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サンタシステムをアップデートせよ。

我が家はホールケーキを買わない。

かといって、わたしがケーキを作るわけでもない。
スポンジを焼くこともあるし、生クリームを泡立てることはあるけど、ケーキとして仕上げる仕事は、いつも子どもたちに任せている。

だってうちは基本欲望にそれぞれ忠実な女3人で、高価なケーキを買うには、好みが違って意見がまとまらないし、ケーキを飾りつけるのは、母であるわたしが苦手としているからだ。

子どもたちだって、けして器用な手先ではないので、自慢できるような仕上がりではないのだけど、どんな斬新な見た目であっても、「子どもが作った!」というのは親の怠慢を覆い隠す最強の免罪符であり、子どもたち自身にとっても、「自分が作った!」という満足感は、それ自体にプライスレスな価値がある。

というわけで、もうかれこれ10年はこのシステムでアニバーサリーは運営しているのだけど、クリスマスは「土台も買う」が定番化してきた。

今日のわたしの仕事は、生クリームを泡立てるだけである。

そして、「サンタさんが入ってきたとき、困らないように」という名目でお掃除をさせ、

「サンタさんがくる時間に間に合うように」という口実で早寝してもらう。
そして翌日は、届いたおもちゃで勝手に遊んでくれる。

おかげで親の年末の仕事が捗るという算段だ。

まったく、クリスマスディナーさえ頑張らなければ、サンタシステムは、親の師走の仕事納めに向けてサポートしてくれる、すばらしい援軍である。

もし今夜、サンタさんと遭遇したら、

「おつかれさまです!来年からは24〜30日のどこで来るかわからない仕様に変えませんか?」

なんて言ってみたいなと思う。

だってサンタさんだって、老体と動物に鞭打って、深夜に世界中にプレゼントを配るなんて、いまどきちょっとブラック過ぎ、なんだもの。

自分の書く文章をきっかけに、あらゆる物や事と交換できる道具が動くのって、なんでこんなに感動するのだろう。その数字より、そのこと自体に、心が震えます。