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アニメ関連のライターをやっていて良かったと思う事

2009〜2011年あたりまでの仕事

ぼくは約10年ほどアニメ関連のライターをやってきた。当初の頃は、新作アニメの囲み取材や舞台挨拶取材、イベントレポート、ライブレポートの執筆などが多く、毎日のように取材に飛び回っていた。というのも2009〜2011年あたりはアニメ関連のweb媒体が雨後のタケノコのように乱立しており、どこもライターが不足していたからだ。だからどこの現場に行っても毎回同じようなメンツが取材に来ていたりしたものだった。ぼくはこの仕事をするまで、好きなアニメが数作あるくらいでアニメ業界のことをほとんど知らなかった。特に声優さんの知識は皆無だった。なので仕事をしながら独自で覚えていったのもあるけれど、そういった媒体の諸先輩方の飲み会に顔を出しては、色々と勉強させてもらったりもした。少し経った頃にはすっかりアニメ好きになっていた。

2012年あたりから仕事の内容が変わってきた

2012年あたりからそのようにたくさんあったアニメ関連のweb媒体は続々と姿を消していった。増えすぎたためにお互いPVの取り合いになってしまい、マネタイズができなくなってしまったのだ。だから、ぼくは大手媒体のlivedoorニュースやニコニコニュースで書くようになっていた。また取材現場で仲良くなった諸先輩方がメーカーに転職したりして、その顔利きでアニメ作品のオフィシャル仕事を取らせてもらったりもした。こういったご縁には本当感謝しかない。仕事の内容も声優さんやアーティストさんのインタビューがメインになってきたし、また、公式サイトやパンフレット、Blue-rayのブックレットの文章なども書かせてもらえるようになった。


アニメ関連ライターをやっていて良かった3つの事

ぼくのアニメ関係のライターとしての大体の流れを追ってきた上で本題に入る。やっていて良かったことは大雑把にわけて3つ。

1.アニメ媒体乱立時代に多くの現場を体験できた事
2.声優さんやアーティストさんに対するインタビュー仕事のおかげで、人の話を掘り下げるというインタビュアーという職業の奥深さ、面白さを知ることができた事

3.Blue-rayのブックレットなど、好きなアニメ作品のコンテンツに関わることができた事


この3つは今のぼくにとってどれも大切な経験になっている。全部を細かく説明すると長くなるので、ここでは3つ目の好きなアニメ作品のブックレット仕事で特に印象に残っている出来事を具体的にあげてみようと思う。

『僕は友達が少ない』のキャラクターになりきる

『僕は友達が少ない』というライトノベル作品があり、それがTVアニメ化された。ぼくはその第2期からのオフィシャル仕事を担当させてもらうことになった。様々な文章まわりの仕事をしたが、その中でも特に印象に残っているものはBlue-rayのブックレットで1巻ごとに毎回登場キャラクターのひとりになりきり、その巻に収録されているお話の解説を行うというものだった。

これはもちろん同人ではなく公式そのものなので、ぼくが発した言葉がそのままそのキャラクターの声となる。プレッシャーもあったが、自分ではない誰かになりきる(今回の場合はキャラクターではあるけれども)というのは、自分が文章を通して役者を演じているみたいで新鮮な体験だった。
まず、原作を全巻通して口語体のところは写経して、口癖などを覚えていく。ただ、実際にやる事は、その子たちがナチュラルに喋りながら収録されている話を解説していかなければいけないので、当然、原作では使われていない言葉などもたくさん出てくる。だから、原作をさらに深く読み込み、それぞれのキャラクターがどのような性格なのかメモを取りながら、自分自身に馴染ませていった。そして仕上がったなと感じたら、もう完全にそのキャラクターになりきって、バーっと書いていく。それで出来上がったものがこれ(版権の都合で全部は見せれないから引用ということで少しだけ)

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第1巻は『僕は友達が少ない』のヒロインの中でもトップ人気を誇る柏崎星奈というキャラクターが解説を担当。金髪碧眼、容姿端麗、成績優秀、運動万能、良家の令嬢でありながら、性格がナルシストの女王様みたいな子だ。こういう強気な子が弱い一面を見せるとキュンときてしまう男子は多いので、人気なキャラクターなのも頷ける。第1巻ではあったが、自分的にやりやすいキャラクターだったので楽しんでやることができた。

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個人的にやっていてとても面白かったのは、第4巻担当の羽瀬川小鳩ちゃん。「邪気眼」な言い回しをする中二病な子なんだけど、慌てると素の九州弁が出てしまうというお茶目さん。小鳩ちゃんに関してはいかにマインドを「邪気眼」に持っていくかが楽しかったし、何よりこの巻あたりから原作者さんの赤がほぼ入らないで通った事も嬉しかった。「おれは小鳩ちゃんになりきれたぞ!」っていう達成感もあったしね。

ブックレットやパンフレットでは声優さんや監督さんのインタビューのほかに、こういうキャラクターになりきる仕事もたまにあって、その一番最初がこの作品だったので、今でも大切な作品になっているし、文章でキャラクターになりきるという役者みたいな事が経験できたのが、なによりの喜びだった。

みなさんはどうですか?自分の仕事をしていて金銭的な事以外で喜びを感じる瞬間ってありますか?

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