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BBTクローン再生計画(15)レトロな町の、レトロなサテンの、レトロなパフェ

「カフェ」に駆逐され、今では半ば死語化している「喫茶店」ですが、「半ば」ではなく「もはや完全に通じない」であろう言葉が「サテン」です。
「きっさてん」の下部分だけを切り取った略語なんですが、レモンスカッシュの省略形「レスカ」と共に、昭和ヤングのソウルワードとして浸透していました。
そんな「サテン」と呼ぶのがピッタリなレトロな喫茶店が静岡県東部屈指の人気観光地「熱海」にありました。

というか熱海そのものが「天然のレトロテーマパーク」みたいな町で、どれほどイマっぽいものを作ろうとも、土地にしみついた昭和臭は払拭できません。
イイ意味で「おじいちゃんちの押入の中の匂い」するような感じで、訪れる人も多分そういうテイストを味わいに来てるんだと思います。
イイ意味で「あかぬけてない」ところが熱海の魅力なんで、よその観光地みたく新宿とか渋谷にゴロゴロしてそうな薄っぺらな施設なんかを安易に建ててはイカンのですよ。
イイ意味での「ダサさ」を、地元の方々は「町の財産」と認識して大事にしたいただきたい。

サテンの話に戻りますが、その店のテーブルは昭和50年代に一世を風靡したスペースインベーダーがプレイできるゲーム機内蔵タイプ。
私はビンボーだったんで出来ませんでしたが、小金持ちの連中はテーブルに100円硬貨を積み上げて、延々とゲームに興じ続けていたのでした。
サテンのインベーダーテーブルでレスカでも飲んじゃったらもう「昭和レトロのロイヤルストレートフラッシュ」という感じなんですが、あいにく私はサテンではソフトドリンクを頼まない男なんですよ。
私がサテンに来たら必ず頼むもの、それは「パフェ」
レスカほどじゃないですが、パフェだってかなり昭和チックなアイテムだと思うんです。

英語の「パーフェクト」、フランス語の「パルフェ」に由来する「完全/完璧なデザート」という意味を持つパフェ。
しかしそのレシピは店によって千差万別で、最近多いのが、大量のコーンフレークでかさ増し(というか上げ底)しているタイプ。
私はこれが大嫌いで、「こんな不完全なシロモノに『パフェ』の名を冠するのは言語道断だ!」と怒り続けてきました。
けれども諸物価値上がりの影響か、近年は「コーンフレーク不使用パフェ」を探すほうが大変だったりするんです。
東京で言うと、山手線の日暮里駅前にある大型サテンだとこれが食えることが分かっているので、ちゃんとしたパフェが味わいたくなったら電車に乗って出かけたりしてました。

さて、熱海のサテンのパフェはコーンフレークが入っているのか、いないのか!?
安心してください、入ってませんよ!!!
しかも嬉しいことに「生クリーム&アイスの甘味」「フルーツ&フルーツソースの酸味」のバランスが丁度いいタイプなんです。

このバランスが崩れたパフェだと「延々と甘いゾーンが続く」ことになり、甘党の私でも途中で嫌になって来る。
生クリームの甘味→フルーツの酸味→アイスの甘味→フルーツソースの酸味……という順に味わっていってフィニッシュ! というのが、私の提唱する「パーフェクトなスイーツのパーフェクトな味ルート」なんです。
熱海のサテンのパフェもこっちのタイプで、最後まで美味しくいただけました。

私のBBTクローン再生計画でも、こうしたメニューの楽しめる「レトロなサテン」を復活させたい。
もちろん、その厨房には「コーンフレーク持ち込み禁止」というルールを定めます!

画題「見るだけでパーフェクト感が伝わってくるパーフェクトなパフェ」

パフェ


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