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帝王切開の風景 その2


「帝王切開の風景 その1」 の続きです。

なんとか麻酔に成功し、胸から下の感覚がなくなったところでご開帳である。あっという間に赤子が取り出され、オギャーと泣いた後どこかに連れて行かれた。その後、腫瘍の摘出に移ったのだが、どうも様子がおかしい。
医者「先週さ~大阪駅にできたルクアだっけ?あそこ行ってきたよ」
看護師「え~ほんとですか~!どうでした~?」
医「カフェ行ってさ、有名な店のパンも買ってきたよ。」
看「え~いいな~私も行きたいんですよね~」
え~私も行きた~い!ってここはOLたちの給湯室か!内臓切り取りながら話す話題じゃなくない?みんなもっと手術に集中しようよ!
医「ねぇこっちの卵巣さ~餃子みたいな形してるよ~」
看「やだ~先生ったらもう~うふふ」
うふふじゃねーよ。人の臓器を勝手に例えてるんじゃないよ。どんな餃子よ!ちょっと見せなさいよ!
あまりのシュールさに耐え切れず、これは夢なんだと思うことにした。長い時間が経ったように感じた。手術は無事に終わり、赤子も腫瘍もシャバに出てきた。私は病室へ運ばれながら、退院したら餃子を食べたいと思った。

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