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neri | プロデューサー Haruka インタビュー

こんにちは! neriです。シェフ田中庭園へのインタビューに続き、今回はHarukaに話を聞いていきます。食に対する想いや、プロデューサーとして、レストランで何を提供したいのかについて存分に語ってもらいます!

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ーーHarukaは食に強い興味を持っていますよね

いわゆる「イノベーティブ」というジャンルに分類されるような、新しい味を追い求めているレストランがすきで、国内外を食べ歩いてきました。すでに知っているおいしさではなく、これまでの味覚を異化し拡張する料理や、次の時代をつくる味に惹かれます。

ーーイノベーティブな料理は楽しみ方が難しくありませんか?

食材の新しい組み合わせや、革新的な調理法を駆使した料理には、とっつきにくさがあるのもわかります。でもこれは、映画でも本でも、馴染みのないジャンルに接するときには起こることです。大事なのは、そのときに、よきガイドがいるかどうか。すでに楽しみ方を知るひとから、どんな魅力があるのかを教わることで、スッと入っていけます。イノベーティブな料理も、食べたときの驚きや違和感の楽しみ方を、お互いにシェアしていけばいいんだと思います。

ーー今回は、自分たちでポップアップレストランを立ち上げます。なぜプレイヤーになろうと思ったのですか

この2、3年は、料理に秘められたシェフの想いや、新しい味の楽しみ方をもっと伝えたいと思い、レストランの立ち上げやPRのお手伝いをしたり、ビジュアルデザインの相談にのったり、フードイベントを運営したりと、橋渡しになることをしてきました。

そのうちに、自分でお店を出すことにも興味が湧いてきました。すばらしいクリエイションを受け取ると、自分の創作意欲を刺激されることはありませんか? 鮮やかな絵を観て自分でも描きたくなったり、よいエッセイを読んで日記をつけたくなったり。わたしはレストランから、おいしいものを食べる喜びと楽しさ、知らない味に出会う興奮を与えて貰ううちに、今度はそれを、自分たちで届けたくなったんです。実際、プレイヤーになって気づけることがたくさんあると思いますし、いつかわたしたちにしか提供できないものを生み出せたらと思っています。

ーーなぜ田中庭園をパートナーに選んだのでしょうか

田中庭園の料理には、わたしが求めているものがあるんです。コンセプトに対して柔軟な食材の選択、新鮮な味の組み立ては、食べたひとの味覚を異化し、拡張してくれます。しかも独特の温度感をもった清潔さが、確固たる魅力としてどの皿にも現れるんです。知識や技術は努力で身につきますが「どうしたらこんな料理を思いつくんだろう」と食べたひとが驚くようなセンスをすでに備えている。彼女の料理を、他のひとにも味わってもらいたい、伝えたいと素直に思います。彼女となら、これまでレストランから与えてもらったものを、わたしたちなりの形で繋いでいけると思っています。

ーー試作会においては、最初の食べ手でもあります。そこでのフィードバックは、的確に料理の意図を汲んで、どのように完成させるかを提案してくれますね。どうやってチューニングしているのでしょうか? 指針を先に決めている?

最初からこの料理はこの味であるべきといった明確なゴールが見えているわけではありません。そもそも、田中庭園の料理は、初めて食べる味なので、寄せていく先例がない。となると、まず考えるのは、一番よいところを伸ばすこと。アラを潰して平均点を取っても勝負はできません。シェフが実現したい味のイメージを汲み取りながら、すでに成功している部分を足がかりに、それがよりクリアになるようなアイデアを出します。

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たとえば、今試作しているデザート。これは苺とウドの組み合わせが特徴の一皿です。一見奇抜ですが、苺のジューシーな甘味と、ウドのさわやかな苦味が絶妙に引き立て合っています。今はウドの苦味のおもしろさをさらに生かすべく、苺に対する比率を引き上げてもらえるようにお願いしています。もちろん料理はシェフのクリエイションですが、食べる体験を一緒に設計していくのもプロデューサーの役割だと思っています。

