「最強戦の申し子」が最高位に
「最強戦の申し子」が最高位の座に就きました。
最高位戦日本プロ麻雀協会・鈴木優プロです。
最高位決定戦で醍醐大、新井啓文、園田賢の強豪3プロを破り、念願のタイトルを初めて獲得。持ち前の「攻めの麻雀」を貫いた見事な優勝でした。
勝利を手繰り寄せたのは、最高位奪取への決意をみなぎらせた押しの一打でした。
優プロはアマチュア時代に約2000人が参加した麻雀最強戦の予選を2年連続で勝ち上がり、プロ入り後も最強戦の全日本プロ予選で優勝してファイナルに進出するなど「最強戦の申し子」として知られています。
最高位戦日本プロ麻雀協会東海支部の支部長としてリーダーシップを発揮し、イケメンで麻雀ファンの人気を集めています。
◎取りたかったタイトル
優プロがプロになって、ぜがひでも取りたかったのが最高位です。飯田正人、金子正輝、近藤誠一、村上淳ら名立たるトッププロが栄冠に輝いた伝統を誇る最高峰のタイトル。
今季最高位戦A1リーグに昇格した優プロはリーグ戦を勝ち抜き、最高位決定戦に進出して全5節(20回戦)の戦いに挑みました。
第4節で小四喜の役満をあがるなど一気にポイントを重ね、3プロを大きく引き離しました。最終節の残り4試合を迎えた時点での総合ポイントは次の通りです。
①優168.3②醍醐-13.9③園田-40.4④新井-115.0
2位の醍醐プロに182.2ポイント差をつけ、とても有利な状況です。
しかし、ここから連覇を狙う醍醐プロが最高位としての意地を見せました。最終節の第1試合(17回戦)と第2試合(18回戦)で続けてトップを取って猛追します。
優プロは第1試合でラスに沈み、ポイント差は大きく縮まりました。第3試合(19回戦)を迎えた時点での総合ポイントです。
①優122.9②醍醐73.6③園田-89.7④新井-107.8
優プロと醍醐プロのポイント差は49.3で大逆転も夢ではなくなってきました。
第3試合(19回戦)でも優プロは新井プロの巧みなゲーム回しに苦しみ、南4局を迎えた時点でラス目でした。
第3試合オーラスでの持ち点は新井58000点、園田23100点、醍醐20100点、優18800点。
最高位戦のルールでは10000点ー30000点のウマがあり、3位と4位でウマだけで20ポイントの差がつきます。
このまま終了すれば2人の総合ポイントの差は30ポイントを切り、完全に射程圏内に入ります。優プロは何とか3位に浮上したいところです。
◎手繰り寄せた押しの一打
この南4局が最高位の座を決める大きな一戦となりました。ここであがりをものにした優プロがタイトルにぐっと近づきました。
南家・園田プロ、西家・優プロ、北家・醍醐プロ、東家・新井プロの並び順。
優プロの配牌です。
ドラは1枚あるものの厳しいです。一方、園田プロには5巡目に大物手が入りました。
3筒を切れば、2索・5索待ちの聴牌です。しかし、総合ポイントで大きくマイナスしている園田プロは四暗刻を目指して4索を切りました。
次巡に2索をツモっており、もし聴牌を選び、リーチしていたら一発・ツモでしたがこれは仕方ありません。
10巡目に醍醐プロが聴牌します。
醍醐プロはピンフ・ドラ1の4筒・7筒待ち2000点の手で黙聴に構えます。
その直後の優プロの手牌です。
優プロはここから2萬を切りました。もし、7筒を選んでいたら醍醐プロへの放銃でした。ぎりぎりのところで難を逃れました。
12巡目に園田プロが切った2索を優プロがポンして8筒を切り、3索・6索待ちの聴牌。醍醐プロのあがり牌の7筒は出なくなりました。
じっくりと手を進めていた親番の新井プロが15巡目に満を持して2筒を切ってのリーチ。
リーチ・ピンフ・タンヤオ・高め三色・ドラ1の3萬・6萬待ちの大物手。親満12000点が確定で、高めの3萬であがると跳満18000点です。
新井プロが切った2筒を園田プロがチーして、全員が聴牌となります。
園田プロが鳴いて1筒・4筒待ちに構えた直後に優プロがツモったのが7索。親の新井プロや醍醐プロには無筋で、園田プロに4索は通りますが7索は通っていません。
優プロはこの7索をノータイムで力強く切りました。解説の土田浩翔プロ、近藤誠一プロとМCの浅見真紀プロから驚きの声が上がりました。
この押しはすごい胆力です。リーチした親の新井プロに高い手を放銃すれば総合ポイントの2位との差は一気に縮まります。
もし、親満だったら20ポイントを切り、残り1試合で全く予断を許さない状況となります。
また、この一局は大詰めを迎えており、親がリーチして伏せることもないので、ここではオリて流局にかけ、1本場での3位浮上を狙う手もあったと思います。
その選択をせず、ノータイムで危険牌をぴしりと切ってあがりを目指す優プロの打牌に「最後まで攻めを貫き、必ず最高位になる」という強い決意が伝わってきました。
優プロの勝負をかけた押しは実りました。
直後に新井プロから6索が出てタンヤオ・ドラ1のあがりをものにしました。リーチ棒を含めて3000点です。
放銃して大物手を逃した新井プロだけでなく、ラスに落ちた醍醐プロからも無念の表情が浮かんでいました。
このあがりは優プロにとって大きかったです。最終試合(20回戦)を残しての総合ポイントです。
①優104.7②醍醐33.7③新井-52.8④園田-86.6
優プロと醍醐プロの差は広がって71ポイントとなり、トップ・ラスでなければ逆転は不可能な点差となりました。
最終試合でも優プロは攻めの麻雀を徹底し、オーラス自ら決着をつけました。
優プロは7筒待ちで迷わずリーチして醍醐プロから5200点をあがり、待ち望んでいた最高位に就きました。
自身の読みを信じたぶれない攻めの麻雀はとても魅力的でした。
優プロは優勝インタビューで「赤ドラあり、オカありの麻雀は得意」とМリーグ入りへの意欲を見せていましたが、
タイトル獲得を機にさらに飛躍すれば、必ずその日はやってくると確信しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?