【27. お出掛け5(仮)】

色んなところへお出掛けしたその中で、2人の一番の想い出は…
やはりあの休日。

「今度、纏まった休み取れそうなんだけどさぁ…こっちに遊びに来ない?」
「うん、いく。…じゃ、迎えに来てくれるぅ?」
彼女は冗談半分で言ってみた。
それに彼は
「うん、いいよ?」
予想外のマジ回答。
更に
「そん時…どっか…『行ってみたいなぁ…』ってとこ…あ~る?」
と感情を込めた訊ね方をする彼に、彼女は速攻で
「あるっ!」
と応えた。

その電話をしてから約1ヶ月後、彼は8日間の休暇を利用して、彼女が3連休となる数日前には仙台へ乗り込んだ。
「ただいまっ」
「おかえりっ」
その夜から数日間、2人はいつも通り…夜な夜な“夜のお出掛け”…。

で、出発当日。
遅番の仕事を終えた彼女を車で迎えに来た彼。
ニコニコ顔で助手席に乗り込む彼女。
2人はその足で仙台を出発した。
「眠ってて良いから…」
彼のお言葉に甘え、明日に備えて彼女はすぐに充電開始。
途中のSAで彼が
…モミモミ…スリスリ…コリコリ…
と彼女の胸を悪戯して起こし、トイレ休憩と軽めの晩御飯を挟んだ後、再び車を走らせた。
「まだ2時間くらいは掛かるから、また眠ってて…?」
「うん…」
と助手席を倒して瞼を閉じた彼女が再びシートを起こしたのは、ちょうど都内に入った頃。
すぐ横を流れる川沿いに灯る東京の夜景が、水面に反写[はんしゃ【造】]していた。
「ちょっと遠回りしてくからね?」
湾岸線から環状線へ。
暫く走ると
「ほら、あれ覚えてる?」
「うん!」
「今回は上だから、前よりも綺麗に見えるでしょ?」
「うん、そうだねっ!」
ベイブリッジの眩いばかりの光に包まれながら、彼女は右手のほうを指差した。
「あ、あれ!」
「あ~、また乗ってみようね?」
「うん!」
そこから千葉方面へ進路を戻し、適当な出口で首都高を降りた。
仙台を出てから4時間位、その日最終的にエンジンを切ったのは、東京と千葉の境目辺りのとある駐車場。
「とりあえず今晩はここに泊まろ?」
「うん」