ーー「正餐」のときにも印象的でしたが、料理を言葉で捉えるのが得意ですよね。今回neriにいらっしゃるお客さまがHarukaに期待するのは、料理を言葉で味わうためのヒントではないでしょうか

もしそう思って来てくださる方がいらっしゃるのなら嬉しいです。感じたことを言葉にするのは、わたしが大事にしていることです。

わたしのものの捉え方には、美術史学の枠組みが反映されています。美術史研究で最初に修得するスキルに「ディスクリプション」があります。絵の中に描かれているものを言葉に置き換えていく作業のことです。たとえば「青いマントを羽織った女性が左腕に赤ん坊を抱いて座っている」というように。これを読むと鑑賞者が作品をどう捉えたかがわかります。料理においても、わたしはディスクリプションをしています。言葉を尽くして料理を表現すれば、その体験が自分の血肉になるし、ひとと共有できるようにもなるからです。

neriで料理をお出しする際には、わたしの言葉でもご説明いたします。それが田中庭園の料理を味わうヒントになれば嬉しいです。一方で、わたしたちが気づいていないような、おいしさ、おもしろさもあるはずなので、ご来店いただいたお客さまには、召し上がって感じたことを、ぜひお聞かせいただきたいです。

ーー今回のポップアップでは、はじめてということもあり、コースの最後にお客さまから一言ずつ感想をいただければと思っています。どのような言葉がでてくるのか、そこから何が広がっていくのか、とても楽しみですね

2回連続でお送りした田中庭園&Harukaの相互インタビュー<ポップアップレストラン オープン編>でした。これらのインタビューを通して、はじめてのポップアップレストランで何をしようとしているのか、ご来店前に少しでもイメージがつけば嬉しいです。

さて次回は、今回のポップアップレストランのテーマにもなっている「スモーブロ」(北欧流オープンサンド)について特集します。本場コペンハーゲンのレストランでは、どんなスモーブロが出ているのか? おいしいレポートをお楽しみに!

neri ポップアップレストラン wave 1
- 開催日:2020.4.5 (Sun)
- 場所:awai (吉祥寺駅 徒歩10分)
- コース
スープ、スモーブロ3種、デザート/ 4,500 (exc. tax)
ペアリング(アルコール or ノンアルコール 3杯)/2,500(exc. tax)
11:00/ 13:30/ 18:00 の3回、入替制
- テイクアウト(数量限定)
スモーブロ2種のおべんとう/1,000(exc. tax)
ドリンク各種 /~700(exc. tax)
11:30~18:00のうち、ご予約時間に合わせてお渡し
- ご予約方法
4/3(Fri)までに、neriの2人へのご連絡、またはこちらのメールアドレス(neri.restaurans@gmail.com)までお願いします。

*大変ありがたいことに、コースにつきましては予約で満席となっております。キャンセル待ちの受付もさせていただきますので、ご希望の方はご連絡をいただけますと幸いです。
*今回キャンセル待ちをいただきながら、お席がご用意できなかった場合には、次回開催時に先行予約のご案内をさせていただきます。

-お支払い
代金は、ご予約確定時に事前決済(PayPay使用)とさせていただきます。

-キャンセルポリシー
4/1(Wed), 4/2(Thu)のキャンセル 50%
4/3(Fri), 4/4(Sat)のキャンセル 70%
4/5(Sun, 当日)のキャンセル 100%

-コロナウィルスの対応について
上記いずれの日程でも、発熱・風邪症状が見られる場合のキャンセルには全額返金の対応をいたします。無理をせず、ご連絡くださいませ。
また、昨今の状況を鑑み、ポップアップレストランの開催自体が中止となる可能性がございます。その場合にも、全額返金とさせていただきます。

text/ Haruka illustration, logo/ 田中庭園

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