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【詩】31、1

ここには山があって海がない
海がなくて砂漠がある
足があって爪がない
星があって記憶がない
記憶がなくて思考がある
言葉があって声がない
朝がなくて体温がある
空洞であって、

わたしがそうやって
ここを何遍も捏ねていたら
いつの間にか
きみも一緒に混ぜ込んでしまったらしく
ここはきみと渾然となり
きみを含んだここは
うつくしく明滅しながら
尚も消えることはなかった

八月は忌み
夏は腐り果て
甘く濁るがまだおわっていない
九月は、

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