自動ドアを潜[くぐ]ると、だいぶ古びれたその外観からは想像も付かないほどのお洒落な内装。
2人はパネルを前に
…キョロキョロ…
するものの
「ここしか空いてないみたいだけど…いいよね?」
「うん、いいよ?」
彼は、その中でひとつだけ緑色のランプが点灯している部屋のボタンを押した。
2人は手を繋ぎながら、すぐ横のエレベータに乗り込み最上階へ。
部屋番号のプレートが
…カッチッ…カッチッ…
と点滅しているドアを目指す。
中に入ると赤と黒を基調とした結構広めの部屋。
「あれって…何だろ…?」
部屋の奥、壁際にはちょっと変わった物が勢揃い。
近付いてみると、レディースクリニックで見掛ける診察台によく似た椅子や手錠が4個ぶら下がったX型の磔台[はりつけだい]、その傍の棚には手錠やロープ、枷、鞭などが多種多様に整然と飾られてあった。
ラッキーにもひとつだけ空いていたその部屋は、なんとまさかのSMルーム…。
念のため断っておくが、彼女が行ってみたいと言った場所はここではない…。
が、2人とも興味津々。
一通りあれこれと物珍しそうに見定め終えると、彼はさっそく彼女を赤いXへ磔に…。
寄り添った彼が、小さめの胸を揉みしだきながら彼女の首筋、唇にKissをする。
スカートの中に潜り込んだ彼の指が、ショーツの上から割れ目に添って
…す~っ…
と優しく前後する。
と、湿り気と共に、硬直していくクリトリスの感触がハッキリと彼の指先に伝わってきた。
「玩具でも持ってくれば良かったなぁ…」
そんな彼の独り言は、ハッキリ彼女の耳に伝わってきた。
けど…
もし持ってきてたとしたら、間違いなく明日の“お楽しみ”に支障を来[きた]していたことだろう。
そして、彼にとってもうひとつ残念なことに、
「なんかこの体勢…ちょっと大変かも…」
小さめな身長の彼女にはXのサイズが微妙に合っていない感じ…。
彼は名残り惜しそうに、大の字になった彼女の固定ベルトを外していった。
…ホッ…
としたのも束の間、
「じゃこっちのほうが良さそうじゃない?」
彼が指差したほうには、分娩台のような椅子。
まぁ想定の範囲内。
「下着は脱いでからそちらにお掛けになって下さい…」
今度は有無を言わさず、お医者さんごっこ開始。
ベルトで脚を固定する。
婦人科なんかでは決してあり得ない両腕、両手首と胴廻りにも極太ベルトを巻いて完成。
「では、倒しま~す…」
スカートを捲り彼女の綺麗に処理された淫部を露にした。
潤んだ襞が
…パックリ…
と口を開いている。
彼は、その唇にKissをした。
舌を絡ませながら…。
…ネチョネチョ…
した粘液が彼の口の廻りを汚す。
…ペロリ…
と彼は舌舐めずり。
「美味しいよっ?」
「…いや~ん…」
まだ部屋に入って10分足らず。
ちょっと寄り道はしたものの、仕事帰りに真っ直ぐここへ着席したようなもの。
お風呂も入っていなければ、浴槽にお湯張りすらもしていない。
それに…
─電気も消してない…─
ことに気付き、急に恥ずかしくなった患者さんは、
脚を閉じようとするも膝廻りが…、両手で塞ごうにも腕が…、しっかりとベルトで固定されているため隠すに隠せない。
「お願~ぃ…暗くして?……下さい…」
と懇願した。
ところが、
「暗くしたら…ちゃんと奥まで見えないんでぇ…ちょっと我慢してくださいねぇ?」
と答えるお医者さん。
左の中指と人指し指を割れ目に沿うように押し付け、
…パカッ…
と開き切った襞を更に拡げると、上部が捲れ上がり、彼女の蒸れた陰核が姿を見せる。
…ヒクッ…ヒクッ…
それは、恥ずかしさの余り皮陰[ひかげ※3]に隠れようと必死に踠[もが]いているかの如く、上下に大きくヒクついていた。
反対の人指し指を使って透明な雫を膣口から掬い取り、その小さな果実に丁寧に満遍なく塗り付ける。
すると踝[くるぶし]にでも触れているかのように
…コリコリ…
に大きく固く脹れ上がった。
触れるか触れないか…そのくらい優しく、微小な円を描くように振動を加えると
「…ひゃっ…あっ…ぁん…」
上下のヒクつきは格段に大きくなる。
「次は中のほう見ていきますから、ちょっと力抜いて下さいねぇ…?」
割れ目を大きく拡げていた指が、今度は奥深くに沈んでゆく。
