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【ネット歯科大】味を感じるために必要な口の機能

 味は、口の中にある味蕾(みらい)という器官で感知されます。
 
 味覚には、甘味、塩味、苦味、酸味と、比較的新たに明らかになった旨味があります。
 
 味を感知するためには、食品に含まれる化学物質が味蕾にキャッチされる必要があります。
 
 食べものの味を感知する目的として、現代では食事の魅力や豊かさを得るという方が一般的です。しかし、本質的には食べものの安全性や品質を把握するという目的があります。
 
 さて、味を感じるためには、味蕾が化学物質を感知する以外にも、いくつかの条件が必要になります。
 
 ひとつは、適切な水分があることです。
 
 唾液によって適度に食品が包まれることは、飲み込むためにも必要ですが、味の感知にも重要です。また、唾液に含まれる消化酵素も、食品の消化を進めるために必要です。
 
 咀嚼によって食べものをかみ砕くことも大切な要素です。食べものを細かくすることで化学物質が溶け出しやすくなり、味を感知しやすくなります。
 
 咀嚼運動において、舌も調和しながら運動しています。最近のわれわれの研究結果から、舌の動きは味覚を感知するために重要な因子であることがわかってきました。
 
 舌には多くの味蕾が分布していますので、舌の動きがよくないと味をうまく感じられなさそうだということは、想像しやすいところです。
 
 口の機能とは別ながら、嗅覚も重要になります。
 
 鼻で香りをかぐことが味を感じる助けになることは、鼻がつまったときのことをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。
 
 このように考えると、味を感じるために口のさまざまな機能がかかわっていることがわかります。
 
 口には多くの機能がありますが、そのどこかがうまく働かないだけで、意外なところに影響が出てくる場合があります。咀嚼運動が唾液分泌を促しているといったように、ひとつの機能が別の機能と関連しているのです。
 
 豊かな食事のためには味を感じることが大切です。そのためにも、口の機能維持が必要だといえます。
 
神奈川歯科大学 青山典生


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