就活生と不安

僕は就活生。

一人、スマホの画面と睨めっこをしながら、
夜ご飯を黙々と食べている。

内定はまだない。

部屋の窓が風に煽られ不気味に揺れる。

このままの僕で、近い将来企業に入ることができるのか。
社会人として一歩を踏み出せるのか。

不安になることがある。

不安は僕に容赦なく襲ってくる。

自然と壁際にいる時間が増える。

壁は僕に興味がないかのように、
顔色一つ変えず、その場に佇む。

不安、それは未来を考えたときに生まれるもの。

つまりだ、
不安が襲ってくるということは、
僕にはまだ未来があるということだ。

不安、それはまだどうなるかわからないものを考えたときに生まれるもの。

つまりだ、
僕が不安に思ってるもの以上に、
明るい未来になるかもしれないということだ。

そう、何も悲観的になることなんてなかったのだ。

部屋に隣接する道路を一台の車が通り過ぎる。

その車は、僕の周りに不安をまた置いていった。

そんな不安と共に暮らすことにした。

不安は僕と似ているものが多い。
同じ価値観の不安であればきっと楽しく遊べる友達になれるだろう。

そんな淡い期待を持ちながら、新入りの不安を見つめる。

子供のような目でこちらを見ている不安。

僕はそっと笑顔を返した。

つけていたテレビの音量を少し大きくし、
冷蔵庫に眠っていたビールを飲んだ。

少し苦かった。

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