それを膣鏡[※4クスコ]代わりに左右に拡き下げると、固唾[かたづ]を呑み込む咽喉のようにピンク色の凹凸がゆっくりと蠢いた。
そしてその最深部に現れたのは、満々と白く濁った体液を湛[たた]えた湖。
迷医による診断はこうだ。
「奥のほう…何かいっぱい溜まってますねぇ…あと…ヒクヒクし過ぎです…」
「…………🌀」
「因みに、この辺どうですか?」
2本の指の間に、もう1本入れた指の腹で奥の襞を押し下げた。
「きもち…いぃ…です…」
「じゃこっちは?」
指を3本
…グルッ…
と捻り返し、今度は押し上げる。
「なんか…漏れちゃいそっ…」
「それはちょっ…と、おかしいですねぇ…」
と言いながら彼は、指でその湖のジェルをひと掬い。
…チュパッ…
彼女の糸引く程よい酸味を味わった。
「味は…問題ないです…。
…ってか、ほんとのお医者さんに診て貰ってもこんな濡らしてるんでしょ?」
「してないよぉ…もう…」
「ほんとにぃ?」
「ほんとにっ!」
「ほんとかなぁ?」
思っていたよりも興奮している彼女に、彼は
「確か仙台にもこういうとこあったよね?今度行ってみよっか?」
と訊ねてみた。
──
因みに、こういうとこ…とは、“数部屋だけ、SMルームがある”という噂の仙台近郊のホテル。
過去に何かのきっかけで、
「昔付き合ってた人とは何回か行ったことはあるけど、そういう部屋なんて当たった試しがないんだよね…」
「私も入ったことあるけど…そういう部屋じゃなかった」
そんな話しをした記憶がある。
──
「うん…」
という彼女の返事を聞くと、すぐに彼は如何わしいお医者さんに戻っていた。
「では、もう少し味のほうを確認しますから…」
と言って、彼女を舐め廻しながらジーンズを、トランクスを脱いでいく。
そして
「念のため、注射打っておきますね?」
徐に彼は勃起した注射器を掴むと、ピンク色の尖端でピンク色の襞内を掻き回し始めた。
前戯もままならないうちに入れるつもり…。
だけど彼女のほうだって、この診察台に座る前から、身も心も彼を迎え入れる準備など終わっている…。
「お願いします…」
彼女の答えを聞くや否や、
…グニュッ…
とした感触で彼女を貫く。
…パシッ…パシッ…
と2人の身体がぶつかり合う音が響く中、彼は拘束したベルトをひとつずつゆっくりと外していった。
全てを外し終えると、彼女は彼の背中に脚を絡ませ、首に腕を巻き付けて彼を引き寄せた。
弾力のある無数の突起で彼を包み込む。
そして
…キュッ…
と、まるで自らその突起全てを抉[えぐ]り取られようとでもしているかのように淫孔[いんこう※3]を萎めた。
すると彼は、そんな彼女の腰を鷲掴みして抱き抱え、挿入したまま彼女を上下に揺すりながら、ベッドのほうへと移動を開始。
「よいしょっと…」
途中、ズリ落ちそうにもない彼女を抱え直す度に、鋭い衝撃が走る。
彼は、一見華奢に見えなくもないが、案外筋肉質な体つき。
100%わざと…以外に考えられない。
彼女の底から切な過ぎる声が洩れ、逆に彼の亀頭が捲れ返るほどに更に締め付けを強めた。
何度かそんな“わざと…”を繰り返しているうち
…ゴロン…
やっとベッドへ到着。
すると彼は、彼女の尻下に挟まった片方の手で
…クルン…
と彼女を半回転。
その瞬間、彼のモノで奥を捩[ねじ]り抉[えぐ]られる感覚に
…キュン…
とした彼女は、
…ジョロッ…
と少しだけお漏らし。
気付いているのかいないのか…彼はお構い無しに、床に膝を付いた格好で俯す彼女を後ろから
…ズン…ズン…ズン…ズン…
と激しく突き上げた。
かと思えば、肩を掴み起こし、腰を持ち上げながら立ち上がるように彼女を促す。
勿論、腰を前後させながら。
すると、
…シャ~ッ…
カーテンが開いた。
…カチン…
曇りガラスの窓のロックが外れ
…ガラガラガラ…
彼の腰使いに操縦された彼女の両掌が辿り着いたのは、そこ…。
後ろからの震動に少しバランスを崩しながら、彼女が顔を出した窓のすぐ下では、高速道路の緩やかなカーブを大幅に制限速度を超えた車達が駆け抜けて行く。
それらの音と光が断続的に彼女の顔や肩へと浴びせられると、その瞬間、キツく繋がっている筈の悩まし気な声や表情は、彼の前から掻き消されてしまうような感覚に陥る。
彼女から迸る体液が脚を伝い、床を汚すまでのその間中ずっと…彼の中でそんな幻覚が続いていた。

