![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69718574/rectangle_large_type_2_00cebc58ff2935d401658b7a499f2560.png?width=800)
寒い日の買い物。
僕はスーパーに入った。
「いらっしゃいませ〜」
店員の甲高い声が店内で響く。
本当に甲高かった。
ソプラノ歌手を特別に雇っているのかと思うくらいに。
一日店長で、ヨーデルを歌える人がいるのかと思うくらいに。
買うものはなんとなく決まっているものの、
僕はなんとなくさまざまな商品を目に入れる。
頭の中は買うものがぐるぐると駆け回っている。
買うものが駆け回っているのを見て、
僕は今日がマラソン大会だったのか?!と、焦った。
毎年一位を目指しているのに、今年はぼーっとしてるうちにマラソン大会になってしまったのか?!と、焦った。
不思議なことに、
冬で寒いはずなのに、アイスの棚の前で立ち止まった。
僕は思わず、
「寒いのに、アイス?」
と甲高い声で喋ってしまった。
店内に鳴り響く。
周りの人に聞かれるくらいなら、最後ビブラートすればよかったと後悔した。
周りの人が、
「寒いのに、アイス?」
と甲高い声を出したそうに僕を見ている。
「寒い日にアイスが食べられるなんて、冬だけの特権じゃないっすか!」
僕は意味もなく、どす黒い声で叫んだ。
店内に響いた。
周りの人に聞かれるくらいなら、最初しゃくりを入れればよかったと後悔した。
当初決めていた買うものと、アイスを手に持ち、
僕は、寒い中レジへと向かった。
レジには、入店した当時、甲高い声を出していた僕の師匠の姿。
目が取れるくらいの爽やかな笑顔で会釈をし、
第一印象、良い奴、を手に入れた。
僕は、師匠にお会計をしてもらってる間に、師匠へと伝えた。
「今年のマラソン大会も一位を取りますね。」
と。
すると師匠は、
「呼吸は、スッスッハッハーだよ。」
とアドバイスをしてきた。
「誰がアドバイスしてんねん!」
と僕は師匠を殴った。
手が出るのなら、最後ビブラートすればよかったと後悔した。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?