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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

ブレイディみかこ 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社、2019年)
今回は、この本のレビュー。
(休み中はとにかく読書が捗る幸せ)

1.内容

この本は、英国で暮らす作者のリアルな生活に基づき書かれている。
作者(日本人)と旦那(アイルランド人)、そういう彼らの息子。

16章で構成され、多様性について考える「今っぽい」本だと思う。
暮らす場所(経済格差)、学校(教育格差)、人種差別、
文化、宗教、LGBTQ…
1冊の中に、これほどにトピックがあるのだ。
(いいな、英国)

なんでイギリスって書かないかっていうのは、作者が英国表記しているから。

教会には行かないけれど、著者はカトリック。
その旦那さん含め、ご家族がカトリック。
息子は、小学校の頃カトリックの学校(私立)に行っていた。
しかし、中学から地元の学校(公立)に通うようになる。
カトリックの学校であれば、差別はない/少なく(表出ることない?)様々な
違いが公立の学校では普通に起きていく。
この本は、中学校選びから始まっていくのだ。

2.経済格差と教育格差

この本、多様性を扱っているだけにトピックが多い。
経済格差と教育格差、この2つにフォーカスを置いて考えてみる。

そもそも、個人的には格差なんて言葉が好きじゃない。
しかし、実際教師をしている(していた)知り合いの話を聞くと、
驚くことばかりなのである。

親は子どもを選べない。
子どもは親を選べない。

一時期、こんな言葉をよく聞いた。
義務教育終わり次第、即働く人もいる。
大学院まで行く人や留学をする人がいる。
今は、リカレント教育なんて言葉もある。

置かれた状況が当たり前になれば、そこに疑問を持つこともない。
「そんなのおかしいよ?」って側から見ると思うことも、当人は気付けない。
気付かないし、気付かぬふりもされてしまうこともあるだろう。
思想は根深いものだ。
なかなか抜け出せない。

自分と年齢の異なる相手、育った環境の違う相手の話は同じ国かと
疑問を持ってしまうほど違う現実があるのだ。
何もわかっていない自分に愕然としてしまう。
異なるタイプと出会い、話をする機会はとっくに減ってしまったからだ。
ない、と言っても過言でない。
目の前の話にさえ驚愕しているのだから、これが地域や国となれば
色んな考えがあるんだなぁとはいかない。
もっと、しっかり見て聞いていかないといけないなって思わされます。
反省。

3.どうする?

本を読んで、多様性について考えるようになった。
ここで終わってしまっては、一体なんのために読んだのかとなる。
現実を知れたということは、1つの収穫だ。
だが今日、まさしく今生きている自分は考えることしか出来ない。
これが机上の空論なのか。
いやいや、そんなところまでいってない。
多様性とは便利な言葉だが、多様ってだけあって複雑な言葉でもある。
それでも今は、誰かと語り合えたら良いな。
くらいにしか、考えられないのである。
だめだなー。

4.まとめ

この本は「流行っているようだから、手に取らなかった」本の1つです。
躊躇してしまうこともありますが、これおすすめです。




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