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3ヶ月間、子宮全摘出するかどうか考えてみた3 ~経験者のはなし~

子宮を全摘出するかどうかを判断する上で、経験者や同じく筋腫をもつ人の話も聞いてみようと思った。
幸い、周囲にはそうした人が何人かいて、話しやすい環境にあった。

30代で全摘出した60代半ば女性

私の職場に、週に何度かだけ来てくれるパートタイムの女性がいる。
現在60代半ばで、かつて役所の係長職で退職したという。
軽作業をお願いしたり、休憩時間にもよく一緒におやつを食べながらおしゃべりするおばちゃん。
子どもを2人産んでおり、そのどちらも独立し家庭を築いているそうだ。
「私ね、子宮の外側におっきな筋腫あったんだよ、赤ちゃんの頭くらい。お腹の外から触っても、『あ〜あるなぁ〜』ってわかるくらいだったよ」
巨大な筋腫のせいか、生理のたびにひどい腰痛に悩まされていたらしい。
「子どもも産まれてひと段落して、30代の半ばくらいかな。もう取っちゃってもいいかなって思ったの。
お腹は切らずに、すそからびよーんって出して取ったよ。
あ、でもね、卵巣と卵管を切り離したところの治りがすごく悪くて。炎症起こしちゃったみたい。それで入院が20日も延びちゃったんだよー」
それ結構な事件だと思いますけど…それでもカラッと話してくれるのだから、母は強しとしか言えないのである。
今はすごく元気なようで、当たり前だが、子宮がない人のようには見えない。
「取っちゃったら楽だよー!生理もないし!…でも、ちょっと寂しい気持ちにはなるかもね」
その寂しい気持ちというものが、どれほどのものなのか想像はつかない。
症状も違うけれど、経験者が元気に暮らして働いている様子を見るのは、気持ちの面ですごく励みになった。

筋腫に悩む40代美容師の女性

私が高校生のときからずっとお世話になっている美容師さんがいる。
最初、勇気を出して入ったおしゃれ美容室でたまたま担当してくれた。
その数年後に独立開業してからも、ずっと切ってもらっている。
歳が近く、髪質や好みも充分理解してくれるし、高校から社会人になるまでずっと見てくれていた人。
31歳のときに3ヶ月だけ付き合った彼女も、その美容師さんの常連と知ったときはたまげたけれど。
美容師さんもまた、先ほどのパートさんと同じように、子宮の外にできるタイプの筋腫だという。
かなりの大きさがあるようで、出血の増加と生理痛、頻尿が主症状らしい。
MRIを撮ると、膀胱の上に子宮が筋腫ごとドンと乗っかって、圧迫していることがわかったのだとか。
今まで、自分のような粘膜下筋腫しか知らなかったが、外にできる筋腫にもそれぞれ症状があるのだと知った。
「私のは子宮の外だからねー、練りものちゃんみたいにそんなに激しい症状はないんだけど…。それでも、ないときよりは色んな困ったこと出てきたよ。
私ももう40歳過ぎたし、薬で抑えながら閉経を待ってもいいんだけど、今の頻尿からはできるだけ早く解放されたいとは思うかなー。こういう仕事だしね」
個人経営だからある程度自分の裁量で動けるとはいえ、客の都合に合わせなければならない業種。
「子宮、私も取りたいなー。
子どもはね、妹のところに姪っ子できて、みんなで育ててるうちになんか満足しちゃったところもあるんだよね。
それにほら、この時代と私の歳を考えたらさ、子どもを育てるにしても私が産んだ子とは限らないじゃん?
シングルファーザーと結婚する可能性だってゼロじゃないんだし」
その考えにハッとした。
そりゃそうだよな、自分の股から産まれた子だけが自分の子じゃない

YouTube ふたりぱぱチャンネル

子宮を取るや取らざるやと考えている間、偶然YouTubeで、ふたりぱぱチャンネルの動画に出会った。

男性カップルが、代理母出産によりもうけた子どもとの暮らしを紹介するチャンネル。
こういう家族のでき方もあると知ることができたことで、気持ちがすごく軽くなった。
このチャンネルのことは、いつも密かに応援している。
また、並行して特別養子縁組についても色々と調べてはみた。
どちらも諸々のハードルがあり、覚悟を要する選択肢である。
産まれてくる子どもが将来受ける影響についても、よくよく考えた上で決断しなければならない。
しかし、こうした仕組みが多くの人に求められている事実を知って、私がしようとしている選択は、そんなに責められるようなものでもないのかな、とほっとする部分もある。
とはいえ、まだパートナーもいないのに、一人で考え進めることでもないか。
きたるべきときに考え、話し合うことにしよう。

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