翌朝早くにホテルを出発する計画を立て、早目に眠りに就こうね…と車の中で話していたのも忘れ、2人はその後もベッドの上で深夜遅くまで夢中になって快楽を貪り合った。
お蔭で、結局…
ちょっとだけ朝寝坊…。
「起きて!もう7:00過ぎてるよ!?」
…ドタバタ…
と忙[せわ]しなく身支度を済ませ、向かったのは舞浜。
そこが本当の目的地、彼女にとっては考えるだけで最高にワクワクする場所。

駐車場に向かう坂道から見えた人の列。
「まだ空いてないのに結構並んでるね?」
「けど、もう開く時間だよぉ…?」
車を停めてすぐ、2人は手を繋ぎながら駆け足で入場ゲートへ。
さっきの列はもういない…。
息を切らしながらチケットを切って貰った2人も、お伽話しの世界へと吸い込まれて行った。

朝一番…ちょっと出遅れたから朝1.1番!?…で入ったとは言え
「開園したばっかでも結構人いっぱいいるんだね?」
と同意を求めた彼への返事も中途半端に
「うわ~~っ!」
と子供のように駆け寄って行く彼女。
その先には一番のお気に入り、メインキャラがお出迎え。
アクアスフィアの前でミッキーとハグする彼女を彼が記念撮影。
…ピョンピョン…
と飛び跳ねながら手を振って別れを惜しみつつ、2人の後ろで順番を待つ家族連れにバトンを渡した。
既にニコニコの彼女は
「さてと…」
バッグからメモを取り出す。
事前にリストアップしてきた、乗りたい順番に並べたアトラクションやら観たいイベントがびっしり。
覗き込んだ彼に
「全部行ける訳ないと思うけど…とりあえず書いてみたの…」
と、ちょっと恥ずかしそうに舌を出す。
因みに、食べたいものリストは彼女の頭にしっかりとインプットされている。
「行こっ?こっちこっち…」
彼の手を引く彼女の足取りは、これまでに無いくらい弾んでいた。
パンフレットとメモを手に、頭の中で順序よくルートを組み立てながら進む。
チュロス齧[かじ]りながら
「これこれ!」
ポップコーンを食べながら
「並ぼっ?」
そんな中で一番インパクトが強かったのは、真っ暗闇の中、自由落下と急上昇を繰り返すあのマンションのエレベータ。
お尻が浮くその感覚は、彼女が小さな頃から年に数回見るあの怖い夢に物凄くよく似ている。
「キャー!…ンャー!」
大騒ぎする彼女の手をキツく握る彼。
時々開く窓から射す光で、彼の表情が一瞬見えた。
「はぁ~…怖かったぁ~…」
「もう一回、乗りに行く?」
「いぃいぃ、今日はもういい…。怖くなかったの?…ってか、笑ってたよね?」
「いや…」
彼は、怖いと何故か笑えてくるのだそう。
近くの橋を渡って右手にあるレストランでショーを観ながら食事を摂り、魔法に掛けられたみたいに幸せな気分を味わった。
お腹も気持ちも満足した2人が散策を再開してすぐ
「またあった!」
急に彼女が大騒ぎ。
「え?何が?」
そういえば、彼女は何かにつけてフェンスやら地面やら、何の変哲もないゴミ箱にさえも
…ジ~…
と熱い視線を注ぐ仕草を彼に見せていた。
「これ!こういうの…」
嬉しそうに説明したのは、円を3個繋げたようなマークがパーク内のあちらこちらに散り填められている…ということ。
そんな彼女に釣られて、彼も一緒になって捜すように…。
何種類もあるパレードも、彼女が楽しみにしていたイベントのひとつ。
海賊から水飛沫を掛けられては嬉しそうにはしゃぎ、大好きなキャラクターが出てくれば手を振って自分をアピール。
夜の水上でのパレードはとても幻想的で、ただただ夢心地に浸るのみ。
やがて…
この世界に足を踏み入れてからもうすぐ14時間…
人も疎らになり、現実の世界へと戻る時間がやって来た。
「疲れてない?」
「うん!大丈夫!す~っごく、楽しかったよぉ」
スフィアの前まで戻ってきた2人は、見詰め合い、抱き合ってKissをした。
それから、入った時と同じように手を繋ぎながら、今度はゆっくりゆっくりとゲートを潜る。
車へと戻る途中、モノレールの高架下、オレンジ色の外灯の元で
「最後にこの辺で…もう何枚か写真撮ってかない?」
「うん」
2、3回デジカメのシャッターを切った後、彼は
…キョロキョロ…
廻りを見渡す。
「今なら…誰もいないよ?」
「うん…」


2019/10/04 更新
────────────────
【参照】
※1 皮陰[ひかげ]【造】…クリトリスに被る包皮を指す。

※2 膣鏡[クスコ]…女性の膣腔内に挿入し、開大して膣腔の検診等をするための医療用具。一般的には、クスコとして知られるが、それは膣鏡の一種である「クスコ式膣鏡」を指す。

※3 淫孔[いんこう]【造】…淫らな孔[あな]と言えば?
彼女の場合は膣のこと。因みに本文中で使用した…唾を呑む云々…という表現と咽喉[いんこう]を掛けた言葉だったりします。
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【備考】
本文中に登場する、ねおが個人的に難読な文字、知らない人もいると思われる固有名称、またはねおが文中の雰囲気を演出するために使用した造語などに、振り仮名や注釈を付けることにしました。
尚、章によって注釈がない場合があります。

《本文中の表記の仕方》
例 : A[B ※C]

A…漢字/呼称など
B…振り仮名/読み方など(呼称など該当しない場合も有り)
C…数字(最下部の注釈に対応する数字が入る。参照すべき項目が無い場合も有り)

〈表記例〉
大凡[おおよそ]
胴窟[どうくつ※1]
サキュバス[※3]

《注釈の表記の仕方》
例 : ※CA[B]【造】…D

A,B,C…《本文中の表記の仕方》に同じ
D…その意味や解説、参考文など
【造】…ねおが勝手に作った造語であることを意味する(該当のない場合も有り)

〈表記例〉
※1胴窟[どうくつ]【造】…胴体に空いた洞窟のような孔。転じて“膣”のこと

※3サキュバス…SEXを通じ男性を誘惑するために、女性の形で夢の中に現れると言われている空想上の悪魔。女夢魔、女淫魔。

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