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夜中の
2021年12月2日 06:18
四角い箱庭に赤い屋根のおうちプラスチックの黒猫陶器のオウムフェルトの妖精たち寂しくないように配置してわたしはひとり暮らしているむかしはもっと広いところに住んでいた気がするが記憶が遠すぎてわからないカウンセラー役のきみがやってきてわたしの心を分析するさびしくてこわくてかなしくておこっていてだけどたのしく暮らしていますね箱庭の中に小さな海をつくっていつでもき
2021年11月28日 07:16
水のない花瓶にきみを生ける大振りな滅紫の薔薇に挟まれてきみは俯いてみせる愛してるというより好きだったたぶん恋だったきみの少年時代から抽出した苦い琥珀糖を齧りつづけて口は汚れた早く朽ちてくれと祈りながら冷たい水をそそぐきみは溺れ最期をぼくにくれる水が溢れ出し夜を編み込んだ敷布は濡れるねえきみはぼくのことどう思っていた?ちゃんと恨んでくれていた?最初にプ
2021年10月20日 03:31
重いなと思ったら大きな石を抱えていた石は静かにあたたかく私の腕の中でゆっくりと呼吸するツバメたちが耳元で底なしだから気をつけなさいと囁く導くのは金色の脚をした少年たち天鵞絨垂れ下がる天岩戸で太古の蟲が果実を貪る私と石は心を決めるやみいろの長い髪をした創造主は石を見失わないようにと赤酸塊の王冠を差し出す煌々と灯される火よ滴る血よ水よどこから騙されてたのかわかっているのかと
2021年4月8日 22:46
暗い山がある物言わぬ山がずっしりと座っている私の八畳の部屋のすみ私は山の傍で本を読んだり刺繍をしたりめそめそと泣いたりしてみるが山は暗く静かに深く呼吸をするばかり四月の眩しいような朝に山の端と私の端が触れ合い溶けていくような気がした山のなかはびゅうびゅうと風が吹き狐、狸、貉、蛇、狼の遠吠え、呼吸、肉を食う音、這い回る音暗い山は私を抱いて小さな窓から入る陽光を遮る静