《 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 》
少女☆歌劇 レヴュースタァライトは舞台とアニメのメディアミックス作品ですが、今回視聴したのはテレビアニメと劇場版『少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド』のため、この2つについて述べています。
本作はテレビアニメは2018年に放送、その総集編として2020年に劇場版『ロンド・ロンド・ロンド』が公開された。監督は古川知宏で、幾原邦彦の弟子であるため彼の影響を受けており、演劇的な演出など言及されている。歌劇の名門校が舞台で、主人公の愛城華恋をはじめとする少女たちが、スタァを目指して切磋琢磨する物語である。
こちらの作品は昨年公開された新作の劇場版が面白いと評判で気になり、手を出しやすい総集編の劇場版から視聴し、あまりの面白さにじっくり見たくなって、その後テレビアニメを視聴した。
まず総集編を見たのだが、それまでは告知ビジュアルのからアイドル寄りのイメージを持っていたので、そのノリで見始めていた。しかし本編のとてつもない熱量に驚いて、総集編を見終わっても余韻がしばらく続いていた。演劇で用いられている演出や、劇中の挿入歌や劇伴の使い方がとても効果的で、視覚的な単純明快さが見ていて気持ちよかった。また本作ではレヴュー(またはオーディション)と呼ばれる少女たちの決闘シーンががあり、カッコイイ大立ち回りがこれまた熱くなる要素であった。公演の主役になれるのはたった一人だけ。普段仲の良いクラスメイトでも、舞台上ではライバルになる。レビューでは少女たちの葛藤や妬嫉などの荒々しい気持ちがあらわになっていて、これを通して成長していく姿はこみ上げてくるものがある。
総集編は、その名の通り話のまとまりとういうか作品としての完成度が素晴らしいので、今作単体だけでも十分に楽しめるものとなっていた。この時点で登場人物たちのキャラクターや関係性をより深堀りしたくなり、テレビアニメだと各話でキャラクターそれぞれに焦点が当てられているということで見ることにした。
テレビアニメでは、バンクシステムの導入もあり、前半は一話で完結する構成となっているため、テンポよく見られるのが楽しかった。
私は登場人物の一人である大場ななが特にお気に入りなのですが、7話の大場ななメインの回が、これまでと話とは異質な雰囲気となっており、この話は何か違うというのが感じ取られた。1クールの折り返し地点というタイミングや、大場ななは俳優のクラスにいながらも裏方志望であり、他のクラスメイトとは違う視点で舞台を見ていることが、彼女をより印象的にさせていた。過去の公演の再演を望んでいてイレギュラーを嫌うところが、どことなくタイムリープもののような、完璧を目指す為に黙々と画策しているような姿がまるで物語の黒幕のようでもあり、そんなミステリアスなところが作品に深みを出すエッセンスになっているように思う。また7話のエンディングでは曲がインストになっており、その空虚な演出に、彼女は何者なのか、裏方であるという暗喩なのかと考察を巡らせていた。
かと思えば、9話では星見純那に自分の気持ちを話して泣いてしまい、大場もただの少女であるという一面がうかがえたところは、彼女のキャラクター性をより高めるものになっていた。普段大人びた人がふとしたときに自分の幼さを見せてしまうというのは、実に人間らしくて魅力的に見える。
まだ私はこのプロジェクトの一部にしかふれていない。舞台の方や評判の新作劇場版も追いかけて、彼女たちの世界の解像度をより高めたいと思う。