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虫恐怖症の人間がノイローゼになりながら攻防を繰り広げた話②

前noteはこちらです。

03.傾向と対策のセカンドシーズン

あっという間に冬は過ぎ、春を迎えたのち……、
去年、プチ虫(我が家での死番虫のあだ名)達は5月末にウォーミングアップを開始したので覚悟していたところ、今年も全く同じタイミングで現れた。正確には5月25日辺り。

虫の概年リズムにはいつも感心する。
まるでカレンダーを確認しているかのよう。

覚悟はしていたものの現実で再会するとやはりげんなりしてしまう。
思えば去年は一年のうち半分をプチ虫討伐に勤しんだのだ。
今年もまた長い戦いが始まる。

冷戦状態である冬の間に傾向と対策を考えた。
と言ってもほとんどネットから先人の知恵を借りただけなんだけど。
根絶やしにするために必要な対策は、基本的には他の虫への対策と同じだと思う。
ただプチ虫の場合、少しやることが多い。彼らの生命力は異常なのだ…。
以下は先人達による対策と、私が実感したこと。

(1)発生源を発見して処分する
最重要な対策。
発生源がどんなものかにもよるけれど、掃除する程度では中まで巣食っている可能性があるので丸ごと処分した方が良い。
(2)燻煙剤を使う
先人達によれば燻煙剤で全てのプチ虫を駆逐するのは不可能みたい。
ただ害虫対策のサイトなどでは一応推奨されているので、少なからず効果はありそう。
ペットや赤ちゃんがいない家庭なら、定期的に燻煙剤を使うことで徐々に出現数を減らせるかも。
(3)乾物やペットフードは気密容器で保管。食料品は可能なら冷蔵庫へ
ジップロック的な袋なら食い破るらしいので、頑丈な気密容器で保管する。
それでもプチ虫にだけ感知出来る僅かな匂いがあるようで、蓋の隙間なんかにピタッとハマってることもある。やめて欲しい。
冷蔵庫が1番安心。
(4)掃除と換気 ※押し入れ&クロゼット内部まで
掃除が完璧でも被害に遭うことはあると思うけれど、有効な策。
掃除=部屋中隅々までチェックする作業でもあるため、被害がまだ小さい時点で彼らに気付ける。
換気については関連性は謎だと思っていたけれど…?
(5)フェロモントラップを仕掛ける
要はGホイホイのように集めてしまう。
根本的解決にはならないものの、先人達にはそこそこ高評価だった対策。


やはり個人的にネックは(1)。
(2)はしてみたかったけれど、うちは犬を飼っているため断念。
(3)は元々していたので大丈夫。
(4)の換気に関しては間取りも大きく影響すると思う。次回後述します。
(5)は対策を調べるまで想像も出来ない作戦だった。

さて、現時点で新しく導入出来るのは(5)のフェロモントラップ。
早速こちらを2セット購入してみた。
先に言っておくとむちゃくちゃ有能な商品だった。先人の知恵に感謝。

中にプチ虫が好むフェロモン剤を設置し(何故かすごいドキドキした)、周りに粘着シートを敷くようになっている。Gホイホイと全く同じ。
ここにプチ虫達が一堂に会するのは、嬉しい反面恐怖でもあった。

2セットのうち1つはキッチンの冷蔵庫の上、もう1つはリビングのクーラーの上に設置。
翌日、中を確認した私は歓喜の声を上げた。

キッチンの方は10匹ほどだろうか。クーラーの方は2、3匹。
想像以上に引っ掛かってくれた。
もっと早くに出会っていたい商品だった…。

フェロモントラップが頑張ってくれる分、私が殺すプチ虫の数は減った。
しかし毎日大体上記のペースで引っ掛かって行く。
ひと月もするとフェロモントラップ内部は計100、200匹ほどのプチ虫で埋め尽くされた。

どこで毎日量産されているのか、分からないのが恐怖だった。
水屋のどこで…?

04.唐突に発覚した発生源

前noteにて前述したけれど、プチ虫は水屋内部の食器に紛れて出現することも多く、水屋周辺に発生源があるのは確実だった。
だけど食品は入れていないし、結構な頻度で内部をアルコール消毒したりしているため割と清潔な状態を保っており、もう突き止められない…とお手上げ状態。

しかし。
ある日、水屋の引き出しを開けて日課であるプチ虫チェックをしていた時、私は目撃した。

引き出しのスライドレール(金属製)の内部からプチ虫が出て来る瞬間を。

まさかと思い、引き出しを限界まで引っ張り出してみると…、
外側から確認出来ただけでもプチ虫が数匹、レールにくっついていた。
おまけに幼虫らしき個体も数匹くっついていた。
レールの内側を確認する勇気は無かったが、おそらくコロニー状態だろう。

冷や汗が出るのを感じた。
他の引き出し(3段作りになっている)のレールも同様に確認、全て外側にプチ虫がくっついている。絶対発生源じゃん…。

観察したところスライドレールそのものが原因ではなさそうで(さすがのプチ虫でも金属は食べられない)、レールに薄く塗られている潤滑油?のような黄色い脂が犯人っぽかった。

この脂をゴハンにして、安全なレール内部で彼らは大量発生していたのだ。

やっと発生源を突き止めたと安堵したと同時に、まさか水屋そのものが発生源とは思わず動揺した。
まだ2年ほどしか使っていないこの水屋は、有名な家具屋にて新品で購入したもの。卵が産み付けられているような木材を使用していたり何か不備があったとは考えにくい。
それに潤滑油は必要では…?と素人には思える。


ひとまず、ささやかな抵抗として目視出来る脂を拭き取った。
ただ外側しか対処出来ていないので、内側のコロニーでは大量のプチ虫が穏やかに暮らしているはず。

朗報と悲報が同時に来た感じ。
洋画でよくある「良い知らせと悪い知らせどっちから聞きたい?」だった。

水屋どうしよう…捨てるのか…?
気に入っているんだけどな…。
でも潤滑油が原因だとすれば新しい水屋にしても二の舞を踏むのでは…。
途方に暮れてしまった。

05.何故か他の箇所で増え始める

パートナーと相談し、水屋はそのまま使うことにした。
新調したところでまたプチ虫が出現するかも…という結論だった。

もうフェロモントラップに頼って生活するしか残された道は無い。
重課金フェロモントラップユーザーとして生きる覚悟だ。
その上で、フェロモンに騙されない賢いプチ虫達数匹を毎日殺し続けた。

秋に差し掛かった頃、ふと気付いた。
リビングのプチ虫、なんか増えてる…?
発生源は水屋だったのに何故リビングで増えているんだろう?

確かに以前からリビングでも見掛けていたけれど、水屋ほどではなかった。
キッチンから飛んで来た個体がリビングにいるだけと思っていた。

もしかしてリビングにも別の発生源が…?

いやそんな訳ない。
もう大丈夫。他にコロニーは無いはず…。
それに私は重課金フェロモントラップユーザーとして生きるのだ。
新たなコロニー探しなんてしたくない。
あのゾッとする感覚をもう味わいたくない…。

完全に現実逃避だった。

その時私はまだ知らなかった。
水屋以上のコロニーがリビングに隠されていることに。



③(完結編)に続きます。

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