見出し画像

東城プロ殊勲のトップ 押し引きをどうみるか?

 「りおぱら」がチームに勇気を与えました。

 Mリーグ2022-23の2023年1月17日(火)の第2回戦です。

 セガサミーフェニックス・東城りおプロはチームに今年初のトップをもたらしました。配牌やツモに恵まれた強運の風に乗り、総合ポイントで8チーム中7位に低迷するチームを鼓舞する殊勲のトップです。

 ただし、2つの押し引きで疑問を覚えました。

 第2回戦はKADOKAWAサクラナイツ・渋川難波プロ、EX風林火山・勝又健志プロ、セガサミーフェニックス・東城りおプロ、赤坂ドリブンズ・園田賢プロの並び順。

 東3局の親で東城プロは勢いに乗り、ラス目から一気に大きくリードするトップ目に浮上しました。

 持ち点は西家・渋川31000、南家・園田27000、北家・勝又25000、東家・東城17000です。

 親の東城プロの配牌です。強烈なチャンス手が入りました。

 萬子で「345」のイーペーコーが完成しており、ドラを2枚、赤ドラを1枚持っています。第1打に5索を切ってイーシャンテンです。

 東城プロは2巡目にずばっとペンチャンの7索を引き入れ、1索・4索待ちでリーチです。

 黙聴でもピンフ・イーペーコー・ドラ2・赤ドラ1の親満です。けれども、東城プロはリーチして跳満確定の手にしました。

 攻めっ気の強い東城プロらしい選択です。

 東城プロは7巡目に1索をツモりました。リーチ・ピンフ・イーペーコー・ツモ・ドラ2・赤ドラ1の6000オールです。

 東城プロはこのあがりでトップ目に立ち、風に乗りました。続く東3局1本場でも親で跳満をツモりました。

 先制攻撃したのは2着目の渋川プロです。7巡目に2筒・5筒待ちの高め三色の手でリーチしました。

 ドラが1枚、赤ドラが2枚ある勝負手です。赤5筒であがればリーチ・ピンフ・三色・ドラ1・赤ドラ3の倍満になります。

 ところが、東城プロは8巡目に渋川プロの高めのあがり牌である4枚目の5筒をツモって聴牌。2索・5索待ちでリーチしました。

 タンヤオなので出あがりが効き、5索は渋川プロの現物でした。それでも東城プロは果敢にリーチします。

 この選択はずばり的中。東城プロは9巡目に一発で5索をツモりました。

 東城プロはリーチ・タンヤオ・一発・ツモ・ドラ1・赤ドラ1の6000オール(+1300)です。

 東城プロの連続の親ッパネツモに、園田プロは試合後のインタビューで「なんなん」の気持ちだったことを明かしました。

 東城プロの独走となって迎えた東3局2本場。この一局で東城プロの押し引きには疑問を覚えました。

 これ以上の連荘を阻止したい園田プロが5巡目に3索・6索待ちでリーチしました。

 東城プロが直後の6巡目に6索をツモった手牌です。

 東城プロは6索をツモ切ればジュンチャン・三色・ドラ1のイーシャンテンを維持できます。しかし、さすがに危険牌の6索を一発で切れません。しかも園田プロのあがり牌です。

