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それでも戦闘民族に最高形を欲張ってほしかった【Мリーグ】

 U-NEXT Pirates・鈴木優プロの興味深い選択がありました。

 2024年4月15日(月)のMリーグ2023-24セミファイナル第10戦です。

 優プロが33000点のトップ目で迎えた東3局の親。9巡目にカンチャンの二萬をツモった手牌です。

 あなただったら何を切りますか?。

 七萬を外し、カンチャンの3筒待ちの聴牌に取りますか?。

 それとも、筒子のカンチャンターツを外して聴牌に取らず、萬子のメンゼンホンイツに向かいますか?。

◎現実的で自然な選択

 第10戦は渋谷ABEMAS・白鳥翔プロ、EX風林火山・二階堂亜樹プロ、U-NEXT Pirates・鈴木優プロ、KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾プロの並び順です。

 東3局で持ち点は東家・優33000、北家・亜樹28000、南家・堀24000、西家・白鳥15000。

 東2局に優プロは堀プロとのリーチ合戦を制し、白鳥プロからリーチ・一発・裏ドラ2の満貫を直撃。トップ目に立っています。

 優プロは9巡目に二萬を引き入れ、七萬を切ってカンチャンの3筒待ちで黙聴を選択しました。

 一気通貫・ドラ1の出あがりで7700点、ツモって4000オールの手。

 他家が全員、筒子の下を切っていて、河の状況から3筒の「景色」が良く、山にしっかり残っていそうです。

 3筒は山に2枚残っていました。

 もう中盤の9巡目。萬子のメンゼンホンイツにこだわって聴牌を見送り、大事な親番でスピードを遅らせることが致命傷になる恐れもあります。

 カンチャン3筒待ちは現実的で自然な選択です。

 今季初の5連勝を成し遂げ、個人MVPを獲得した優プロ。この選択は的確にあがりを重ね、トップを狙う雀風にも即しています。

 また、他家の動きを止めようと、思いきってカンチャンの3筒待ちで親のリーチに踏みこむ打ち手もいるかもしれません。

◎重厚で華麗な一撃見たい

 ここからはあくまでも個人的な願望です。

 それでも「戦闘民族」には聴牌を取らず、筒子のカンチャンターツを外して、萬子のメンゼンホンイツの最高形に向かってほしかったです。

 三つの理由があります。

 一つ目は次に一萬から九萬まで、どの萬子をツモってもメンゼンホンイツを聴牌できるからです。

 二つ目は前局にリーチのみの手が一発と裏ドラ2枚で満貫に化け、迎えた親番。さらに、勢いに乗って高いあがりを決められそうに感じたからです。

 そして、一番の理由が三つ目。重厚で華麗な一撃を見たかったからです。

 多くの放送対局を観戦していますが、最近のМリーグなどでは、ここでカンチャンの3筒待ちに取るのが主流になっていると思います。

 「夢よりも現実」。美しい高打点の聴牌よりも、愚形でも着実なあがりを優先。1巡でも聴牌の遅れを嫌う打ち筋をよく見ます。

 まして、今回は7700点以上確定の手。聴牌取りは当たり前なのでしょう。

 けれども、それだけに重厚で華麗な一撃を前より見たいという願望が強くなっています。

 この手で聴牌に取らず、メンゼンホンイツを目指す打ち手としてすぐ思い浮かぶのは、TEAM雷電・黒沢咲プロとセガサミーフェニックス監督・近藤誠一プロです。

 黒沢プロは今季不調で、例年よりも「お嬢」らしいメンゼン・高打点の華やかなあがりが少なかったです。

 近藤プロは選手として、すでにМリーグの舞台から勇退しています。

 だからこそ、雀風が異なることを承知で、優プロに欲張って萬子のメンゼンホンイツを狙ってほしいと思ってしまいました。

◎親満逃し倍満の親被りは結果論

 もし、優プロが9巡目に筒子を外していたら、10巡目に三萬をツモり、二萬・五萬・八萬待ちで聴牌していました。

 3着目の堀プロは13巡目に二萬を切り、四萬・七萬待ちで力強くリーチしました。

 優プロはこの二萬を打ち取り、メンゼンホンイツ・ピンフ・ドラ1の12000点をあがっていたかもしれません。

 堀プロは14巡目に一発でドラの四萬をツモ。リーチ・タンヤオ・ピンフ・一発・ツモ・ドラ1・赤ドラ2の4000、8000です。

 優プロが親満を逃し、倍満の親被りになったのは結果論にすぎないと思います。

 優プロにとって悔しい一局となりました。

 第10戦の結果は堀39600、優35000、亜樹19000、白鳥6400。

 倍満をあがった堀プロがトップを獲得。優プロは追い上げ及ばず、惜しくも2位でした。

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