンクールでも演奏。こちらは曲の理解と合わせるのがとても大変な曲でした。でも合わさってきた時の楽しさが快感で、最初は1番ヤバい選曲だったかもと思いつつも後には1番2人に合ってる曲になったかなと思います!一応動画も載せておきます!)

  • プーランク:4手のためのピアノ・ソナタ(これは今年取り組んだ新曲です。この曲はあまり難易度は高くないですがプリモとセコンドが交差するなど、連弾曲としての見せ場が豊富な曲かなと思います。こちらも最新曲として一応動画載せておきます!)

こんな感じで再演もありますし新曲も入れてミックスしており、再演する曲は本番2週間前くらいから解凍していくイメージ。なのでかかる時間も最大限抑えられています。

“合わせる“(アンサンブル)とはどういう事か

さて、冒頭にも書きましたが、”合わせる“ことへのハードルについて触れたいと思います。アンサンブルが音楽の基本とする所以もここにあるなと思うのですが、

違う人が同じ曲をひとつの曲として演奏する

これが連弾の醍醐味でもあり一番難しい事だと思っています。当然、人ひとり元々持ってる音も違うしタッチや曲の感じ方も異なる。それを仕上げていくには、合わせ練習を多くする、ここはどう思うなどのディスカッションを積極的に行う、これがとても大事です。練習後録音していたものをゆっくり聴いてメールでやり取りなんかもありです。そう考えるとトリオやはたまたオーケストラなど違う楽器で合わせることの難しさったら、すごいですよね。
合わせ練習を多くすると書きましたが、譜読みの段階から2人でやっていく方が、変な解釈に染まらないのでオススメです。ソロパートがある場合や、どちらかのパートでテクニック的に難しい部分などは個人で少し練習したりもしますが、私の場合はほぼやっていません。。だったら一緒に合わせながらゆっくり練習をしていくほうが個人的にはいいなと思っています。

こんな風に聴くと少しハードルが下がってきたように感じませんか?
“合わせる”ことが一番難しいのは事実ですが、その分仕上がってきた時に、アンサンブルって楽しい!って心から思います。だから忙しくてもちょっとやろうか、なんて話にもなりますね。

連弾が与える好影響

連弾の勉強はアンサンブルの勉強でもあるので、違う楽器を奏でるイメージや、息遣い、左右のバランスをさらに意識できるようになったと思います。
実際、連弾曲はいろんな仕様に編曲された中のひとつだったりするので、オーケストラとして最初に書かれた曲も多くあります。そういう場合はオケのミニスコアを買って、どのパートがなんの楽器なのかを楽譜に書き込んでいく。単調になりがちな部分もより多彩さや深みが感じられる工夫をしています。このあたりはソロでも確実に考えるポイントだと思うので相乗効果でしかないですよね。(ちなみにオケのスコアってこんなに複雑なの?!そして指揮者ってそれが全部頭に入ってるの?!と驚きの連続でもあります!!)
また他の楽器とのアンサンブルにもきっと役立つと思います。楽器が違うと息継ぎのタイミングが異なるのでそう言った違いも勉強したいですね。ひとつの音楽になった瞬間、それをシェアできる喜びはとても大きいと思います。来年はピアノトリオに挑戦しようと思っています!

2台ピアノについて

連弾をやっていたら2台ピアノもやりたくなるのが必然!難易度も格段に上がるので、2台ピをやる時はソロのメイン曲と同じくらいの意気込みが必要に思います。私たちも1度取り組んでまた絶対やりたいと思ってはいるものの、時間との関係でなかなか再開できていません。また練習室の確保もかなり難しく、限られたところにしか無いので仕上げまでの時間はある程度余裕を持っておいた方がいいと思います。以前モーツァルトの2台のためのピアノ・ソナタに取り組んでいた時、ソロ曲でリストのリゴレットパラフレーズやメフィストワルツも同時進行していたので、本当に死ぬかと思いました🤣🤣🤣やはり選曲とタイミングはめちゃめちゃ重要ですね…
ちなみにモーツァルトはめちゃめちゃ楽しかった…またやりたいなぁと思っています!なのでリンクも載せておきます♪

【マメ情報】東京近郊で2台ピアノがある練習室の一例↓↓

とまぁ長々と書きましたが、冒頭のタイトルにもあるワルツのように、とにかく楽しく(時に真剣に)そして気軽にできるところからアンサンブルをやることが一番だと思います。2台ピも含め今後もやりたい曲がたくさんありすぎるのですが、ひとつずつ階段を上っていくイメージでのらりくらりと取り組めたらなと思っています。
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筆者情報:
井上朋子(いのうえ ともこ)外資系企業にてマーケティングに従事。3歳からピアノを習うも、高校・大学でのアメリカ留学を機に本格的なレッスンはストップ。その後、2019年よりピアノを再開。

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