マガジンのカバー画像

たぶん食べもの

50
即興の散文。食べもののことを書きがちだけど、食べもののことがまったく書かれていないときもあります。
運営しているクリエイター

#食事

背骨がある文章っていいな【4/26】

ずっと待ってもらっていた個人の仕事がやっと終わりそう(すみませんの気持ちでいっぱい)朝方にまた推敲してから出す。 スープストックトーキョーが先日開始した離乳食提供にたいする反響(炎上とも呼ばれていた)を受けて、公式HPに公開した文章を読んだ。 そもそもなぜ炎上しちゃったんだ……という気持ちなのだが(こんなにポジティブな取り組みまでが炎上してしまうなんて、ますますこの世の未来を憂いでしまうじゃないかよっていう意味で) スープストックトーキョーの中の人たちの体温のようなもの

誰かが手を動かさないとうまれない【4/14】

先週末久しぶりに食事付きプランで旅館に泊まって、夕食や朝食のおぼんに載っているお皿の数の多さに圧倒されてきた。 お皿を見た瞬間、皿を準備する、調理する、盛り付ける、そして客が食べ終わったあとに皿を洗う……というあらゆる工程で生じる旅館の人たちの労力が脳裏に浮かび、誰かが自分のためにこんなにも時間を割いてくれていることに、ひしひしとありがたさを覚えた。 食事は誰かが手を動かさないとうまれない。にもかかわらず、自身は野菜を刻まず、フライパンを火にかけることもなく、ゆらゆらと席

ホイップクリームの今世への未練のなさがすごい【4/2】

ふわふわっとしたホイップクリームがとても好きだ。うず高く盛られたクリームを見ると、脳のなかでなにか(興奮するとでるやつ、たぶんドーパミン)がぶちあがって祭りが起こる。だけどその祭りはとてもはかない。 ホイップクリームは口にした途端から、ゆるゆる溶け出していき、終わりに向かって疾走していく。スピードがはやすぎて全然追いつかない。 打ち上げ花火や線香花火だって、もうちょっと余韻がある。 ホイップクリームは、なぜそんなにも今世に未練がないのだろう。さすが、見た目の方向性が雲に

トマト味との距離感【4/1】

トマト味の食べもののことが、好きなのか、ふつうなのか、いまだによくわからない。嫌いじゃない、苦手じゃないってことだけは確かだ。 ふだん率先して頼まないのだけど、いざ口にすると「おーめっちゃおいしいな!」ってなる。トマト缶を買ったあと、1年くらいはのうのうと放置しがちだが、いざ使ってみると、めっちゃ便利な存在じゃんってなる。生のトマトたちに関しても同様で、率先して食べないけど、食べると「わ!うまいじゃん!」となる。塩をふっただけのトマトとか、めっちゃ最高だ。 もしかすると、

細い米はうまい【3/29】

西友のジャスミンライスのレトルトパックを半年くらい前に買って、いつ食べよう、いつ食べようって思っていたのだが、今日決心してやっと食べた。 細い米はうまい。一番古い記憶だと、小学校の給食の米がほぼタイ米になったとき、「私割とこの米好きなんだけどな」って思った。 タイ米を一度も口にしたことのない母は、タイ米騒動を憂いながら「日本の米がいちばんうまい」とつぶやいていた気がする。 うん。たしかに日本の米はおいしい。でも、「いちばんうまい」はとりあえず、ぜんぶは無理だとしても複数

いきてるだけでえらい【3/28】

超愚行。うっかりお昼ごはんを食べ忘れてしまった。 さがせば食べる時間はあったはずなんだが、気がついたら夜になっていた。夜の渋谷を歩きながら、なにかしら注入しないとくたばってしまうって思ってコンビニ駆け込んで10秒チャージした。 10秒チャージには渋谷の夜の風景がよく似合っていた。理由はとくにないんだけど、そう思った。そういえば「きのこは天気のいい日に食べたい」「雨の日には炭酸が飲みたい」「くつしたの色は濃いねずみ色が好き」と思っているけど、これらにも特に理由はない。 「

スーパーと自宅の間に台所がほしい【3/27】

「絶対に君のことを忘れない」「大切にする」「期限内にちゃんと食べ切るからな」って思いながらスーパーで食材をとり、かごに入れ、購入して家に持って帰る。全部の食材に対して等しくそんな思いを抱いて買っている。 なのになぜか、家に帰るころにはその存在を忘れてしまいがちだ。ひどい。あまりに忘れっぽいので、自分の食べ物に対する「好き」とか「愛してる」って気持ちはまがいものなんじゃないかなって疑ったことが何度もある。というかまだずっと疑っている。 いつになったら食材をちゃんと使い切れる