 東城プロに園田プロの現物はありません。リーチ宣言牌が4筒だったので筋の7筒を1枚外しました。

 東城プロは7巡目に6索にくっつく赤5索を引き入れました。

 ジュンチャン・三色をあきらめ、現物となった2萬を切り、イーシャンテンを維持しました。

 東城プロは8巡目にドラの3索をツモりました。園田プロが6筒を切っていたので筋の9筒を1枚外し、リャンシャンテンに戻しました。

 慎重な打ち回しながらも粘っています。

 東城プロは9巡目に3枚目の3索を引き入れ、9筒をもう1枚外して再びイーシャンテンです。

 10巡目に危険牌の8索をツモり、場に2萬が3枚出てワンチャンスとなった1萬を切りました。

 11巡目には危険牌の6萬をツモ切りました。

 東城プロは12巡目に安全牌の東をツモ切った後、13巡目に危険牌の8萬をつかみ現物の1筒を外し、リャンシャンテンに戻しました。

 8萬、8索が通ってないので危険牌を2枚勝負できないという判断です。

 これが痛恨の裏目となりました。もし、13巡目に8萬をツモ切りしていたら14巡目にペンチャンの3筒を引き入れ、8索を切って4索・7索待ちの聴牌でした。

 8索は園田プロが13巡目にツモ切りしており、14巡目には現物で難なく切れました。

 東城プロは4索・7索待ちになっていたら16巡目に4索をツモあがりしていました。

 ピンフ・ツモ・ドラ3・赤ドラ1の6000オール。3連続の親ッパネツモを逃しました。

 この一局は園田プロの1人聴牌で流局しました。東城プロには13巡目に8萬か8索を勝負し、イーシャンテンを維持してあがりに向かってほしかったです。

 東城プロは連続の親ッパネツモで勢いに乗っていました。さらに、ジュンチャン・三色・ドラ1のイーシャンテンから丁寧な打ち回しで手を見事に再構築。ドラを2枚引き入れ、ドラ3枚、赤ドラ1枚のイーシャンテンにこぎ着けました。

 試合後のインタビューで本人も後悔していましたが打点も十分で勝負する価値は高かったです。

 ただし、大きくリードしていたので放銃の危険を回避した打ち回しを全く否定することはできないと思います。

 むしろ、この一局よりも東城プロの打ち回しで強く疑問に感じたのが南3局の追っ掛けリーチです。

 南3局を迎え、持ち点は東家・東城52500、西家・渋川32500、北家・勝又9900、南家・園田5100です。

 南2局2本場(供託1)に2着目の渋川プロが園田プロから5200点(+1600)をあがって東城プロとの点差を縮めていました。

 3着目の勝又プロが8巡目に5萬・8萬待ちでリーチしました。

 親の東城プロも9巡目に6萬・9萬待ちでリーチしました。

 このリーチは攻めすぎで、黙聴に構え、危険牌をつかんだらオリに回ったほうが良かったのではないでしょうか。

 ラス目の園田プロと4800点差で3着目の勝又プロの手は、リードを広げるため満貫以上の本手の可能性が十分あります。

 トップ目の東城プロと2着目の渋川プロの点差は2万点差です。東城プロが勝又プロに満貫以上を放銃すれば、オーラスの逆転条件はとても緩和されます。渋川プロは果敢にトップを狙いにくることでしょう。

 勝又プロがツモあがりすれば親と子の分、東城プロと渋川プロの点差は縮まります。

 それ以外では、渋川プロが勝又プロに放銃すれば点差は広がります。園田プロが放銃すれば2万点差のままオーラスを迎えます。流局した場合のノーテン罰符もたいしたことはありません。

 しかも、東城プロの手はリーチ・ピンフのみ。裏ドラが乗らなければ2900点(+1000)です。放銃のリスクを背負って勝負するほどの打点の価値はありません。

 ここで押すのならば、なぜ東3局2本場で攻めを貫かず、引いてオリに回ってしまったのかとも思いました。

 結局、東城プロが11巡目に8萬をつかみ放銃。勝又プロはリーチ・ピンフ・イーペーコー・赤ドラ1の8000点(+1000)です。

 オーラスを迎え、東城プロと渋川プロの点差は11000点に縮まりました。

 東城プロは南4局に中ぶくれのあがり牌をツモる幸運で逃げきったものの、渋川プロにもあわやトップの手も入っていました。

 個人的な見解ですが、東城プロの手牌を持っていたら、東3局2本場は押しで、引きの選択もありです。南3局は引きで、押しの選択はありません。

 東城プロの本来の打ち筋ならば両方とも押しかもしれません。だからこそ3連続の親ッパネツモだった東3局2本場はとてももったいなかったと感じています。


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?