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『凜として弓を引く 初陣篇』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、読んだ本の感想を書きます。


碧野圭著 『凜として弓を引く 初陣篇』 (講談社 、2024)


ついに3冊目!!
初試合!!
登場人物を9割忘れていたけれど、今回もめちゃくちゃ面白かった。



ざっくり内容


弓道同好会を立ち上げたばかりの高校2年生、楓(主人公、部長)。
部員6人で、初めての試合に出ることに。
それと同時に、文化祭があったり、進路に悩んだり。
審査(級や段を取得する)もあり、楓が弓道を始めることになった弓道会の先輩、乙矢が流鏑馬を始めていたり。

関東大会予選まで、主人公を取り巻く日常と、弓道生活の様々が描かれる。

感想

今回も、相変わらず面白い!!
毎回思うけど、弓道経験者(部員や、かつて部員だった人含む)は、
この小説を非常にリアルに体験すると思う。

私自身が弓道部3年間所属していたからこそ、怖くなるところもあった。
それは文化祭で、弓道同好会が弓道を体験してもらうシーン。
部員のカズは柔道部をやめて、弓道同好会に入っている。
それを、以前部員だった柔道部の人たちがからいかいに来る。

カズが柔道部を辞めた理由が、壮絶すぎる。
その壮絶なやり取りを聞いていた乙矢が、静かに怒って弓を、かつてカズと同じだった柔道部員に向けるところ。
脅しでも、絶対にやってはいけない行為。
私自身がかつて約3年間、的を狙っていたからこそ、その先に人がいる様子を容易に想像してしまった。
(怖くなって1回ここで読むのをやめた)
この3冊目を読むまで、すっかり忘れていたけれど、弓と矢は元々武器なんだと改めて思った。
シンプルに怖い。

流鏑馬を学んでいる乙矢を訪れて見学するシーンは、面白かった。
(「流鏑馬」、どうして一体これを”やぶさめ”と読めるのか)
矢を放ち、弓を下ろすその瞬間までゾーンに入っているのに対して、
流鏑馬は4、5秒で矢を放つ。
記憶が曖昧だが、私自身の指導顧問は弓を引き切ってから、数秒保ってから矢を放つように言っていた。
そういうわけで4、5秒で矢を放つとは、色んな意味で想像し難い世界だ。

今回は、審査を意識して最初から最後まで、体幹や体軸に関しても書かれている。
運動神経って、自分が思うように体を動かせるかどうかってことなのか。
など、新たな発見もあったり。
反射神経という別の言葉があるのだから、言われてみれば驚くほどのことではないのかもしれないけど、どうしても「運動神経=反射神経」になりがち。

審査では、的に矢が中るかより、弓道の作法が重んじられている。
段になると、筆記試験まである。
弓を引き切って、矢を放ってもブレない体軸。
これも当たり前のようだけれど、あーそっか!!て何度も思う。
上手くいく時って、動きに一切無駄がない。
余計な力が入らず、美しく行動した結果が、すべてを見せてくる。

本書は、今年出版されたものもあってか、進路に対しても顧問の先生の言葉も、「なんかどこかで聞いたような?」がある。
自分で自分を認める、とかね。

進路や、やりたいことに関してもそうだ。
大学受験もなにも、18歳で将来を決めるなんて苦しい!!って、きっと誰もが思うはず。

文系?理系?
何がしたい?

上下関係(教師と生徒、親と子など)が常にあり、圧倒されていたところから、急に自分の意思を見つけることになる。

主人公の母の進路に対してのアドバイスと、主人公へのアプローチや好きなことを見つけていくところは、非常に興味深いと思った。
主人公の母は、非常に論理的思考で、上手く導くなー、と(小説だしね)

弓道に限らず、体幹や体軸を鍛えておくに越したことはない。
今も私は立ち方がキレイだと言われる(偉そうだとも言われる)

そして、マインドフルネス。
本書の正しい姿勢を意識するところ。
「中れ」って思うと、確かに外す確率が高くなる。
誰かに言われたのか、自分で思ったのかは忘れたけど「中れ」って思うなって意識していた。
そういう思いは、動揺へとつながるからだ。
動揺は、身体のブレにもつながる。

集中して、正しく動けていれば自然に結果がついてくる。
弓道なら、行動は「中る」という結果に導かれる。


3冊目かーって思っていたけれど、読むとやっぱり楽しい!!
ドラマやストーリーよりも、詳細がきちんと書かれている弓道の小説。
読むほどに好きになる、私には珍しい小説。

おすすめ本です。

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